「グロリア」1980年アメリカ



ジョン・カサヴェテス監督 ジーナ・ローランズ

「カサヴェテス監督はニューヨークインディー監督として名高くて、まあ傑作も数多かれど、今回はこの映画に限ってのあれこれ〜としたいなぁ」
「とにかくグロリア素敵!ジーナ・ローランズかっこいい!としか言いようがないのね・・作品としては小さい映画だけどヒロインのド迫力だけでなんか、肌に来るって感じの映画(笑)まあそれだけ。でも良い感じ」
ニューヨークがね、広いんだね、グロリアと男の子はタクシーに乗ったりバスに乗ったり地下鉄に乗ったりするんだけれど、どこまで行ってもニューヨーク。しかしまるで閉塞感がなくてね、うっすらとした寂寥感と澄み切った空気さえ感じられる・・ここらはなぜかいつ見ても新鮮だ、もう四半世紀も前の風景だというのに」
「物語もいたってシンプル。ギャング一味を裏切った咎で、ある一家が皆殺しに合う・・だけど六歳の男の子一人が皆殺しの前にグロリアに預けられていて、それで彼女はうっかりギャングたちを撃ち殺しちゃったから子供と二人でニューヨークじゅうを逃げ回ることになる・・」
「だからこそキッカリまとまってブレない。グロリアという熟女の一人舞台となって、それだけでも十分ハダに来るわけ(笑)」
「うーんまあ、そう、かしら。ただあの男の子の演技は見ててちょっとツラかったかも・・たどたどしい英語とかも。もうちょっと起伏があったら、というか、もうちょっと感情的にグロリアに絡んで貰っても、っていう気はした」
「確かにまあ、あの子役は演じ方は難しかったろうけれどもね。まさかジーナ・ローランズほどの大女優が子役に喰われちゃうとは思えないけれど、そういうリスクをあらかじめ回避しようとした、という感じはきっとあったろうね」
「ナタリーポートマンはジャンレノを喰ったかしら?」
「僕的には喰った(笑)・・はともかく、こういう展開の物語でオトコと少女という組み合わせ、つまり<レオン>の場合だけど、それだったらなんか、あまりにも当たり前な発想って感じがするな。一方この<グロリア>は大アネゴと男の子、しかもそのアネゴは子供嫌いで猫と暮らしていて身につけてるモノはすべてエマニュエル・ウンガロというのに、ただ母親と友達だったからという理由だけでその子供を預かってしまう・・しかもそのアネゴがシャロンストーンでないとすれば(笑)以降のドラマの深まり方は当然にグロリア自身に集中するし、そんな感じを演じるにはもうジーナしかいないでしょ〜?これはカサヴェテスでなくたって彼女を起用するよ」
「確かにそういうふうに見るとNポートマンのリリカルな味わいがなかったら<レオン>は深まらなかったのかも・・」
「なんか『この映画に限ってのあれこれ』になってないんだけど(笑)・・オープニングの持って行き方がね、さすがカサヴェテス監督なんだね、次第に高まってくる緊迫感はただごとでないし切ないし」
「新聞記者に写真を撮られたり追っ手を撃っちゃったりと一気に深みにハマってく。その都度『夢』というキーワードが出てくる・・グロリウは子供に『これはただの夢なんだって思いなさい』って何度も言うの。あれ、解かれなかったけど。あとはまあ強いて不満といえば、グロリアの過去とか、トニーとの関係とかいったメロドラマな部分の要素がもう少しだけ欲しかったかなぁっていう気がするの。アネゴ啖呵は最高にカッコいいんだけど深まりという点ではどうだったかなぁっていう気がする」
「子供が作品を深めなかったのは誤算だったかな?(笑)」
「まあ、そうかも」
「ヒスパニックな子供が人種のルツボNY的にどういうメッセージを持っていたのか、僕にはそこまでは分からなかったな〜タンジーニだってアラブ系?けど不満といえば実は消化不良なところがなかったっていうのが僕の最大の不満で(笑)それは女史が最初に言ったようにこれは小さい映画だから、ってことで紛らわしてるよ(笑)それとあのとってつけたようなハッピーエンディング、は仕方がないか・・胸がスクかと言われるとそうでもない。カサヴェテス監督としちゃジーナ・ローランズを殺すわけにいかなかったのかも知れないけれども、子供は子供としてあの後もずっと生き延びていく、一方グロリアは多分エレベーターのなかで撃たれていたんだ、ってことでこの『逃亡物語』がスッと結末をスリ抜けていく、そういう終わり方もあったろうにとは思うね」
「その場合なら子供が大人になってから、昔、自分の命を助けてくれた恩人の大アネゴを思い出す回想の物語、というような感じの語り口でも良かったかも・・」
「それはまた泣けますな〜(笑)スティーヴン・キングにネタを売ってよ(笑)」
「わたしの不満はやっぱりあの子供かな〜少なくともあの派手なシャツがどういうわけかカンにさわるの(笑)」
「あのシャツまでウンガロだったのかもよ(爆)」
(2005/05/12)























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