「荒野の七人 真昼の決闘」1972年 アメリカ


ジョージ・マッコーワン監督 リー・ヴァン・クリーフ

この映画のクリスはなんと保安官になってるからまったく西部ってのは無法地帯なんだよな〜
「かなり思い切った設定よね。これまでのクリスはさすらいの無法者、殺し屋ガンマンだったのに、今回は茶色のスーツにホシつけて身持ちもずいぶん良くなってる」
「おまけに若い美人妻までいたりするからなんだか、ハナから白ける・・で、そこに旧友ジムがやってきて、彼もまた保安官なんだけれど、自分の村がメキシコの悪党デトロに襲われているんでクリスに助けを求める」
「でもクリスは取り合わないのね。このあたりの腰の重さをリーヴァンクリーフはよく演じていたと思う。彼もまたトシとってもう戦いはいい、安定した生活を望んでる、って感じ・・」
「それでジムはがっかりして自分の村にスゴスゴ帰っていく・・なんだ、なにも起こらないじゃないか、って感じと、いつかクリスはこのジムの頼みごとに絡んでいくんだろうなっていう期待を同時に持たせる。でも最初のうちは何故かクリスの復讐劇って感じでハナシが進んでいくんだね・・」
「その前に一人の作家が出てくるのね。クリスの伝記を書きたいとかいって。それでその後ずっとクリスと同行することになるの。あれはどうして出てきたのかしら?」
「非常に中途半端な役柄だったよね。銃も使えないし、かといって新しい時代観・世界観を作品にもたらすわけでもないし。強いて言えばただのおしゃべりインテリで、クリスの旅の道連れについて回るだけのタイコ持ち」
「それでいよいよ物語はというと、18歳とかいう少年シェリーが出てくるの。彼、仲間と一緒に酒場だかを襲ったらしくて、クリスは彼を処罰するために刑務所に送ろうとするんだけれど、ドタンバで気を変えて急に許してやる・・まだ子供だからって」
「ところがそれがアダとなって、このシェリーはまた強盗を働いて、クリスと銃撃戦の末、なんとクリスを撃って彼の若い美人妻をさらっていっちゃうから始末に負えないガキだ」
「クリスは作家の助けを借りながらケガを押してシェリーと奥さんの後を追跡していく・・」
「美人妻はシェリーたちに暴行されて殺されていて、クリスはもう復讐の鬼と化してシェリーを追って追って、それでいつのまにか旧友ジムの村に来てました(笑)まったくご都合主義だよなあ。音楽ばかりがぱん、ぱんぱぱん、ぱんぱ、ぱぱぱん♪・・」
「風景は結構いいよね。ハナシがつまらないから背景ばっか見てたけど、まあ見応えある風景だったっけ(笑)。それで案の定シェリーは悪党デトロの仲間になっていて、クリスとジムは共通の敵を持つことになる・・のかと思ってたらあえなくジムは死んでるの。シェリーと一緒に」
「普通なら、ジムはオレの女房のカタキを撃ってくれたんだ、あんがとよ、で済むはずのところ、クリスは義侠心丸出しでね。ジムのかわりにジムの村をデトロの魔の手から救ってやるのがオレのつとめだ、とか言い出すんだね。おいおいお前、保安官だろ?自分の街はどーしたの?
「あ、そこはちゃんと描かれてたよ。奥さんも殺されちゃったんでもう自分の街には未練はない、みたいなこと、言ってなかったっけ?」
「そうだったっけ?実は僕もあの豪快なランドスケープばかり見てたんでね(笑)。それでクリスはジムの村にやってくる・・と、なんと女しかいない! お見事! この<七人>シリーズってほんとオンナっ気ない映画だなあって思ってたから、いよいよオンナしかいない村の登場で汚名返上だ」
「みんな未亡人ばっかり。男たちはみなデトロにやられちゃったと泣きの涙で訴えられて、クリスはいよいよデトロと闘う決心を固めるのね」
「ていうかさ、オンナたちは泣きの涙で『えっええ〜ん!あたしたちぃ、デトロに乱暴されてぇぇぇ』とか言うんだね。泣き濡れた頬! 千切れた袖口! あらわな太股! するとクリスは『詳しく話してごらん』と興味津々。そりゃ僕だってそのテのハナシは出来るだけコト細かく事情聴取したいってもんだよ(笑) なのに映画は肝腎のソコを見せてくれないんだもんなあ、ちぇっ(笑)」
「(笑)はいはい・・ま、とにかくこの作品はそれまでのシリーズものとは発想が違っていて、人集めのプロットで見せていくんでなくクリスの復讐劇でずっと引っ張って来たから、<七人>シリーズってことも忘れそうになっちゃうのね。けど、思い出したかのようにクリスは急に仲間集めを始める。これがまた<続七人>と同じく刑務所で服役中の荒くれガンマンたちを牢屋から出してやるっていうやりかた。保安官の職権乱用
「でもさ、ちょっとはヒネリがきいてたよ。このガンマンたちはただのガンマンじゃなくて、元軍人がいたり、力持ちがいたり、あとなんだっけ? またしてもサル・イヌ・キジ? とにかく名前も顔もいちいち覚えていられないくらいヒネリが効いてたっけ(笑)」
「それで先手必勝とばかりにクリスたちはデトロの屋敷を襲撃するのね。やっとまあ見せ場らしい見せ場がここで来る」
「ガトリング銃を乱射する敵をダイナマイトで吹っ飛ばしたりしてね。あとデトロの女だとかいうメキシコ美人を誘拐したりして。なかなかの美人なのに活躍しない・・普通なら拷問されるはず。『デトロはどこにいるんだ!さぁ吐かねぇか!』とかね(笑)なんもしないでクリスたちはオンナだらけの村に戻ってくる」
「なんかもう、ガンマンたちも、脚本のご都合主義にいいように振り回されてるだけね。機械的に動かされてるだけで・・」
「いんや、そうかな〜。男がいて、牢屋から出してもらったらオンナが沢山いる!敵がいて殺し合いが待っている!あとはナニもいらない!これが西部劇だ!ぱん、ぱんぱぱん、ぱんぱ、ぱぱぱん♪っていう世界観を感じるな(笑)」
「はいはい(笑)マカロニの棺桶に片足突っ込んで見ろってことね(笑)」
「村に到着するとクリスはなんとも面白いことに、オンナたちは窓側、オトコたちは壁側、とか言ってねるとんを始めるんだね。『これから闘いだ。忙しくなる。だから納得ずくでお互い相手を選べ!』とかいいながら集団お見合い(笑) 西部っていいな〜」
「まあなんていうか、あのへんはちょっと・・なん〜かヘンだよね〜(笑)ま、気持ちは分かるけどさあ(笑)」
「オンナたちの仕事はオトコが撃ち尽くした銃にタマを篭めることだ、とか言うセリフって、なかなかいいよね〜(笑)でもナンか違ってない? タマを篭めるのは男のヤルべきことでぇ・・? 違う? ま、そんなこんなでオンナっ気のなかった本シリーズもついにオンナだらけの西部劇になってまいります〜と、それはともかく戦いの前の緊張したひとときに目配せを交わすガンマンと村の若き未亡人たちっつーのがね、燃え上がる予感ムンムン〜♪でいいんだよ」
「狩刈くん鼻息あらくなってきたよ(笑) ま、あのあたりはこの映画で唯一エモーショナルな、人間的な情感が描かれていたとは思うけどねぇ・・クリスに付いてきた作家が一人、ごにょごにょイジイジつぶやいてたりしてたけれどね〜」
「こんなにオトナ的な展開になって来ると、もはやガンマンたちの自問自答とか村人たちのルサンチマンとか悪党討伐の大義名分とかは一切不要。問答無用で男と女、あとはパーッと燃えて散るのが花なのよっていう決死のエモーションで熱気ムンムン! しかしちょいとお色気不足というソシリは免れないだろな〜ここらは当然ながら、ムラムラッとした濡れ場があってしかるべき!」
「(笑)はいはい・・ところが映画は早速、最後の闘いの準備になだれこんで、男たちは穴を掘り、女たちは土嚢を積み上げたりしていくのね」
「そういう土埃と汗にまみれたオトコとオンナの世界がどうして濡れ場になだれ込んでいかないのかなあ・・せめてシャワーシーンとかさ(笑)井戸端でラブシーンとかさあ!どして?」
「あたしに聞かないでよ(笑)とにかくドンパチ始まって、ガンマンたちは一夜妻の目の前であえなく死んでいく」
「残念ながらそこには悲壮感が不足してるんだ・・それというのもその前に濡れ場がなかったからなんだよ、汗とホコリにまみれた肌と肌とが熱く触れあい燃え上がる、っつー場面がないから男たちの死に様にも痛切な悲壮感がない!」
「こだわるねぇ(笑)」
「えーー・・おあずけ状態が長かったもんで(笑)。まあラストはそれなりに笑いを誘うっていうかな・・クリスと作家と、あと一人、脱獄ガンマンが生き残って、クリスはこのガンマンをジムの後任としてこの村の保安官に任命する・・と、ところが、っていうオチ」
「まあこうして<荒野の七人>シリーズを見て思うのは、まあやっぱり<馬上の決闘>だっけ? メキシコ革命絡みのやつ。あれが一番よく出来てたかなあっていう感じ・・でもジョージ・ケネディじゃねぇっていう恨み辛みつき」
「確かにね。オンナっ気もなかったし・・僕としちゃ<馬上の決闘>でさ、ディエゴ大佐が革命軍の捕虜をいちびってるじゃない? あれが今回出てきた未亡人たちだったらもっと最高だったのにな〜とか思うわけ(笑)なんかジェス・フランコの女囚拷問エロ映画みたいだけどさ。というわけで、ぱん、ぱんぱぱん、ぱんぱ、ぱぱぱん♪
(2003.5.26)


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