「続荒野の七人」1966年 アメリカ


バート・ケネディ監督 ユル・ブリンナー ウォーレン・オーツ

「続きまして、続編。前回のラストから数年後、という常套的な続編だね」
「ガンマンたちと山賊の戦いがあったあの村に、一人のメキシカンがよろよろとやってきて息絶えるのね。チコもいて、いったいどうしたんだろう? と思わせぶりな感じで始まる」
「と、そこに山賊たちがまたしても襲いかかってきてね。でも、ちょっと迫力不足。銃声がパチンパチン(笑)。急襲してきた山賊一党は村の男たちを一人残らず連れ去っていく・・チコも、手放して久しい拳銃をとりだして応戦するけど戦いむなしく囚われの身となっていく・・とオープニングは快調だった」
「場面は闘牛場に変わって、そこにブリンナー扮するクリスが再び登場ね。旧友ヴィンと再会して、闘牛場では熱血メキシカン青年が飛び入り参加したり。展開はなんとなく散漫になってくるの。それでチコの奥さんが町までやってきて・・」
「またしても村が襲われた、と。それでクリスに助けを頼むわけだ。確かに女史が言うようにこの映画は散漫。つかみが遅くて、なんていうかな、線が細いんだね。人集めと襲撃と撃退のプロットで出来てるはずなのに、人集めに至るまでがなんとなく弱い
「で人集めにしても前作とはくらべものにならないくらいダラしないの(笑)だって牢屋の番人を買収して前科者たちを脱獄させて人集めしようとするんだもん・・集まったのは女たらしとか殺人マニアとか、まあB級ガンマンばっかり。あ、こいつら殺されるために集められてるな、って、もう一足飛びに最後の死に様に期待がかかるっていうか(笑)」
「わはははは(笑)ま、そのとおりだねぇ・・彼らには、前作にはあったようなガンマンらしい凄みみたいなものすらなくて、ただ頭数を揃えるためだけに登場する。なにしろ七人いないと荒野の七人にならないからな〜〜これは脚本家泣かせのタイトルシリーズだと言えるんじゃないでしょうか(笑)」
「つかずはなれずの熱血メキシカン青年も入れてやっと七人ね・・先が思いやられる。それに特に問題なく村までガンマンたちがやってきちゃうのも問題。脚本が弱い弱い・・」
「見せ場の来るのが遅いよね〜そのかわりといっちゃなんだけどバーンステインの名曲だけは高らかに鳴り響く。ぱん、ぱんぱぱん、ぱんぱ、ぱぱぱん♪・・で、闘いが始まるかと思いきや、悪党たちはクリスに説得されて一旦は出ていくんだ」
「ガンマンたちは無血入城。襲撃と撃退のプロットはどうしたの?って感じ」
「それでなかなか敵が攻めて来ないからガンマンたちがわざわざ敵を探しにでかけたりしてね」
オレたちゃなんであんな村を守らなきゃならんのかな?なんてガンマンたちは自問するの。モチベーションが低すぎる(笑)
「楽に脱獄させてもらったんだからモチベーションが低いのは仕方ないな(笑)。この作品は結構ガンマンたちが悩むんだよね。アイデンティティクライシスのB級ガンマンたちって、見ていてツライ・・」
なにしろ戦う相手がまた悩み多き悪党なの。神父とつるんで自分の故郷に新しい教会と町を作るために近所の村から男たちをさらってきちゃムリヤリ土木工事させてるの」
「建設的な悪党じゃんか!(笑)と思いきや、実はそうではなくて彼自身もまたアイデンティティクライシスに分裂した妄想狂だったからたまらない・・」
「悪党ロルカは、スペイン軍と戦って戦死した息子たちのために教会を建てて記念に町を作ろうとしてる・・というのは実はウソで、本当は、息子たちは父親ロルカをケムッたく思って、かつてクリスを刺客に雇ったこともあるという出来損ないたち。それでロルカは自分を裏切った息子たちを恨んだ末に発狂して自分の妄想に落ち込んじゃっていたのね・・つまり自分の息子たちは本当は勇敢でスペイン軍と戦って死んだのだ、と一人で信じ込もうとしてる」
「そういうロルカ一人の妄想のためだけにご近所のメキシカンたちが総動員させられて土木工事に従事してるというのがこの映画の怖いところだ。ラテン系というよりガテン系メキシカン・・
「もっと怖いのは、そういうロルカの一人芝居っていうか狂気を、映画として見せずにクリスが語って聞かせちゃうっていう脚本の怖さよ(笑)」
「確かに映画は、そういう狂気とか妄想を見せなきゃなんないよね・・ところがクリスが訳知り顔にそれを語っちゃうからたまらないやね。だから脱獄ガンマンたちも、オレたちゃなんでこんな村を守らなきゃならんのだ?ってルサンチマンにとりつかれる」
「捕まった当のチコでさえ、こんな闘いは無意味だ、この世には正義なんかない、あるのは力だけだ、なんてほざくほざく」
「なにしろベトナム時代の作品だからねぇ、この映画はひとえに時代の狂気を描いていると言えるな・・イージーライダー的な無法の西部と紙一重でニューシネマまであともう一息ってところに肉薄してるな(笑)」
「とか言いながらヒクヒク笑わないでよ(笑)。後半になって少しだけ人間ドラマみたいになって、インディアンに襲われて妻を殺さなきゃならなかったガンマンの話とかがエピソードとして出てきたり・・まあ脚本の取り繕いって感じだけどね」
前作では勝利宣言したはずの農民たちですらブリンナーに向かって泣き言を言う。もう帰ってくれ、とかね。アッシたちゃヤギとおんなじで臆病者だ、ぶるぶる震えているのがセキのヤマでさぁ、こんなアッシたちはあんたがたガンマンが命がけで守ってくれるような値打ちもないんでさぁ・・とか言い出したりしてもう、ブリンナー、立つ瀬無いじゃんか(笑)
「彼は彼で極悪人を脱獄させちゃった責任てもんもあるしねぇ(笑)」
「ま、仕方なく悪役ロルカ一人が気を吐いて、自分の農場から3〜400人の手下を連れてきて最後の決戦を仕掛けるんだね。破れかぶれの妄想狂ほどコワイ相手はいないってんでガンマンたちもバンバン応戦して死んでいく」
「新顔ガンマンたちの唯一の見せ場が死に際っていうのはなんともアッケなかった・・」
「で、例によってレギュラーガンマンのクリスとヴィンは生き残り、バーンステインの名曲がぱん、ぱんぱぱん、ぱんぱ、ぱぱぱん♪・・」
なんとも悩み多きガンマンたちでした〜
「マックイーンが出なかったのは大正解。彼って悩むと類人猿ぽいしね」
(2003.5.26)


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