「ホテル」1977年イタリア・西ドイツ



カルロ・リッツァーニ監督コリンヌ・クレリー ブルース・ロビンソン

「なんか最近、こういう映画って見ないよね、ポルノまがいのラブエロロマン映画。アルバトロスとかニューセレクトがちょっと気取って配給するみたいな(笑)映画」
「日本に入ってないだけなんじゃないの?なんかVシネマって、こんな感じ?わたし見たこと無いけど」
「うーん、いろいろあるからなあ。でも、僕、この作品はね、結局はただのエロになっちゃったけど、ほんとはもっとドラマ仕立てにもなりえた面白い作品にも思うんだよね」
「わたしには全然・・因果な業がトホホにしか思えない(笑)」
「まあ、そうなんだ(笑)僕も<O嬢の物語>のCクレリー主演じゃなかったら見なかったと思うしね。彼女の<ヒッチハイク>が意外に傑作サスペンスだったこともあって、それでまあ・・つい(笑)同じくイタリア製だし」
「言い訳はいいとして、この映画は、西ドイツの赤軍派の行き詰まりと自滅みたいなのを背景にしてるから、ファスビンダー監督とかの<秋のドイツ>ね、あのへんと一緒に見ると少しはいいかも
「あ、さすが女史ですなあ、ナイスフォロー・・うんうん、そうなんだよね。テロ仲間にも女友達にも疑心暗鬼になって、警察にはビクビクして、ずっとホテルに缶詰状態になって頭がヘンになりかかってる過激派の青年とひょんなことから隣部屋になっちゃった貞淑そうなブルジョワマダムの、道ならぬ激しい恋愛、と言うと、すこしはカッコがつくかな(笑)」
「Cクレリーは全然貞淑そうじゃないよー。でもあの過激派・・って死語だけど(笑)彼の方は、ギリギリの精神状態をまあよく演じていたようには思うけど」
「彼は確かに説得力のある演技だったようには思うね。サツバツとしていてね。だからマダムがついよろめいちゃうってのも、まあ分かる。でも、あそこまで、つまり『二人キリで誰も知らない海へ逃げましょ』みたいなとこまで急に燃え上がっちゃうのはどうもなあ」
「でも、まあ(笑)そういうこともあるんじゃないの」
「えっ、そう?女史もあんな過激派にクラッと来ちゃう??」
「えー?くらっ(笑)かどうかは別として、わたし、あれはブルジョワマダムの、ほんの火遊びみたいに思うのね。つまみ食い(笑)」
「はあ・・じゃ本気の大恋愛じゃなかったわけ?」
「うーん。はっきりとは言えないけど、最後に青年は自殺しちゃって、マダム・クレリーは何事もなかったようにタクシーに乗って立ち去るじゃない。あれはまったく、ただの火遊びよねー。さ、お家に帰りましょって感じ」
「とすると・・マジに大恋愛と思ってたボクがウブだったのかあ。僕は、もしマダム・クレリーがあそこまで青年を熱愛しちゃうんだとしたら、彼女をそこまで夢中にさせちゃうには赤軍派じゃ無理な設定だな、役不足だな、なんて思ってたんだ」
「マダムがどうして欲求不満なのかは分からないけど、なんか隣部屋を覗き見したりして、ああいうの、男の妄想がかなり入ってるよねぇ(笑)。でも最初から気を引くみたいな感じもあって、たまたま遊んでみた相手が落ち目の過激派青年だっただけ。心の隙間に忍び入ったアバンチュール・・って、これも死語だけど(笑)」
「そうするとCクレリーが貞淑そうに見えないというのも、さもありなんというわけか。思い当たるフシがあるのは、あの物憂げなサックスがね、なんか退廃の一歩寸前の叙情なんだよね。それとあのホテルは学生時代に泊まったことがあるとか言って、その途端にかつての情事がフラッシュバックされるよね」
「ま、あとはエロ映画でしょーもない感じもしたけど」
「なぜか突然、性病検査とか・・ペーターカーンの行きつけの店のウェイトレスが赤くて異常に短い超ミニだとか(笑)。Cクレリーはいかにも『おフランス』って感じでベルリンにはひときわ目立つ」
「狩刈くんの好みだと、あの髪型は今イチだったんじゃない?」
「わーそこまでお見通しだったとは!!ショートパーマじゃねぇ(笑)。うーん、ちょっと今回は女史にヤラれちゃったなあ・・ひょっとして女史にも火遊び願望があるわけ?」
「さーどーでしょ(笑)」(2000.3.27)

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