「プロデューサーズ」1968年アメリカ


メル・ブルックス監督 ゼロ・モステル ジーン・ワイルダー

「狩刈くん、ブルックス監督のトニー賞総なめ、おめでとう!」
「いやーめでたいめでたい。すごかったねぇ今年のブルックス・・でも、トニーって誰?」
「ええーと・・確か往年のトーニー・ペリーとかいう女優のことよね?」
「あ、そうなんだ。僕、theatre of New Yorkの頭文字かと思ってた。考えすぎか(笑)。と、それはともかく今回の<プロデューサーズ>はブルックス監督の処女作にしてもう全てが詰まってる、すごいナチス映画
「(笑)springtime for hitler and germany♪ あれはオカしい・・何度見てもすごいオカしいよ〜で、耳について離れない」
「でしょ。まったく才人ていうのはどこまでも才人で、ちょっと才能に溺れてるよ〜っていうくらいに素晴らしくエンターテイメントなミュージカルだった」
「そういえば、以前<キャノンボール>を見ていたら・・」
「えっ! 女史ったら僕に隠れてそんな映画見てるの!? へぇぇぇぇぇ」
「ええーたまたま、よ。そしたらブルック・シールズが本名で出ていて、他の人に、『ああ、あんた、確かブルックス・シールズだったよね』って言われて、彼女がすごくイヤがるってシーンがあったの。なんか、急に思い出しちゃった(笑)」
「なんか、分かるような分からないような(笑)。で、この映画、実際ゼロ・モステルとジーン・ワイルダーはどうかというと、実はそれほど面白くない・・っていうか、映画的な面白さは実は少ない作品なんだね。あくまでもこれは舞台芸術」
「まあ目くじら立てればいろいろあるでしょうけれど、そんなに細かいことは言わないで、ただ眺めて笑えればいいって映画ね」
「物語はというと、ブロードウェイの貧乏プロデューサーが会計士と企んで、金持ち婆さんたちから大金を騙しとろうとする・・で、そのために、史上最悪の台本を買って、史上最悪の演出家を使って、史上最悪の公演を打って、一日で打ち切りにしようとする・・で、その台本のタイトルが『ヒトラーの春』。作者は元ナチス親衛隊員。これをゲイの演出家が白人ロックシンガー主演で舞台にかける・・と、あまりに面白過ぎてバカウケしちゃってロングラン! プロデューサーと会計士は詐欺容疑で捕まっちゃった!というお話。まったくバカバカしい(笑)」
「その劇中劇『ヒトラーの春』が、さっき言ったようにもうサイコ〜〜!なのね。あれだけずっと見ていたくなるの」
「だからブルックス監督の作品には以後、必ずといっていいくらいヒトラーが出てくる・・<ブレージング・サドル>みたいに例えムチャクチャにしてでもヒトラーを出す。これはもう宿命だね」
「ヒトラー役の俳優のオーディション場面もゲラゲラものだったねぇ・・ところで、ジーン・ワイルダーは<ヤング・フランケンシュタイン>ほかブルックス監督一家の一員だったんだけど、この映画でデビューね」
「いんや<俺たちに明日はない>の方が先だったんじゃないかな・・けど、初期ブルックス映画のマヌケでヒステリックなキャラクターにピッタリはまったオカしなヤツだよね。モシャモシャしたアタマがマッドサイエンティスト以外のナニモノでもないし・・<フランケン>は素晴らしかった」
「今回のブロードウェイではマシュー・ブロデリックが彼の役を演じてるらしいけど、幼児性が剥き出しになって、それもまた楽しいかも」
この映画で、まあ唯一普通めいて見えるのはプロデューサーその人だった・・というあたりがね、僕はブルックス監督の真情がどうであれ60年代のハリウッド映画だったなあ・・って感じがするんだ。ちょっとウガッた見方だけれども、シナリオライターや演出家や俳優たちがみんなキチ○イなのにゼロ・モステルだけは、まあ比較的マトモだったよね」
「程度の差はあるけど、みんなキチ○イっぽいよ」
「そうか(笑)。ブルックスその人が出てこなかったのは残念だった・・是非ヒトラー役をやってもらいたかったものだね」(2001.7.13)

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