「恋する惑星」1996年香港



ウォンカーウェイ監督 金城武 トニーレオン

「地下鉄とか街なかとかで、ふっと女の子や若い男とすれ違う時、瞬間的に、あっこいつって恋してるっ!って伝わる時があるよね。女の子だとモノ凄く可愛いっていうか輝いてる、ヤローにしても罪がないっていうか自信に満ちあふれてるみたいな・・ま、甘美な幸せってもんで輝いてる、すぐに分かる。そういうことってあるでしょ」
「あるよねぇ恋の気持ち、他人でも感じるんだから自分自身じゃコントロール出来ないってことも、あるわよね」
「この映画は、まったくそういう気持ちの伝わる映画だね」
「後半はね。前半のストイックなエピソードは、ちょっとスタイリッシュに作りすぎみたいな気がしたけれど」
「うーん、僕としちゃ実は前半の方が好きと言えば好きなんだな、好みの問題だけど。僕自身フラレた場合、金城武とトニーレオンとどっちになるかというと、多分金城武になると思う、そういう意味での好みなんだけど」
「男と女で見方も違うよね。前半後半ともに一種のファンタジーであることには変わりないの。前半はきっと男の側のファンタジーでしょう、ヤクの売人やってるハードボイルドな金髪変装美人との一夜の出会い、何もなく別れるけれど一生忘れられない恋。それに比べて後半は女の子の側から描いたファンタジーで、ちっとも自分の気持ちに気がついてくれない相手、ううん、彼女自身このまま相手には気がつかれないでいたいなって気持ちもあってそれがすっごくよく分かるし、もう見ていて胸が苦しくなるよ」
「僕、後半はあんまり楽しめなかったな。ま、よく笑えたけれど。別れた彼女のモノがまだ部屋にあるっていうツラサ・・あれはホントにツライ(笑)。次の彼女が出来るまで未練がましく残しておく、なあんてね。でも僕はあそこまでグチらないけど(笑)」
「ぬいぐるみにブラシかけてやったりしてね(笑)」
「ま、極論すれば後半のトニーは前半のブリジットと同じで、ちょっと作られ過ぎって感じはする。後半はフェイのジタバタ(笑)してる気持ちが、よく伝わるよね、女の子のさ、好きな人のそばにいたい、影ながらそばにいたい、って気持ちが時としてもの凄く大胆に花咲くみたいなことってあるし、だから却って面と向かって誘われちゃうともう大パニックになるってこと、男のカーウェイ監督がよく描けたなあって思った。それに比べると前半はままありがちよね」
「確かにそう言われると前半はちょっと劇画タッチの男のロマン、みたいな感じはするな。けどそれなら後半は乙女チックな少女マンガかって気もするし(笑)」
「まあそういうもんでしょう、恋って他人の目から見るとマンガちっくなとこはあるよね(笑)」
「金城クンは、どうだった?」
「うーん、ちょっと(笑)まだよく分からない。別に刑事でなくても良かったのにね、ラーメン屋の店員とかさ(笑)刑事でなかったら彼の別の一面が見られたんじゃないかと思った」
「なるほどね。彼は育ちのいい顔してるから、もっと苦労しなくちゃ幅が出ないよ。一方フェイにはあんまりヤル気が感じられなかった、あれが彼女の持ち味?なのかな」
「役者の中じゃあのスタンドバーの店主ね、彼がいい味を出していたよね、若い連中の恋路にエールを送る、その送り方が実に爽やかでいい」
「彼を狂言回しにした恋物語二題って感じにも思えたな」(1998.7.10)

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