「オペラ座 血の喝采」1987年イタリア


ダリオ・アルジェント監督 クリスティーナ・マルシラ イアン・チャールソン

「ひっさびさに天才アルジェント監督で〜す!」
「とまあ意気込みはわかるけれど、まあ、いつもの作風よね(笑)」
「いつものってことは、ウラを返せば、傑作だってことかな(笑)。まあ基本は美少女イジメが醍醐味のアルジェント作品だけれど今回は手の込んだナンセンスさもヒトシオで、カッチリまとまって小気味いい・・」
「はいはい(笑)。ヴェルディ作曲のオペラ『マクベス』で代役デビューした若いソプラノ歌手の周辺で次々と殺人事件が起きて、それはどうやら彼女の子供時代の記憶だか夢だかに繋がっているらしい・・と、まあ個人的に封じ込められてきた記憶が犯罪を明るみに出していくっていうのは、なんかどこかでたっぷり見たことがあるって感じ・・」
「まあね。そういうのはホラーの定番フォームだからね・・僕、ここではっきり宣言しますけど(笑)アルジェント作品に限っては、ご都合主義なんて言うのもナンセンス。というか、実は深い深い、作者も知らなかったような深い企みの糸によってすべてが絡められていて身動きとれない、っていうような意味でのご都合主義を彼から取ったら、後は美少女しか残らない・・
「なんだかワケ分かんないよ・・物語の軸が何だかよく分からなかった。いつか見た<スタンダール・シンドローム>なんかは、主人公が刑事ってこともあって、犯人と女刑事の間に生まれるコワイエモーションは比較的はっきりしてたよね〜犯人との距離感が次第に縮まってしまって被害妄想に陥っていくあたりはまあスリリングだったし。でも今回のはサッパリ」
「えっ!サッパリ?(笑)とまあ、そんなに大袈裟に驚くこともないんだけれども、確かに今回のヒロイン、歌手のベティは、何度も殺人鬼に襲われて、その都度、凄惨な殺人を見せつけられて、そして逃げまどっている割りにはエモーションが全然深まっていかない・・これはまあ、要するにドラマがドラマティックには出来ていないでアルジェント一流のビデオクリップ的なホラー映画として味わうんだよ」
「そういうもん??」
「そうでしょ〜〜アルジェントがバカ受けした80年代ホラーは、そういう映像トリップの感覚で楽しむのが礼儀であって、ドラマはまあその次、エモーションなんか更にその次、なんだよね」
「確かにあの凝りに凝ったミクロCG映像は・・笑える。なんか目薬のCMとかを思い出すよね(笑)」
「鼻炎の薬のCMとか(笑)筋肉痛のバンテリンとか(爆)・・」
「ただわたしにはまあ、そこまで付き合って見てるのもツライし、ま、楽しみ方は人それぞれだけど、いつでもそこにいる殺人鬼、みたいに神出鬼没だとまったく興ざめしちゃうの(笑)」
「辻ツマを合わせることなんか考えていないっていうのは、すごいことだよね・・っていうか、彼の映画は特に、部分部分の美学で出来てるから全体がどうのこうのっていうのはまあいいんじゃない?(笑)この映画にも色んなバージョンがあるらしいけど、ストーリーよりも映像重視で見たいな。ナイフを振りかざす美少女、っていうだけで満足(笑)それにオペラの舞台にホンモノのカラスがガャアギャア飛び回るっていう奇抜な発想なんか、素晴らしいでしょ?」
「確かに現実には絶対に見られないけどね・・」
「あの、目を閉じられない針とセロハンテープとかも発想が非凡!」
「ああ、あれはなんか別の使い方が出来そうな気がした〜〜なんに使うのかは分からないけど、あったら便利、みたいな(笑)。それと思ったのは、この映画は眼がテーマになっていて、最初のカラスの眼のアップからずっとそうね。そういう意味でもまあ視覚的な効果に訴えようとしてるのかな・・ってことかしら」
「そうだね・・この映画は眼とカラスが軸になってる。と、こう並べるとなんか、全然因果関係ないみたいだけど(笑)・・そういえばスカラ座でカラス。これには因果関係がありそうだな(爆)」
「あー・・・次、いきましょ」
(2002.3.31)

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