「ノートルダム異常性犯罪ファイル/ザ・サディスト」1974年ベルギー・スペイン・フランス


ジェス・フランコ監督 ジェス・フランコ リナ・ロメイ
 
「今回もまたJFKの登場でぇぇす!」
「ジョン・F・ケネディ?」
ジェス・フランコ・キング!(笑)」
「あはは、キングってどこが?見るからに余計。字余り(笑)・・」
「ジェス・フランコ教祖、でもいいんだけどね」
「さて、この作品<ザ・サディスト>はまあ、まあまあ、まあまあの作品って感じだったよね」
「ちょっと違うな・・まあまあまあ、の作品。3拍子(笑)。でもここで見たのはXXXの三拍子じゃなくて、あんまりエロ度は高くないんだ、別のバージョンもあるらしいけど・・。そのかわりに、こっちじゃ極めて高尚な神学論争が展開されて宗教改革的緊迫感を高めてくれるってゆーか・・」
「ウーン全然、そのかわり、になっとらんなー」
一言でいうと、狂信的なカトリック教徒の苦悩と受難の物語・・
「ていうか、教会マニアがナイフを持ってハダカの女をグサグサ、サクサクする、って物語。完全無欠、問答無用のフランコムーヴィー!」
「この映画、まずはパリのうらぶれた街角で始まる。浮浪者、プー、なんとなくマトモな暮らしからアブれたオッチャンたちが、目つきも悪く薄暗い街角でウロウロしてる・・」
「そのなかに、染み込んでいたように違和感なく登場するのが御大ジェス・フランコ・キング!」
「キングは余計・・と、とにかく彼、まったく違和感なくプータローさんたちに溶け込んでたね(笑)ヘンテコおやじがションベンしながら歩き回っていたりして、さすがの大監督もキチンと馴染んでいたっけ」
「誤解されるよ〜〜監督がションベンして歩いてたってわけじゃないよ(笑)。で、監督本人を彷彿とさせる薄汚い格好のまま、ゴミ収集車の後ろに飛び乗ってフランコ御大はパリのノートルダムへとやってくる・・するといきなり、ブルネット女が自動車のなかから声を掛けるんだね、『ねぇあんた、乗っていかない?』・・今まで貧民街にウロウロしてたフランコ御大は眼をシロクロ」
「普通の観客ならここで、この女、いったいなんであんなオヤジをクルマに乗せようってんだ?といぶかるんだろうけど、僕なんかは、やったー!いつものご都合原理主義だぁ!よかったー!みたいに、もうお祭りさわぎ(笑)」
「ところがフランコ御大は女の申し出をきちんと断ったりしてね、いやいや、いいよ、なあんて・・彼、なんて礼儀正しいんだろ」
「ま、ところが最終的にはクルマに乗り込むわけで(笑)、しばらく走って、実は女は娼婦だったってことが分かる・・アタシを抱かない? とんでもない! 恥ずかしがらないで。と、いきなりオッパイのご開陳!」
「知らない男に金で身を任せて、お前は恥ずかしくないのか! なあんて激怒するフランコ御大は、親身になって娼婦にさとそうとする『魂が汚れてる、君は今までの罪を償うべきだよ・・』で、ナイフでグッサリ!(笑)」
「サクサク!(笑)。まあ平手でパチン!とか殴ってるうちはまだいいよ、それは許す・・ところが早くもグッサリ!ああ〜〜〜はじまったよ〜〜〜やっぱコレ、フランコ映画だな〜〜って、すでに感動のエクスタシィ〜〜」
「そこに警察が来て、通りがかった違う男が逮捕されるんだね。で、当のフランコ御大はというとノートルダム教会に走り込んで、そこで明かされる彼の過去! 以前は神学校に在籍して神父を目指して首席の座にいた彼なのに、今は破門されてる・・で、彼は知り合いの神父に助けを求めるんだけど、この神父は『君の助けにはなれない』なあんて軽く応えるもんだからフランコ御大、ヘソまげて『じゃ君の助けなんかいらない!』」
「要するにこの、主人公の薄汚い男はカトリシズム原理主義者で、神にかわってオシオキよ! ってなキャラクターなんだね。おのれの熱く堅固な信仰と、腐敗したモラル・懶惰・欲望ばかりの現実世界とのギャップに深くさいなまれる実存的な苦悩を、フランコ御大は実によく演じていた・・
「苦悩するわりにはすぐ、ナイフでグッサリしちゃうんだけども(笑)」
「苦悩のほとばしりが、グッサリ、なんです」
「ま、なんとも安易だな・・」
「ポアですよ、ポア」
「パアとも言える・・」
「おいおい、今日はなんだか冷たいじゃんかよ〜せっかくフランコ教祖でずっぱりの自作主演豪華作品なのに・・破門するぞ!(爆)」
「まあまあ。なにしろ今回はハダカが少ないからねぇ(笑)・・彼の映画への期待感の200%程度はウロウロするハダカの女でしょ?残りの23%は登場人物のアホな死にザマなんだし・・でも次のシーンはイケた。フランコ御大は、とある出版社を訪ねるんだね。パリのSM出版社(笑)。で、自作の小説『宗教裁判長の帰還』の原稿を売り込みに来て、そこにいる編集員がリナ♪ロメイ。編集長のセリフがふるってます『なんであんたみたいな人がここに? どうみても科学者か詩人としか見えないのに・・』
「どうみてもエロ映画監督にしか見えないんだけど、そこでリナ♪ロメイは呟く・・あの人、ワタシをハダカにしたそうな眼で見てたわ(笑)」
「まったくそうだ(笑)だから自作自演で奥さんのロメイにそんなことを言わせるセルフパロディがこの映画の醍醐味、フランコファンの泣かせどころになってるってわけ!」
「で、実はこのSM出版編集者と編集嬢ロメイは、とある伯爵夫人のひらく乱交黒ミサパーティのコーディネーターだったっていうから、ここらでエンジン全開!続く場面は、ロメイが黒ミサパーティの参加者をリクルートしにカフェだのバーだのを訪れて、なんかイロっぽい女がザックザク出てくる・・」
「それを尾行してたのか、フランコ御大はロメイのアパートの向かいにあるホテルをとるんだね。で、さっそくノゾキ・・いいかい、フランコ映画におけるノゾキとは、世界の真実を求道する方法だってことを忘れちゃいけない・・」
「リナちゃんはカフェにいたプラチナブロンド女とさっそく乱交黒ミサパーティの予行演習。うふふふふ」
可愛いよね、リナちゃん。すっぽんぽんなのに黒いロングブーツは絶対に脱がないあたり、いつぞやの<female vampire>そのまんまでね・・うーゾクゾク!」
「かる〜くオフザケタッチのレズシーンがあってそれを見つめてるフランコ御大もエクスタシー!って感じが深く共感できるね。で彼はロメイがリクルートに回っていたバーにもやって来て、そこでゴーゴーガールをガールハント。あれ、女が欲しくなったんだね、きっと。それで彼女を家に連れて帰るんだけど、なんとその家がまたすごい大邸宅。おいおい、最初はプータロー街にいたのになんでだ?」
「ふふ実は高貴な生まれだったのさ(笑)。おシャカさまとオンナジだよ・・で、ゴーゴーガールとイッパツやる前にちゃんと礼拝堂でミソギのお祈りをするあたりのカトリック・パラノイア・ムードが念が入ってたね・・」
「で、この女から、あたしは黒ミサに参加したことがある、と聞きつけるとガゼン大興奮して御大は『どこでだ?だれとだ?ナニをした?』なあんて、女に訊ねるんだね。クビをシメながら(笑)・・御大ったらいつの間にか司祭のコスプレしてたりしてね(笑)」
「それで結局『お前の魂は汚れきってる。お前を救えるのは刃だけだ!』で、グッサリ!」
「グサグサ!(笑)」
「サクサク!」
「ペロペロ!(笑)」
「で、いよいよ黒ミサ会場の伯爵邸に潜入。いきなり逆さ吊り全裸女(笑)。忍び込んでノゾキ見るJFK。集まったブルジョワたちもだんだんいいムードになってきて、そのアサマシイ姿を見るにつけJFKはおぞましさのあまり両手で顔を覆う・・」
「指の間からまたノゾキ、真実の求道精神(笑)。で逆さ吊り全裸女は黒ミサの成り行き上、ナイフでぐっさり!」
「ぐさぐさ」
「サクサク(笑)・・そこから延々と、とにかく延々と、フロアーでブルジョワたちの乱交パーティが延々と、延々と繰り広げられていって、まあなんか、めずらしーモン見てるなー、動物園だなーって感動がある」
「まあね。今回は一挙に大量のハダカを見せてくれたって感じかな・・でやっとその場面が終わるとフランコ御大はまた教会に駆け込み、さっきの神父に助けを求めるんだけどもまた神父はツレない素振りなんだね・・ここらが神学論争の緊迫感だね。フランコ御大は切々と訴える『わたしは人を殺した。だが、若い娘が過ちを償おうとする、その手伝いをしたのだ。神にかわって手伝いをした。罪に汚れた者が罪を償うのを助けるのがわたしの仕事だ!君の手助けがいる!』『だが君は殺人者だ!』『なんだ、助けてくれないのか。そんなら私一人でやるぞ!』
「ここいらはフランコ御大もちゃんと俳優業が勤まってたよね〜〜〜うっとり!SM出版社へ押し掛けて編集者に、貴様は地獄に堕ちるぞ〜〜とか迫ったりして変人テイストを撒き散らす。で、そろそろ警察の出番となって、そろそろ御大の身辺もにわかに危うくなってくる・・ハラハラ!サスペンスドラマのはじまりはじまり〜〜」
「と、ところがドラマの持続しないのがフランコ・ワールド。場面転換がめまぐるしくなってきて、いよいよ、というか、またしても、伯爵邸で黒ミサ興業だ。奴隷老人が女王様プレイをしてるのをまたまたノゾキした御大は、二人ともグッサリ!」
「グサグサ!サクサク!」
「続きましては伯爵夫人をグッサリ、サクサク!」
「セリフがふるってます『お前の魂は汚れきっている。死を恐れるのも悪魔の仕業だ。魂をスクってやる。グサグサ!』」
「で映画は最終コーナーをまわって、一人、自分の部屋で御大の持ち込んだ小説原稿を読んでいたロメイ嬢を御大は誘拐。マッパダカに剥いて吊してピチピチいたぶる『悔い改めるのだ〜〜〜〜』。はいはい、僕なんか、スグに悔い改めちゃうよん」
「殴ったり咬んだりして鼻血ロメイをぴちぴち、ちゃぷちゃぷ、らんらんらん♪状態に陥れて、また御大は伯爵邸へ・・ここらが、ゾンザイなんだよな(笑)。さっきまでそこにいたのに(笑)。なんで一度戻ったりするんだろ? もう、殺したくて殺したくてたまらないってのは分かるけどね・・で最後にロメイとレズってたプラチナブロンド嬢をグッサリ!」
「そこにサツが踏み込んできてアッケないカーチェイスのあと、またまた御大は教会に逃げ込んで、助けてくれ!・・さっき『私一人でもやる!』ってイキまいたのはどこへやらだ(笑)」
「うーん御大はねぇ・・孤独なんだ、孤高なんだね。神しか彼を理解しないんだよ・・だからついつい・・」
「同じ場面の繰り返しになる(爆)」
「(笑)まあ、そうだな・・実はこの映画は全体が5、6箇所の場面だけで出来てるってことは、信徒としても認めざるを得ませんねぇ(笑)。しかも着ているものもみんな同じ・・あるいは全然着ていないかのどっちか」
「ってことは、一回に同じ場面ですべてのシーンを撮り上げて、あとでバラバラに分けて繋げてるんだね。さあすが編集台で映画を作るフランコ監督だ。つまり映画史的な観点から考証するとだ、エイゼンシュタインとゴダールとOウェルズとジェス・フランコ・キングとの共通点はココにあるわけだね」
「で、教会シーンは3回目。『追われてる!助けてくれ!』『お前は殺人者だ!』で、またしてもトボトボと歩み去るフランコ御大の落剥・憔悴した姿はなんとオイタわしい・・しくしく」
「で、教会を出てきたところで、追いついてきた警察によってお縄頂戴になりまして、一巻の終わりであります〜〜」
「ぱちぱちぱちぱち・・ぱちぱちぱちぱち・・・」
「ぱち・・・ぱち・・・・・・」
「ま、ね。こんなもんです(笑)でも、まあまあ、よく出来てる方で、少なくとも、ほかの映画にはひんぱんに登場する完全に意味不明なシーンとかは、なかったでしょ(笑)」
「出足はすっごく良かった・・後半までそれが持続しないのはいつものパターン」
「ビデオのパッケージにゃ電気ドリルなんかが描かれてたけど、そんなのちっとも出てこなかったし、まあその程度のことはどーでもいいーけど、それにしてもエロ度も低くホラー色も薄味で、全体としては決め手に欠けるって感じかなあ」
「季節がね、冬なんだね・・パリの冬空が映り込んでいて、そんなところも寒々しい印象を与えてる。これは神の愛のきびしさについて、ノゾキとナイフでエグリ出した作品、と言える」
「5、6箇所だけエグリ出した(笑)」
「サクサクッとね」
(2001.12.24)


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