「フィフスエレメント」1997年フランス

リュック・ベッソン監督 Bウィリス

「珍しく、超大作娯楽映画を見てしまいました」
「ま、面白かったという以外に語るべきことも少ないんだけど、ベッソン監督がこれまでの作品を踏まえて、やりたいことをやった、という爽快感はあるね」
「つまり<サブウェイ>の近未来なデコラティブ映像と<ニキータ>のリリカルなヒロインものと<レオン>のハードボイルドなヒーローものをミックスしてSFXと超豪華セットで思う存分に暴れたという感じかしら」
「ベッソンとしては、これをやりたかったんだよ!って言いたいんじゃないかな。次回作が楽しみ、というか、やるところまでやっちゃって逆に次を心配しちゃうよ」
「もう次回作なの?もうちょっとこの作品の話をしましょうよ。わたしはゴルチェの衣装は、流石に見栄えがしたと思う」
「DJの衣装とかスチュワーデスの制服とかはね。でも僕はBウィリスが相変わらずの<ダイハード>の格好なのが気に入ったな、<パルプフィクション>でもそうだったし、彼は破れかぶれのシャツ以外着たことがないんじゃないかな。またかよって感じで、呆れて安心して見ていられたっていうか・・」
「誉めてるの?」
「はい。誉めてます。彼は、ほら、頼りがいがないようである、行き当たりバタリのアクションヒーローをずっと演じてきたけれど、そういう路線では独壇場だよ」
「ヒロインは可愛かったね。スーパーモデルとはいえ女優としては新人を起用したから、とても印象的だったと思う」
「ま、お遊びが多くて飽きさせない。<ブレードランナー>への数々のオマージュを見て、ベッソン監督の謙虚さも感じたな」
「うどん屋の東洋人から、ヒロインのバク転殺陣とかね。あと、ぶんぶん走り回る空飛ぶ自動車とか。未来世界の造形は、びっくりするくらい<ブレードランナー>そっくり」
「そこにオリジナリティを求めてはいけない。パロディと見るべき。笑うべき
「うーん。オリジナリティと言われると、ストーリーからディテールに至るまで、あまり気づかなかったけれど、どう?」
「タイレル社ならぬゾーグ社というネーミング。あれにはフランスの香りが漂う(笑)」
「レイチェルならぬリールーというヒロインの名前も、少しね」
「歌手がオペラを歌い始めるのは<ディーバ>のおさらいかな」
「あれはJJベネックス監督よ」
「失礼。何を歌うのかと思って、一瞬期待したんだよ。全編見せ場みたいな作品だけれど、ああいったコンサートで歌を聞かせるシーンっていうのは、ストーリー展開とは違う次元で見せ場であるべき。その歌声に一瞬ストーリーを忘れさせてしまうような、口直しのソルベの趣きがあっても良かったはずだ」
「あのエイリアン歌手じゃそれを期待する方が間違いよ。あの歌手はヒロイン以外に一身にスポットライトを浴びる唯一の女優だからゴテゴテのエイリアンにされちゃったのね・・確かにどこを切っても予告編、みたいな連続でそれは痛快なんだけど、みんなどっかで見たことのあるシーンばかり。冒頭のエジプトは<未知との遭遇>のチベットだし、口うるさい母親は<未来世紀ブラジル>だし、ならず者たちは<スターウォーズ>だし・・」
「分かった分かった! それで、まさか神父は<薔薇の名前>だとか言うんじゃないだろな?」(1998.5.5)

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