「エリン・ブロコヴィッチ」2000年アメリカ



スティーヴン・ソダバーグ監督 ジュリア・ロバーツ

「まあ、<リキッド・スカイ>とか<チャオ!マンハッタン>みたいなゲバルト映画の後で見ると、この映画の描く世界は善意に満ちてばかりいて、最高にタイクツだ!(笑)
「とまあ、そうウソブイても分かってくれる人が少ない・・というのが、狩刈くんの孤独ね(笑)」
「あららー言われちゃった。ま、図星なんだけれどさ・・これはJロバーツのJロバーツによるJロバーツのための映画だから彼女のオスカーもさもありなん!で感じ。ただ生憎、Jロバーツは僕のタイプしゃないってこと・・ま、それだけ」
「Jロバーツが、ひょんなことから弁護士事務所で働くようになって、それで大企業の公害隠蔽問題を嗅ぎつけて、上司の弁護士と一緒に企業と和解交渉へ漕ぎ着けて巨万の和解金を原告団にもたらしました・・っていうお話」
「ちなみに今回のシンデレラは3人の子持ちで一文無しでした!」
「無邪気な娼婦とロマンスグレーの大富豪が結婚しましたっていう話しにも、確かに似てるんだけども今回はそこまで極端なおとぎ話じゃない・・実は実話」
「ま、それはともかく、アメリカ人がこういう話しが好きなのはいいし、まあある種のアメリカン・ドリームでもあって、でもドリームにしちゃなんかダウンサイジングされちゃったし、そこにコメディエンヌJロバーツの等身大が被さってくるあたりで早くもオスカーは見え見えだね」
「まあ狩刈くんみたいにアメリカ!と言えばすぐ苦悩せる超大国の病魔荒廃! みたいに直結しちゃう人にとっては、大抵のハリウッド映画は最高にタイクツ!なんでしょうけど(笑)この映画は健全で良識があって、それなりにヒロインの活躍ぶりにも爽快感があって、その分、イヤな言い方だけど、狙われた女性映画・・って感じも確かにするのね」
「狙われた女性、の映画じゃないでしょ(笑)。ただ観客層のターゲットとしてね、若い子持ち女性に奮起を促すような、ね・・きっと世の主婦たち、特に働きに出たい母親たちってのは、この映画に出てきたジョージだっけ? ああいうタダでベビーシッターしてくれるよなハウスハズバンドがいたら、そりゃ最高だろうね。なんか、そういう面で、この映画はご都合主義が臆面もなく出しゃばっていてね」
「それをいうなら、弁護士のエドにしてもそうね。この映画はソダバーグ監督みたいなインテリ然とした人でなく、そうねぇ、ビリー・ワイルダー監督みたいな人がひょうひょうと演出して人情味にもふっくらした味わいのあるコメディに仕上がっていたら、もっと無邪気に楽しんじゃえーって感じで見れたのかも
「そこなんですよ、僕の言いたいことも。全体にJロバーツの一人芝居でなくて、彼女に匹敵するだけの存在感をもった対抗キャラが出てきて、そこで葛藤したりユーモアが生まれたりドラマが練り上がってくる、という描き方じゃないとね。彼女自身のクサさをツヤ消しするようなものがないと、僕みたいな・・」
「ヒネくれた観客は納得できない、と」
「ははは、まあね」
「そこいらはあのジョージっていうハウスハズバンドがモサッとしたバイク野郎だったってところでまあ、なんとかしようと思ったみたいよね。彼がもっとカッコいい二枚目君だったらそりゃわたしだってこの映画、ハナもちならなかったわさ!(笑)」
「というわけで、この映画は全体としては、まあソコソコの作品なんだけれど、一応最後に言っておきたいのは、すくなくともジュリア・ロバーツは素晴らしい演技をした。オスカーおめでとう、とは言っておきたい。ジュリア、おめでとう! でも・・」
「ほらまた(笑)でも、が始まった!」
「でもさ、一本調子だったよね。最初から最後まで。渾身の演技は認める。でも芝居は一本調子。僕としちゃ、エリン・マルコヴィッチ、なんて映画が見たいな。悪徳弁護士が巨大企業の公害訴訟を巧妙にかわして、原告側の美人弁護士を窮地の神経衰弱に追い込む、みたいな、いひひひ(笑)」
「はいはい・・と、あ、アリー・マイ・ラヴの時間だ。そいじゃね」
「ちぇっ!やっぱ僕って孤独だ・・」(2000.4.10)

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