「コンタクト」1997年アメリカ



ロバートゼメキス監督 ジョディフォスター

「うーん、いろいろと考えさせられる映画だった」
「言いたいことがたくさんありすぎて、なかなか言葉にならないって顔してるわね」
「そうなんだ、分かる? これは宇宙人とコンタクトする映画じゃなくて、現代アメリカの精神状況を描いた作品だね」
「(笑)なんでしょ急に難しいこと言って、またケムに巻こうってこと?(笑)・・わたしはこの映画はまるで楽しめなかったの、題材も、宇宙人はいるのか?に始まって、宗教っていうか神を信じるか否かってことと科学とは両立するかっていう問題の設定、それからジョディの熱演もあって基本的には彼女を中心にしたドラマチックな物語という語り口、と、それから一切を黒幕ハデンとかいう元エレファントマン一人のせいにしようとするアメリカ映画らしい単純な締め括り、どれをとっても消化不良だったよー」
「女史の言いたいことはよく分かる、分かりすぎて、僕なんかはそれが現代アメリカの精神状況じゃないかって思っちゃう(笑)」
「というと?」
「ある断面断面で見ると、これはまた別の面白さが出てくる。神の存在と科学の両立なんて予定調和的だけど、一方では狂信的な宇宙人カルトみたいな宗教もあるのがアメリカの実態。それからこうした科学の進歩?のために莫大な予算をかけるという国家としての威信と、そこにクリントンその人まで絡んでしまうという単純で壮大な構図。何故か北海道に基地が出来てるという御都合主義には日本に対するアメリカ人の脅威と属国視みたいなもつれた感情が見て取れるし、それから・・」
映画そのものとは全然関係ないところに興味が沸くって感じね・・ま、そこはシナリオが欲張りすぎて混乱を来したってことで片づけたくなるけど。むしろマコーヒー牧師には、笑えた、とても元牧師とは思えない色目尽くしで(笑)」
「そりゃジョディが科学者に見えないってのと同じだよ、熱演は認めるけど」
「例えば<未知との遭遇>ね、宇宙人に対する憧れだけで出来てる映画で、最後に有名なwe are not aloneというメッセージ。あの素晴らしく寡黙に見せる作品に比べて、この映画には言いたいことが多すぎたっていう感じだったの」
「まあゼメキス監督だし、あんまりマトモに考えるとこっちがバカを見るかも、いや失礼(笑)」
「まあねぇワームホールを抜けて辿り着いた先がハワイだった、というのも仕方ないかあ(笑)」どっか良いところはなかったの?」
「へんてこな日本人が鉄兜被って出てくる、とかね(笑)ちなみにこの映画はカールセーガン博士に捧げられてる。無論、原作は彼の書いた小説だし、共同プロデュースもした。僕は原作は読んでないけれど、セーガン博士はこの映画を見ずに死んだんだね」
「ある一面で、宇宙物理学の進歩に対する国家の干渉についての告発というメッセージはあったのね。わたしとしては記録テープがぐんぐん回っていたとかいうだけじゃなくて、本当はジョディはヴェガまで行ったのに国家はそれを最高の機密としてひたすら隠匿隠滅を図る・・とかいう陰謀映画として造ったら良かったのにって思ったの。それならジョディの孤軍奮闘の熱演も映えるしね」
「それはまた別の類の映画だけどね、それに聞いたようなストーリーだなあ」(1999.5.13)


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