「トプカピ」1964年アメリカ


ジュールス・ダッシン監督メリナ・メルクーリ ピーター・ユスティノフ

「ノスタルジックな泥棒映画で、トルコロケの観光映画で、なんだか楽しい〜」
「ジュールス・ダッシン監督が奥さんのメルクーリを主演に<日曜はダメよ>に続いて撮ったコメディだね。僕、これ大昔にやっぱりテレビで見て、すんごく面白かった記憶があるんだけど、今回も期待を裏切らなかった・・」
「けど、ちょっと長いかしら」
「そうかなあ。60年代のこのテの映画は大体こんな感じでしょ。最近のめまぐるしいサスコメ映画とは比較出来ないよ」
「ま、そうね。物語はというと、イスタンブールのトプカピ宮殿にあるスルタン秘宝の短剣を盗み出そうとする女泥棒メルクーリと相棒マクシミリアン・シェル。で、ひょんなことからギリシャ人Pユスティノフが仲間に巻き込まれちゃって、あとは短剣強奪お見事!ってわけ」
「それとトルコ相撲っていうのかい?屈強な男たちの組んずほぐれつがね・・はは、迫力はあるけど、僕、この映画にはちょっとお色気が不足してるように思った(笑)メルクーリも45歳でちょっと目尻のシワとかキツイし」
「一方相棒役のMシェルは、結構濃い色男だったよね、ちょっとウォーレン・ビーティ似で、いかにも往年のスターって感じだし。ヨーロッパ人の色気」
「妹のマリアもグッと来る美人だったしなあ」
「でもこの映画の本当の主役は名優Pユスティノフなの。彼はこの作品で助演オスカーを取ってるし。彼がいやいやながら事件に巻き込まれて、いやいやながら秘密警察の手先にされちゃって、いやいやながら一味に加担せざるをえなくなって・・というのがこの映画の屋台骨ね。これが本筋で、あとは小気味よく手に汗握る怪盗モノのストーリーで、まあそこはMシェルのカッコつけた演技で必要十分だし」
「確かにユスティノフの存在感は圧倒的だったし、オスカーは納得いくね。もの凄い肉厚な芝居で、彼ほどの役者じゃなかったら一人ではできない役柄だった」
「そうなのね、わたしもそう思ったの。警察の手先とビクビク者のお仲間という二つの役柄を一身に背負っていて、これは本来は二人に分けてもいいくらいの存在感なの」
「それで酔っぱらいのコックの存在が意味不明になっちゃってるんだろうな、彼一人、どうにもブキミ(笑)。でも、僕、もうちょっとお色気が欲しかった(笑)」
「(笑)はいはい。でもトルコっていうお国柄は結構そのテに厳しいし、ギリシャにしても当時は軍事独裁の圧制下にあったしで、まああんまりお色気ムンムンには出来なかったのかもよ」
「僕が言いたいのは、別にメリナおばちゃんでなくてもさ、例えば同じイスタンブールでも<ロシアから愛をこめて>のボンドガール、ダニエラ・ビアンキみたいなお色気もあるってこと」
「とはいえ・・昔はこういう世界旅行映画っていうかしら、ロケ地のエキゾチズムをたっぷり見せてくれるような映画が多かったよね。っていうか、そういう街の風物をさらりと紹介するようなカットが多く挟み込まれていて、映画の娯楽性を豊かにしていた
「まあ海外旅行なんてザラに行けない時代だったからこそ、映画は異国情緒で観客を酔わせる術を心得ていたわけだ。これは今の時代じゃ望めないことだね」(2000.7.3)

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