「ユージュアル・サスペクツ」1995年アメリカ

ブライアンシンガー監督 ガブリエルバーン ケヴィンスペイシー

「女史に言っとくけど、今回は一般論でいこう」
「なんでしょ、いきなり(笑)」
「いや、いつものネタバレトークをしたら、今までの腐れ縁も考え直させていただきます」
「鼻息荒いのね狩刈くん(笑)」
「ま、そういうこと(笑)サイコの犯人はアンソニーホプキンスである、と、それはいいよ、けどこの映画はねー」
「パーキンス!」
「パーキンス(笑)けどこの映画でネタバレは、もう映画への冒涜ですよ〜〜」
「あんまり言うとまずいわよ・・とにかく文句なしに面白い映画。すべては謎に包まれて終わる(笑)」
「あっそんなにワザとらしく!聞き捨てならない(笑)」
「でも一般論でナニを喋ればいいのよー」
「ガブリエルバーン」
「うっ・・タイプなんだ彼。<ミラーズクロッシング>の頃に比べると貫禄も大分出てきて、ちょっと太ったキースリチャーズみたいな風貌が素敵!」
「だろ?あの黒髪の艶はただ事じゃないよね、明るい色したジャケットが似合うと思うな、イタリアンのトラッドもイイ」
「・・って映画の話じゃないの?」
「ケヴィンスペイシー!」
「全然好みじゃない!<セヴン>のあの役で溜飲下がったわ、お似合いのサイコ野郎だったし、<隣人>の頃からゾッとする感じ。生理的に遠慮したい」
「はは、そこまで言うの?・・元々前回<アルビノ・アリゲーター>でちょっとケナシちゃった反省に立って、今回取り上げたのがこれ。役者としては彼のその、生理的な嫌悪ですかぁ?僕には良く分からないけど、そういう味わい深い(笑)存在感は素晴らしいと思う。特にあの目つきだね、善良そうで心の底は決して見せない食わせ者という感じ・・」
「頭が丸い・・なんてことは置いといて、この映画はヒッチ風に大時代がかった音楽からして雰囲気をもり立てるのね」
「そうなんだ、弦楽器の高鳴りが胸騒ぎのサスペンスをかき立てるなんて、やっぱり古風でいいよねー」
「で物語。とある事件で旧知の前科者5人がショッぴかれる。でも、どうやら事件は冒頭の船の爆破炎上事件に繋がっていくらしい・・そこで尋問されながらKスペイシーが語り部になって一連の事実を告白し始めるのね、彼はあることないこと喋り立てる詐欺師でウソもペラペラ。結局そこは二度見る必要はない映画になってる」
「まあまあ!(笑)で、ガブリエルバーンの登場。彼がまたいい味出してるんだよな」
「5人の個性それぞれにメリハリがあって、とても丁寧に描かれていたと思うわ。濃淡もあって、まあドラマはGバーンとKスペイシーを中心に進むのかなって思わせるし、事実あの二人の人間的な厚みは凄い」
「欲を言えば途中で出てくるレッドフットだっけ?彼がちょっと肉薄い(笑)ギャングではあった」
「尋問するFBIだかの捜査官はクドい顔でゲンナリ」
「その調子!」
「それで一連の事件の黒幕にはカイザーソゼなる人物がいるということが分かって、この恐怖の黒幕が何をどう仕組んだのか、Kスペイシーは戦慄しながらも唯一の生き残りとして警察に自白するのね、彼ももしかしたら生き証人としていずれカイザーに口封じされる可能性が高い訳だしね」
「それと彼が、警察に散々に言われたGバーンを何としてでも庇おうとする、そのへんの緊迫感も良かった、あれで僕は、この最高のラストに至っても、ああヤッパリーって感じがして、心が和んだっていうかな(笑)」
「最初のうちは特に、時制が複雑で、しかも捜査と同時進行みたいなところがあるから次々に出てくる事実を理解していくだけで精一杯なのね。そこに観客に対して一定の緊張を強いる作りがなされていて、だからこそアッと驚く幕切れで、キツネに摘まれると言うよりも解放感に浸れる。負けました、と爽やかに頭を下げることが出来るって感じ」
「全くそうだね・・この映画は脚本の勝利。次々に観客の興味の中心を少しずつズラしていって、決して核心には触れない。それにはKスペイシーの一人称というのが効果的だったし、また既に起こってしまったことの物語という面で、<サイコ>のように進行形で第三者が謎解きをしていって仕舞いにドッヒャーという結末よりも余程に、背負い投げを食らう。ただし・・この方法は映画としてはもう使えない、という意味で、Aクリスティで某医者が犯人だったヤツに近い、一種の掟破りのようには思った」
「それも同感。逆に工夫がなかったというか、コロンブスの卵的に驚くと同時に納得もして、そこは吹っ切れたけど・・で、むしろカイザーにまつわる一件の目的は、結局は何だったのかしら?」
「それは・・口封じ、でしょう」
「だとしたら大げさに過ぎるけど、それより誇大妄想的に虚実入り乱れた謎々の快楽という感じ?」
「おおっとこの先は口封じ!とにかく・・傑作です!!!」(1999.1.10)

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