「virgin among living dead」1971年 仏・伊・リヒテンシュタイン



ジェス・フランコ監督 クリスティアーナ・フォン・ブラン ゾンビくん多数

「いっやー、おヒサのフランコ・セレクシォンにしてはちょっと地味なホラーだね」
「まあね〜。いわゆるゾンビものだから地味といえば地味。普通ゾンビって、大地の滋味と化してるもんだし」
「ところが連中ときたら、枯れ葉のなかからジミジミっとジミ出てきて若い女を襲っちゃう」
「だからみんなで泥だらけ(笑)。ともあれ、この作品はフランコ監督にしてはややまともで、まあまあ面白かった・・」
「のは前半だけで、後半はもう支離滅裂。最初は海岸ふちの道路をクルマでぶっとばすオープニング。音楽は名匠ブルーノ・ニコライだし、サスペンスフルで、もうワクワクもんだった」
「で、場面はとある宿屋に移る。そこに到着したのが今回のヒロイン、クリスティアーナだね。やや、おとなしめの素人っぽい金髪美人」
「宿屋についてヒロインはすぐに寝る。すると悪夢。なんかこのヘンでもうこの映画のすべてが分かる(笑)。要するに、悪夢にうなされて悶える女の映画、というわけ」
「その悪夢ってのが最初に話したゾンビくん大集合のシーンでね、なかなかドロドロしてて、気味が悪い」
「歯がない。ていうか、お歯黒」
「だってゾンビだもん。しょうがないでしょ」
「普通、歯は最後まで死体に残っているもんだよ」
「あっ、急に実証的なこと言うね(笑)。とにかく醜い男たちがモサモサっと森のなかから出てきてヒロインを襲い、追いかける。死体だからヨタヨタしてあちこちご不自由なのも愛嬌があっていい」
「で、ヒロインは夢から覚めます。すると宿屋に叔父さんからの使いがやって来て、彼女に手紙を渡す。この使用人がフランコ御大」
「パチパチパチ! 御大はお口がご不自由なんだね。ウッーッとか、オォーッとかいうセリフが多かった。感動の感嘆符ばかり。で、ヒロインは御大に連れられて叔父さんの館を訪れるんだけど、この館ってのが死体だらけ(笑)ていうか、役者がみんな青白い顔して目がウツロ。やあ、よくきたね。きゃ、叔父様って氷みたいにずいぶん冷たいのね(笑)」
「この映画、ところどころで不気味な雰囲気を醸し出すために、スローモーションになったりする。ただの時間稼ぎにしては実に効果的だった。慣れない館のなかでヒロインは次々に不気味な家族と知り合います。なぜか突然出てきた若い女が突然死んだりして、ヘンテコなお葬式。とにかく役者たちはみな顔色が悪い。唯一、フランコ御大だけ、コロコロ小太りだったりして、まともに見えるから不思議だ・・」
「で、ヒロインはまた寝ます。寝ると必ずゾンビの夢。条件反射だよね。しかも!必ず冒頭シーンと同じ夢。同じフィルム(笑)」
「それもまた・・条件反射なんだよ。時間稼ぎとは思いたくないなあ(笑)」
「ていうか、あれは僕が見たところでは、違う映画のフィルムだよ(爆)なにしろヒロインの顔が映らないんだから!」
「それだ、間違いない!(笑)で、違う映画の森のなかで、白っぽい、白蝋化した違う映画のゾンビくんたちが大集合。モコモコっと、枯れ葉のなかから現れる。なんであんな枯れ葉のなかに埋められてたんだろうか・・?」
「きっと焼きイモのフリしてたんだね」
「火葬してもらいたかったのかあ・・そしてゾンビくんたちはヒロインをあばら屋に追いつめる。ところでこのヒロインはさっぱり脱がない。今回はハダカなし!」
「きっと別のエロバージョンもあったんでしょ。ところで、謎の女が出てきてあなたを助けたいの、と言ってみたり、散歩の途中で蓮池を見つけて泳いでみたり・・と、このヘンから見てるのが辛くなる・・」
「蓮池は・・あれ、極楽をイメージしたつもりだったのかなあ・・焼きイモとは発想がかけ離れてるけど。とにかくヒロインは、突然、あんまりキレイとも思えない池で水浴び。それを覗く村の男たち。それを蹴散らす若い男。ヒロインと若い男が城に戻ると、叔父さんは若い男を追い出して、『ヨソ者をここに入れるな!』とかいって激怒する」
「そのうちチャペルで謎の男が首吊り死体になってる。どうやらヒロインの父親らしい・・どうしてだ?これもまた違う映画なのか?(笑)」
「そろそろストーリーが困ってきた(笑)となれば、当然に、また悪夢のシーンで時間稼ぎ(爆)」
「目が覚める。森に出ていく。また寝てる(笑)」
「今度は死んだ父親が出てくる。可愛いクリスティアーナや、実は俺は殺されたのだ・・首を吊ったままこの父親、しゃべるしゃべる(笑)。このへんでもう、映画は大混乱して収拾がつかなくなってきてる。だから、観客に対して説明が必要になってくる。けど、その辻褄合わせを、死体がしゃべって説明するっていうのは、すごい。すごすぎる!」
「ほんと。遺産相続みたいな話もあって、なんだかワケが分からないうちにヒロインはまた違う映画でゾンビくんたちと運動会」
「非常に忙しい。で、最後は、助けてあげる、とか言ってた謎の女とふたりで例の蓮の池に入水自殺。やっぱりあれは極楽のイメージだったんだね・・」
「で、ここで終われば、まあ、そうかな? 謎は多かったけど、極楽浄土を目指したんだな、って、僕らは安心できるというものだ。ところが、実は、すべては悪夢の鉛管構造に閉じ込められていて、場面はなぜか最初の宿屋に戻ってる。そこで意味不明の悪夢にうなされ気が狂いつつあるヒロイン。それをなだめてる医者と看護婦」
「ほら、やっぱフランコ映画って、いつかも言ったように病院のベッドで半裸で悶え苦しんでいる女の患者、てのが定番でしょ。あれですよね〜って、僕らは安心できるというものだ(笑)」
「まあ、しばらくして悪夢も終わり、ヒロインは少しずつ元気を取り戻した。階下に降りてきて、看護婦に言う。『あたしったら、ものすごい、ひどい悪夢を見ちゃったの』
「ひどいよね。僕らだって、一時間半ちかくもそんな『ひどい悪夢』を見させられてたんだぜ(爆)」
「看護婦はなだめます。安心しなさい。もう大丈夫よ・・ところが!」
「そこで宿屋の扉がパタリと開いて、現れたのは!」
「さあ、誰でしょう?(笑) @ゾンビくんたち A首吊りパパ Bフランコ御大。 ひとつ選びなさい!(笑)」
「すぐ分かっちゃうよ(笑)なにしろコロコロ小太りなんだから(爆)」
(2002.7.31)



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