「vampyros lesbos/レズビアン女吸血鬼」1970年 スペイン・西ドイツ


ジェス・フランコ監督 エヴァ・ストロンバーグ ソルダッド・ミランダ デニス・プライス

「・・とにかく無意味にオンナのハダカが出てくると、なんか、パゾリーニ映画じゃないけど、全然エロチックじゃなかったりしてね(笑)。なんか、あたりまえのようにハダカでウロウロしてたりしてさ」
「まあ、そういうのって僕には覗きシュミにも通じるような感じがするんだけど、それって楽しいじゃない?」
「まあ、ね。でも僕、出来れば日常感覚的なところでノゾキたいな(笑)更衣室とか(爆)」
「あはは月並みだね・・フランコ監督の場合は病室(笑)だよね。とにかく半裸状態で入院してるアタマのおかしなオンナがお約束みたいに出てくるのがフランコ・ワールド
「それで、みんな無意味に悶え苦しんでる。迫真の艶技なんだけど、理解に苦しむ・・そしてノリノリのセクサデリック・ダンスパーティの音楽がモリモリ♪」
「えーと。もう始まってるよ・・というわけで、今回は言わずと知れた伝説的映画<ヴァンピロス・レスボス>です!」
「物語はまたしても一行で説明出来る。つまり『女吸血鬼とOLとがレズに陥って入院患者のオンナがハダカで悶え苦しむ』
「それってまるで説明になっとらんなー」
「女吸血鬼とくればカーミラを上げるまでもなく、要するにレズの代名詞ってことですよ」
「これはサイケ映画もどきでもあるから、物語は二の次、って感じなんだけど、なかなか見られる機会もないからストーリーに沿って行ってみようか・・・主人公はOLのリンダ
「彼女がエヴァ・ストロンバーグだね。丸顔パツキンの可愛いお姉さんタイプで、スタイルは若干ムッチリ」
「で、そのリンダは夜な夜な、不思議なショーの夢を見てる・・らしい」
「らしい、って、なんだよ?」
「いやー、とにかく編集台のうえで映画を作るのがフランコ監督なんで、時々、時制とか因果関係とか空間関係につじつまが合わないことが多いんだ。映画は冒頭からこの不思議なショーで入るんだけど、これが実際にリンダが見ているシーンなのか夢の中なのかは、まあどっちでもいいって感じ」
「まあね。それで、このショーというのが、マネキン・レズショー♪♪っていうのかな。ああいうジャンルって、なんかパリのムーランルージュとかでもありそうだけど、一応、ちゃんとしたパフォーマンスになってるよね」
「マネキン人形に扮したハダカのオンナに、生身のオンナがハダカで絡んでいって、自分の身につけてる下着をマネキンに着せたりしてるうちに、そのマネキンにも次第に命が通ってきて、それで最後は二人でイチャイチャする・・っていうショー。確かにパフォーマンス・アートとして見ても逸品だった」
「で、そこで生身のオンナを演じているのがソルダッド・ミランダ。今回は彼女は吸血鬼ということもあって<SHE KILLED IN ECSTASY>の時みたくエモーショナルに迫る演技はしてないんだ・・ミステリアスな雰囲気は相変わらずだけど、ちょっと生々しい迫力に欠けた感じが残念だった」
「まあまあ、そう先走らないでよ。で、リンダはこの夢を見ながらイッちゃった・・ってことについて精神分析医スタイナーに相談するんだけど、医者はあんまり取り合わない。で、ある日、彼女は仕事でイスタンブールのキャロディ伯爵夫人のところに出張する・・らしい」
「また、らしい・・って?」
「つまり映画の舞台は最初からイスタンブールらしいんだけど、それにしてはトルコ人とかが一切出てこない。つまりロケハンのフィルムを沢山入れてる。でも、ちゃんとイスタンブールでロケしてるシーンもある・・んで、どうにも空間が把握出来ないんだね」
「まあ、いいや。いちいち驚いていられないしね(笑)。で、リンダは恋人のオマーと一緒にマネキンショーを見てる・・らしい(笑)。リンダがショーの最中にピクッと反応するあたり、いいね。幻聴のように、『リンダ〜リンダ〜』と彼女の名を呼ぶ声がしたりして」
「さて、それでとある海岸のホテルにやってきたリンダは、そのホテルの不気味な使用人に、『伯爵夫人の島に渡ると危険だぞ、あそこには生きた亡霊が棲んでいるぞ!』と脅かされる・・このブキミな使用人がジェス・フランコご本尊てわけ」
「いやだよね、あんな男に出くわしたら、例え相手がジェス・フランコと分かっていても・・」
「えー僕だったら首っ玉にむしゃぶりついちゃうけどな。で、キスの嵐(笑)。それはともかく、使用人は『あの島の秘密を知りたかったら、地下のワイン蔵に来い』とリンダに言うんだね。それで彼女がそこに行ってみると・・」
「うふふふふ。ヒミツ!それにもかかわらず、リンダは伯爵夫人の島に行く。伯爵夫人の屋敷がまた家具からオブジェから赤い色の鮮やかなモダンなセンスでグーだね。リンダは伯爵夫人と知り合い、突然、仕事の前にひと泳ぎしましょ、という展開」
「伯爵夫人はナディーンという名前で、続いて、リンダとナディーンの海水浴シーンだ。サービス満点!マイクロビキニを脱いで砂まみれのハダカになるソルダッド・ミランダ!うふふふ」
「で、それをまた得体の知れない男が覗いてる・・やっぱ、フランコ映画の根底に流れるのはヒューマニズムと覗きシュミなんだね」
「で、ナディーンは『わたしの財産はドラキュラ伯爵から譲り受けたのよ』とか話してるうちにリンダは失神して、それで待望のレズシーン。うふふふ」
「正気に戻ったハダカのリンダは、屋敷のプールでナディーンが浮かんでるのを見つけてまた失神昏倒しちゃうんだね」
「・・で、ここまでがまあ、前半て感じかな。中盤に入ると今度はアグラという名の、別のオンナが絡んでくるんだけど、このアグラが今回ハダカで入院してるアタマのおかしなオンナなんだ。で、彼女は夜な夜な『彼女が来る〜〜ああ彼女が来る〜〜わたしはもう彼女のなかよ〜〜』とか喚きながら悶え苦しんでる。彼女は『夜の女王』を恐れつつ待ちこがれてる」
「で、まったくこのへんの事情が不可解なところに、またリンダに戻るんだけど、彼女も実はアグラと似たような状態で町医者シーワード博士のクリニックに入院していて、すっかり記憶喪失になってるんだね。で、恋人オマーが迎えに来て退院するんだけど、リンダは伯爵夫人ナディーンに恋いこがれてる感じ」
「すると場面はナディーンに変わって、ナディーンもリンダに恋いこがれてる・・で、彼女は念力でリンダを誘い出す。一緒に吸血鬼になりましょうよ・・って感じ」
君もおいでよ、ひとりでは寂しすぎる・・って感じだね(笑)。で、またレズシーン」
「吸血鬼っていうのはキスと不可分、という意味でエロチックな存在なんだよ」
「またまた、さりげないけど名言ですなあ〜〜って、当たり前なこと言うなよー(笑)。笑えるのはリンダの恋人オマーが失血多量して気絶していてね。彼、リンダにチュ〜されちゃったんだね」
「で、そうこうしてる間も、病室ではアグラが半裸で悶え苦しんでる・・と、病室から脱走して無理矢理ハガいじめされて連れ戻されたりして、フトモモばんばん、ごちそうさま〜」
「正直いって、このヘンで映画を見てるのが辛くなる(笑)ああーオレってまだジーザスの愛には届かないのかな〜〜って悩みたくなるんだけど、仕方ない、もう映画も終盤だし、もうちょいつき合うか!って気力が湧いてくるからフシギだ」
「最初からちっとも湧かないからフシギだよ・・で、リンダがどこかのドアを開けるとなんとまたしても例の不気味なフランコ御大が、ガオーッ!」
「すると場面はまた変わって、今度はナディーンとマネキンとのレズショーを恋人オマーが眺めるシーン。これが延々とエモーショナルに続いてね、見どころのひとつだね」
「で、また場面は変わって、オカルトの研究をしてるシーワード博士のところにナディーンがやって来て、博士がこの女吸血鬼を倒そうと呪文をとなえると、突然ナディーンの下僕が現れて博士は絞殺されちゃう・・」
「で、ナディーンはハダカで発狂するのに忙しいアグラを訪ねて、わたしはもうサヨナラよ、なんて別れを告げる。輪をかけて発狂するアグラ。展開が速い速い」
「どんどん行くよ〜〜シーワード博士の死亡を知った恋人オマーは、リンダが行方不明だ!と、最初に出てきた精神分析医スタイナーに詰め寄り、二人でナディーンの屋敷に行く」
「その間、フランコ御大に捕まりワイン蔵に監禁されてたリンダは、フランコ御大にノコギリでイジメられ、逆にフランコ御大をノコギリでイジメ返す」
「さて、ナディーンは下僕と車で逃走して屋敷に戻ると、そこにリンダがやって来て、またまたハダカのナディーンを発見。そして大詰めでリンダはなんと! ああ〜〜なんと!」
「うふふふ・・どうなるんでしょうねぇ〜〜言わないでおこっと(笑)」
「ラストのセリフがね、教訓話じゃないけれど、余韻を残すんだよね。恋人オマーが『君は悪い夢を見ていたんだよ』と言うとリンダは『いいえ違うわ・・この哀しみは死ぬまで消えはしないのよ・・』すばらしいです!」
「・・まあ、今回のやつと<SHE KILLED IN ECSTASY>とを比べると、明らかに<SHE KILLED>の方が、出来はいい。ドラマもエモーションもしっかりしていて万感胸に迫る・・でも今回の方がフランコワールドらしさは強い。っていうか、このいい加減な作りが真骨頂だよね」
「そうかな・・ま、辛く当たるよりも好きになりたい作品だね。サソリとか蝶とか蛾とかのインサートショットが意味もなく入る、ああいうのが好きになれればね〜」
「主演のミランダ嬢はというと、この映画の翌年には交通事故で死んでしまう・・フランコ監督によれば、ドイツの映画会社が大きな契約を持ってきてビッグスターの座が約束された直後だっていうことで、そういう面でもなんか悲劇的な存在感が抜群なんだね」
「フランコ監督は、その後のボクの映画の出演者たちはみな、彼女に取り憑かれたみたいになるんだ・・っていう素晴らしい言葉を残してる。監督のパートナー、リナ・ロメイでさえ、そしてボクでさえも・・と。これにはジィンと来るね」
「そして僕もまた・・(じぃぃぃぃぃぃん)」
「じぃぃぃぃぃぃぃん・・のワリには、なんか、ハダカ・ハダカとしか喋ってないみたいだなあ。中学生ならいざしらず、これじゃあんまりだ」
「中学の頃に見ておきたかったよね(しみじみ)」(2001.3.16)

シネマギロテスクに戻る