「新サイコ」1977年 アメリカ


メル・ブルックス監督 メル・ブルックス マデリーン・カーン

「これは・・いうまでもなくヒッチに捧げられた最高のパロディ・オマージュ作品で、基本は<めまい>と<白い恐怖>なんだよね。サイコはあくまでも邦題・・まあ客寄せには良いけれどね」
「精神病院が舞台で、主人公が精神分析医の権威のソーンダイク博士」
「ソーンヒルだね、<北北西に〜>の」
「それでその彼が高所恐怖症なの、原題はhigh anxiety・・高いところ心配症って感じ(笑)」
「すでに<めまい>。精神病院の医者が実はアタマのおかしな医者ばかり、というのはね、もちろん<カリガリ博士>以来の常套ネタで、それだけでどんなことになるかは想像がつく。僕としちゃ水を得たおサカナ状態で安心して見ていられる(笑)。<白い恐怖>のヘンテコなひゅ〜ひゅ〜いう音楽とか、マンマだったしね」
「死んでると思った教授が寝てるだけ(笑)。それから<めまい>。サンフランシスコ湾のシーンとか、ラストの塔を登っていくシーンとか・・」
「マンマのシーン再現だけじゃなくて、一般公衆の面前でのハデな殺人とか、アイディアの部分でもパロディが冴えてた。ホテルのロビーで殺し屋がピストルを撃つところ、あそこは僕、ぜひ背中にナイフって感じでやってもらいたかけどね」
「でも、あのホテルのシースルーエレベーターが、なぜか<タワーリング・インフェルノ>だったりするのね(笑)」
「それを言うならブルックスは途中でフランク・シナトラにもなるし・・今回は、なんかメタメタにやってくれていて、なんか吹っ切れてる。<鳥>がきったない糞したり(笑)」
「<サイコ>のシャワーシーンは見応えあったね、あれ、まったく同じカット割じゃないかしら」
「そうだねぇ、実際、<サイコ>のパロディはあそこだけなんじゃないかな・・途中、病院の職員が車に乗ってハイウェイを走って対向車のライトが眩しくて顔をしかめる、なんてシーンもあったけれどね、違うかなあ」
「今回はヒッチに捧ぐ、ってこともあって、いつもみたいなドタバタした騒ぎとか下ネタとか風刺的なセリフ回しは、比較的少なかった。俳優たちもあんまりヘンなのは出てこない・・婦長役のクローリス・リーチマン以外は」
「そう。むしろ細かいところでマニアックに来たね、窓ガラスを通ってカメラが外から部屋に入ってくるようなヒッチならではの意表を突いたカメラワークごとパロったりしてた」
「そもそもお馴染みマデリーン・カーンがヒッチ好みのブロンドで・・全然、似合ってないんだけど、お下品なGケリーもどきっていうか(笑)今回のお遊びはそういうディテールの凝り方ね」
「ていうか、ありゃカレン・ブラックだな、あの帽子は。ま、そもそもコメディの巨匠ブルックス監督がサスペンスの巨匠ヒッチをパロる、というアイディアだけで当時、全米が湧いたらしいんだね」
「今回はブルックス監督出ずっぱりで、狩刈くんも大満足でしょ」
「そうだねえ・・こういうことをやる才人が、いなくなっちゃっただけに、彼にはもっともっとやってもらいたかったな。ただ、今回の映画で唯一、残念なのは・・」
「はいはい、なんでしょ?」
この映画には絶対に、彼をカメオで出すべきだった
「ヒッチご本人ね」(2001.2.10)


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