「シンプル・プラン」1998年アメリカ  


サム・ライミ監督 ビル・パクストン ビリー・ボブ・ソーントン ブリジット・フォンダ

「これは魅せてくれた〜〜人間模様がカチッとハマって情緒的にも申し分なく共感できる、小品サスペンスの佳作」
「なんか、サもない展開なんだけど、最後まで引き込まれて見ちゃった・・あの一面、雪景色っていうのも良かったね。コーエン兄弟の<ファーゴ>を思わせるし・・実際コーエン監督が撮影についてアドバイスしたって話も」
「雪景色って、観客をドラマにのめり込ませる不思議な効果があるのかもね。風景とかに余計な注意を払う必要がないしね。人間像が切り出されてくる感じ・・・で、この映画は、ある兄弟と友人の3人が、ひょんなことから森の中に墜落していた飛行機を見つけて、その中から大金400万ドルを発見しちゃう、という、まったくタイトル通りにシンプルな幕開き」
物語は大体、想像がつくの・・そのお金が元で仲間割れを起こしたり、喧嘩になったり策略を巡らせたり・・。でも、そうした案の定のお話を支えてるディテールっていうかしら、人間関係とか、人物造形とかがすごくうまいって思った」
「兄弟と言っても、弟は大学出でブリジット・フォンダという奥さんがいて、これから最初の子供が産まれるところで、しっかりとした家庭人。一方、兄は独身で失業中で見るからにウダツのあがらない、頼りにならないヤツ」
「さらに輪を掛けてダラしないのが、お兄さんの友人ね、飲んだクレでバカ丸出し・・」
「まあ、この手の映画についてネタバレするのは心苦しいんだけれど(笑)、ここでひとつ言わせて貰うと、途中でスノーモービルの老人が死ぬところ、その後の扱いは、ちょっとご都合主義っていうか、プロット上のアイディアだけだった気がするな」
「まあ、きっと最初の方で主人公を追い込んでおく必要があったのね。わたしもひとつだけ言わせてもらうと(笑)友人の死を巡って兄弟が口裏合わせようとするのが、なんか線が細かったような気がする・・」
「主人公たちは、社会的にはあんまり追い込まれないんだよね・・警察に疑われたりしないし。映画は最後の最後まで、金をどうしたものか?っていうところに焦点を合わせていたから、僕や女史が言ったような犯罪に係わる部分が、根深く物語の軸となることはなかった」
「そうそう。わたしが、追い込む、って言ったのは、正確には良心の呵責にさいなまれてく、ってことなの。この作品は、だからサスペンスでもありヒューマンな物語でもあって、そういうところがただのハラハラドキドキ映画じゃない
「次第に、兄弟の間で、どこか連帯感っていうか、兄弟愛、絆が確認されてくるっていうあたり、とてもいい。特に今は亡き父親についての兄弟の受けとめ方、愛し方の違いとか、ね」
「最初、お父さんのお墓参りに行く時の兄弟は、すごく冷たい感じで・・最初のうちは弟ビル・パクストンばかりがアップで、お兄さんはロング。顔がはっきりしないのね」
「ああ、それは僕も気が付いた。ドラマが深まっていくに連れて、段々と兄役ビリー・ボブ・ソーントンがクローズ・アップされていくんだね、出産祝いの挿話とかさ、女の子とキスしたこともない、とかさ。映像的にも彼のアップショットが頻繁に出てくるようになって共感を呼ぶようになってきて、いよいよの大詰めに備えてきたって感じ。ここいらはサム・ライミ監督の手練れだね」
「雪の中の撮影でいろいろ苦労したでしょうけど、力んだようなところが全然なくて、北米の素朴な片田舎の事件って感じね。Bフォンダも、いい演技だった」
「なんかこの映画、誉めてばかりいるけど(笑)僕もBフォンダの、ワガママと知りながら不平不満をぶちまけるところとかさ、彼女のさりげない存在感は実に強くアピールしていたと思うな」
「お兄さん役のソーントン。彼もオスカー候補になっただけのことはある、人間の愚かで弱い姿を演じきってたよね・・ってホメてばっかりいるね、ほんとに(笑)」
「強いて不満を言えば、FBIと名乗る男を演じた俳優に迫力がなかった。あれがデニス・ホッパーとかだったら・・けど、こりゃ全然ベツの映画になっちゃうな(笑)」(2001.1.31)

シネマ・ギロテスクに戻る