「リトルショップ・オブ・ホラーズ」1986年 アメリカ



フランク・オズ監督 リック・モラニス エレン・グリーン スティーヴ・マーティン

「ひゃっひゃっひゃっ! 僕はこの映画を見て歯医者になろうと決心したことがある・・」
「Sマーティン演じるサドの歯医者のシーンだけはいつ見ても突出した抱腹絶倒で、そこにマゾ患者ビル・マーレイが絡むともう、お腹がよじれちゃう(笑)あぁ最高!」
「あのシーンだけで映画を一本、見たくなるよね・・これは大好きなブラックジョーク・コメディミュージカルの傑作です!」
「もともとロジャー・コーマンの作ったC級ホラー映画。それがオフブロードウェーの人気ミュージカルになって、再度の映画化。何度も作り替えられてるおかげで全体的にスッキリして、まあ小さいけれど密度が濃い、って感じ」
「えーと、物語は一応、宇宙からの侵略物体モノといっていいのかな?主人公は、うだつのあがらない花屋の店員シーモアくん。ある日、謎の中国人から小さな鉢植えを買って自分の店に飾ってみるとアラ不思議、次から次へとお客がやってきてお店は大繁盛。しまいにゃテレビや新聞にとりあげられ天才園芸師というスターダムに押し上げられちゃう。と、ところがその鉢植えは宇宙からやって来た食人植物だったからサァ大変。オレ様のおかげでスターになったんだからヒトの肉を持って来い!とシーモアに殺人を強要する・・」
「まあ、物語よりも全編ノリノリのミュージカルナンバーが楽しいのね〜それと食人植物オードリーUの造形と操作の素晴らしさね。CGなんてなかった時代のマペット時代ならではの材質感とか重量感みたいなものが、すごくエキサイティングだった気がする」
「舞台はスラム街のスキッド・ロウ。そこは貧乏人たちのサエない街。どうしてそういう設定なのかとちょっと理解に苦しむかな・・べつにロンドンのコヴェントガーデンでも良かったんだろうけれど、シーモアとオードリーの恋物語、そしてオードリーが憧れる陳腐な中流生活への笑いを誘うためだったのかなぁ・・オードリーワンが読んでる雑誌Better Homes and Gardensは今でも続いていて、アメリカ人の家庭的物欲嗜好をぞんぶんに煽り立ててくれる雑誌としても有名だし」
「確かに二人がスラムの花屋だったからどうだった、という直接的な因果関係とか発展関係とかは希薄だったよね。でも映像的に、ああいったウエストサイド的な雰囲気を通じて映画世界のレトロっぽい感じ、食人植物が出てきても違和感ない感じ?(笑)をうまく出してたと思う。なにしろ時代背景は六十年代なんだし。今のニューヨークを舞台にしたらちょっとムリがある話だもん、これ」
「レトロなるがゆえのファンタジーだね。映像は<ブルックリン最終出口>みたいなね、全体にテクニカラーなコントラスト強めの天然色なんだよね。すべてセットを組んだらしいけれど、そのせいかライトも自在で全編がワンカットで出来ていたような、実になめらかなモンタージュだった。カメラの動きがすごく自然で、狭いセットを縦横無尽に映し出してたと思う」
「とはいえ歯医者のシーンは強烈すぎて、さっきも言ったけど突出してたわ(笑)エクストリーム!オードリーUのほかに究極のオレ様がこっちにもいて治療器具のディテールとかプレスリー風の腰の動きとかのいちいちもキマってさすがSマーティン。ビル・マーレイとの掛け合いもさすが。ここがあんまり可笑しかったせいで元の物語に戻った途端、ちょっとテンポが落ちちゃった・・っていうかまあ、そこはオードリーUとシーモアの歌でかなり救われたけれど」
「ほんとの見せ場はソコにあったはずなんだけどね(笑)リック・モラニスとマペットの掛け合いはマペットがあまり早く動かせないんでフレームを落として撮影されたらしいね・・昔はそういう撮影はよくあったものだけど見事な息の合いようだった」
「最後はまあめでたしめでたしのなかにちょっと毒を入れたけれど、とにかく無邪気に楽しんじゃえって感じのノリの良さとこじんまりしたまとまりは見事」
「不満といえばとにかくもっとももっと歯医者のシーンが見たいことに尽きる!(笑)」
(2005/03/29)



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