「FEMALE VAMPIRE/処女吸血鬼イリナ」1973年フランス・スペイン・ベルギー



ジェス・フランコ監督 リナ・ロメイ

「これは全く、完全にポルノ映画でござるな」
「お!その喋りクチは、まるで三太夫ではないか〜〜っ!」
「そういうあなたはお館さま!」
「(笑)ちょっと、なんかTPO全部が狂ってんじゃない、これ?」
「どうせ誰も見てないでしょうが!(笑)特にこのフランコ・セレクションなんて閑古鳥しか来なくて、拙者はもう大糞害ばかりでござる(笑)」
「糞害? 寿司ネタを注文するのにス●トロとか言ったの、お前か?」
「なんかヤブレカブレでござるな・・だいたいここに来るとお館さまの不健全な精神状態が移りそうで、困るでござる・・」
「三太夫!健全な肉体は健全な精神に宿る、とは限らんのだ。よいか、不健全な精神こそ、健全な肉体を必要としておるもんじゃ
「・・・・??」
「なんとなれば、不健全な精神にとっては、ちょっとくらいイジめてもガタが来ないような、丈夫で長持ちする若き肉体が必要なのじゃから」
「・・・・??」
「ついでに言えば、その肉体は、出てるところはちゃんと出ていて引っ込むところはちゃんと引っ込んでいて、さらに従順なうえに、衣服は無用じゃ
「いよいよ、精神が崩壊して参りましたな・・おーい皆の衆、お館さまがご乱心だぞ〜〜い!」
「ふふふ・・このフランコ・セレクションでは助けを求めても誰も答えんわい!それより、ここはひとつ、猟奇を夢見る親分と忠実な下忍の関係、ということでどうじゃ・・なんとなくダークでアングラワールドらしき響きがあるではないか」
「そーゆー問題ですかねぇ親分」
「お!やれば出来るぢゃないか下忍!思わず旧かなづかひになりさうぢゃ」
「そこまではかんべんして下さい、これ異常のウチワ受けは禁物でござる・・」
「と、いうわけで、今回の<FEMALE VAMPIRE>だがな、下忍よ、ワシが推察するに、おぬしはおそらく<FEMALE VAMPIRE>という映画を見たのであろう、どうだ図星か?」
「??・・・・おーい皆の衆・・お館さまが・・」
「こら、最後まで良く聞け。実はこの映画には10本近くのヴァリアントがあるのじゃ
「ヴァリ?」
「要するに、同じフィルムを使った違う映画が10本近くあるということじゃ、驚いたか!」
「そそそそれは、いわゆる分身の術というやつですかい?」
「そうじゃ・・だが驚くことはない。フランコ・ワールドにはよくあることじゃ(笑)この映画は世界中で、Les Avaleuses, Bare Breasted Countess, The Black Countess, La Comtesse aux seins nus, La Comtesse noire, Erotic Kill, Erotikil, Female Vampire, Lus Insatiable, Jacula, The Last Thrill, The Loves of Irina, Sicarius - the Midnight Party, Yacula、処女吸血鬼イリナ、などと呼ばれておる。そして、それぞれにみんな内容が異なるのだ、聞いて驚け!」
「驚くことはないのか驚いたらよいのか拙者、もう分かりませぬ(涙)・・すると拙者が見たのは・・」
「特にポルノ色の濃い方のやつじゃ、よかったのー」
「ほかのものは、どう違うのです?」
「全体にホラー色とポルノ色に染め分けられてグラデーションのかかった、まるで七色の虹のような作品群。それがこの映画群の正体よ、かっかっか!」
「親分は全部見たんですかい?」
「いんや(笑)ニューヨークでErtoikillというのだけ見た。すごい!言うにはばかる凄い作品じゃった〜〜!!」
「して今回の<FEMALE VAMPIRE>との違いとは?」
「違いか?・・よう分からんかったな(笑)。だがフランコ映画であったことには変わりはない。下忍よ、なにごとも本質を見極めることが大事なのだ。外見は二の次じゃ。特に映画のように外見ばかりを追求する芸術においてはな」
「はあ・・キモに銘じまする。ところでストーリーはというと、女吸血鬼が主人公で、彼女はセックスすると必ず相手を殺しちゃうんで自己嫌悪に陥って、ついには血の池で自殺しちゃう、という物語でよいのですかな? 物語は濃厚に濃厚を上塗りしたセックスシーンとヌードシーンにたびたび中断されて、よく分からぬのですが」
「ワシにもよく分からぬ(爆)だが驚くことはない。物語など、どうでも良いのがフランコ・ワールドじゃから」
「なんでもかんでもフランコ・ワールドの一言で片づけようとなさいますな・・しかし女吸血鬼を演じたリナ・ロメイ嬢は実に可愛かったでござる。拙者、もう、じゅるじゅるもんで見ておりました・・どことなく仲間由紀江嬢とか中山エミリ嬢を思い浮かべた次第でござる」
「なに、そんなアイドルのハシくれと一緒にするでない。リナ・ロメイゆうたらフランコ御大の生涯のパートナーぞ!控えおろう!」
「ははーっ。しかし似てませんかな・・ちょいと下膨れですが」
「うんうん。確かにな・・目がクリっとした沖縄系童顔で、ちょいと悪気のない板面顔で」
「板面顔とはナンでござる?」
「あ、勝手に変換しておる。イタヅラ顔、と言いたかったのじゃ。小悪魔顔と言っても良い。この映画でヘアーふさふさの大熱演をしてくれたロメイ嬢は、当時、わずかに19か20だったのじゃ、うほほーい!」
「確か、その後もフランコ監督の映画に数十本主演して、さらに編集やら音響やら助監督やらとスタッフにも回って、内助の功全開バリバリの美人と聞いておりますが」
「そうなんじゃ。よいか下忍。これぞ男のユメぞ!世間の右も左も分からぬ18、9の娘を40男が捕まえて、ぐるぐる巻きに・・じゃなかった、スッポンポンにして、おのがフランコ・ワールドのすべてを丈夫で長持ちする健全な肉体に叩き込み、ついには可愛い助手に仕立て上げ、その助力によって世界を征服する!まったくもって男の夢!マッド・サイエンティストの憧憬の的!それがフランコ御大とロメイ助手のプラトニックな関係なのじゃ!
「なんか目がウツロでござるな親分。世界を征服するとはまたオオゲサな・・」
「そうか?少なくともワシはフランコ御大に身も心も制服されちゃったぞい・・」
「とはいえ、まあ今度ばかりは親分の言葉にもウソが混じってないようでござる・・少なくともこの映画ではロメイ嬢は最初から最後まで全裸でござった
「たま〜に太い黒革ベルトを腹に巻いてるだけでな(笑)あとは金糸の刺繍入りロングブーツだけ・・それ以外は一糸もまとわん。あとは、ふさふさヘアー(笑)。カンペキじゃ!」
「まったくもってフェチの世界で、拙者などはもう目のやり場に困るばかり・・それにこれ非合法ビデオでござるよ」
「なに。見るべきところを見ておればよいのじゃ。ワシなど、心頭滅却して見るべきところだけを見ていたのであって、べつに映画を見ていたわけではない(笑)。従って非合法でもナンでもあるまい」
「まあ、とにかくフェチのあらゆる要素が詰まっているのがフランコ・ワールドというわけですな」
「おおお分かって来たではないか下忍! そうなのじゃ。そしてフェチにおいて最大にして至高なる欲望とはなにか?それはピグマリオン、つまり人形愛じゃ、イライザの世界じゃ・・生きた美少女を、手取り足取りアメとムチで、おのが欲望宇宙のマナコア帝国に君臨する姫君に育て上げること・・それをフランコ御大は、このリナ・ロメイ嬢において完全無欠なまでに成し遂げた!これぞワシが御大を敬愛してやまぬ最大の理由なのじゃ!」
「はあ・・ま、そういうチャンスに恵まれたフランコ御大はシアワセ者と言えますなあ、感心感心・・」
「のう、下忍。感心ばかりしてないで、ワシにもそういうチャンス、拾って来い!」
「そそそんな無茶なこと言っても、なかなか手には入りませんて・・」
「うーむ。お前は努力が足りん。努力じゃ。御大にしても30台半ばにして手にしたチャンスじゃ。若いお前が頑張らんでどうする?」
「どうすると言われましても、どう努力したら良いのやら・・」
「それはな・・・・うーむ」
「うーん」
「うーむ」
「うーん」
「うーむ・・・リキんでも出るモンが出ない。そうじゃ、わかった!」
「ははっ。どういたしましょう?」
「下忍よ!そこらの出会い系サイトに入り浸るのじゃ!」
「うーん。お言葉ですが、それ、努力と言えますかな?」
「・・・仕方ない。そいじゃ次なるフランコ映画を見て、達人の極意を謙虚に学び合おうではないか
「ははっ」
「あくまで謙虚に学ぶんじゃぞ!」
「ははーーーっ!」(2001.5.15)


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