「家」1976年アメリカ



ダン・カーティス監督 カレン・ブラック オリバー・リード

「<恐怖と戦慄の美女>同様、カーティス監督とカレン・ブラックの織りなすイヤ〜なジワジワ恐怖感がたまらん!傑作です」
「カレン・ブラックて悪相よねぇ・・ま、それが素晴らしいんだけれど」
「これ、面白い映画だよね。ほとんど<シャイニング>なんだけど、こっちの方が僕は好きだな」
「夏の間だけの豪華な貸家があって、そこにオリバー・リードとカレン・ブラック夫妻が一人息子と叔母さんの四人で住むことになるのね。その家の住人は、ちょっとヘンだけどまあまあ普通かなあくらいのヘンさで、建物が立派なわりに安い家賃だし、ま、いいか、って感じで家族が引っ越してくる」
「ヘンなのは、家を離れたがらない95歳の老婆がいるから彼女の世話だけは頼む、って頼まれるあたり。食事を毎回持っていけばいいから、とか言われる」
「あのあたりは気を持たせるためのヒネリなのね。でも恐怖映画で老婆といわれると<サイコ>をすぐに思い出しちゃう。条件反射(笑)。だからちょっと、映画作りとしては早くもシッポがでちゃったって感じも」
「まあね。ただ<シャイニング>みたく雪にフリ込められて外に出られない、っていう物理的に隔絶された状況でないから、家を離れられない理由がホカにキチンとなきゃいけないよ」
「なるほど。そういう理由もあるわけね。でもさ、結果的にラストのラストが意外でもナンでもなかったっていうのが残念・・
「おっと、まだまだラストには行かないよ(笑)。このテの映画はジワジワ詰めてくる恐怖感が醍醐味だから。僕が面白いと思ったのは、あの異常なプール。Oリードが愛息を無闇にイジメはじめるあたりのテンションの高まりは良かった」
「家に移り住んで数日もすると、段々とみんながオカしくなってくるのね。最初は父親。それから叔母さん。ベティ・デイヴィス扮する叔母さんの古風な存在感はとても良かった」
「あと良かったのは老母がいる部屋の小物とかかな・・僕、昔、ずっと小さかった頃、ヨソの家に置いてある小物の類とかが妙にコワくてね」
「はあ?小物のタグイってなによ?」
「ほら、コケシとかネツケとかさ、海外旅行のお土産とか、エッフェル塔のミニチュアとかってあるじゃない、フランス人形とか」
「サケくわえてるクマの置物とか?(笑)」
「そうそう。そういうものがサイドテーブルとかピアノのうえなんかに置かれていて、まあシュミの問題もあるだろうけれど、そういう収集された小物ってもんにはその家の家主の強い感情が込められてるわけだよね。それで、それがかなり強烈にアラワになってたりもする。そういうのってコワイよね。モノに押し込められた人間の感情てものがオーラを発してるわけで・・」
「まあ(オ)カルト好きな狩刈くんらしいセンスかもしんないけど、わたしはそんなものじゃ怖がらないよ(笑)。っていうか、家ってものには住んでる人の感情が蓄えられなきゃ家にならないの。そういうキャパのある空間こそ本来あるべき『住まい』ってものよ。だから逆に病院とか学校とかにはそうした要素を排除した機能性が求められてるんだし・・」
「ははあ一級建築士ならではのお言葉だねぇ。そういう見方からすればこの映画に描かれてることは全然、不思議じゃないと?」
「そういう意味じゃないけれど、家にとりつく怨念みたいなものがテーマになってる話は古今東西、いろいろあるしね。こないだの<たたり>なんかもそうだし。怪談の定番といえば定番。つまりそれだけ広く認識されてるってこと」
「それで映画に戻るけれど、次第に狂っていくなかでオリバー・リードはなかなか苦悩の演技で見せてくれたっけ。彼が息子を連れて逃げ出そうとするシーンあたりから更にテンションが高くなるし、その反面でどんどんカレン・ブラックが落ち着いて冷え冷えとしていくのもいい」
「彼女が次第に古風な、家に似つかわしい服装になっていくのもいいよね、アメリカンゴチック的な感じで」
「そうそう。でも僕としちゃ、もっと映像的な部分で凝ってもらいたかった気もするな。カーティス監督はテレビの人だけれど、もっとコントラストを強めて深みのある絵を作ってもらいたかったって思う。時々出てくるレトロなクラッシックカーとかその運転手とか・・もっともっと不気味な深みがあってもいいよ」
「確かに映像はテカテカしてたよね〜その一方でストーリーの持って行き方、じわじわ感の積み重ねは結構よかったんじゃない。全体にはあんまりショックを与えないようなツクリね。怖がらせようとばかりしてないし、夫婦の間柄とかもちゃんと描こうとしてたし、最後の最後まで血も出ないし・・」
「それなりにハデな最後ではあったよね。そして、またしても<シャイニング>を引き合いに出しちゃうけれど、うまいこと写真に収まる・・」
「まあそうだろな、っていう感じだったけれど、オチとしては良かったよね。それにナンといっても古い家が若返るっていうのはすごくいいことよね」
「うーん。なんかヘンなとこに感心してない?」
(2003.2.10)



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