「処刑男爵」1972年西ドイツ・イタリア


マリオ・バーヴァ監督 エルケ・ソマー ジョセフ・コットン ニコレッタ・エルミ

「いやー録画したテープがどれだか分かんなくなっちゃって、泣きベソで探しちゃったよー。いろんな人に宣伝しちゃったから僕が見ないワケにいかなかったんだ(笑)」
「ラベルにタイトル、書いとかないからそうなるの」
「いつかなんか<マラー/サド>、見ないうちに上に被せちゃってアワくったくらい・・というわけで今回はバーヴァの<処刑男爵>。古式ゆかしい幻想怪奇の真骨頂!
「・・と言いたいところだけど、わたしはいつかの<lisa and the devil>の方が完成度は高いような気がしたんだけど・・」
「あらら。まあ、実は僕も同感なんだけどね〜今回はちょっとエモーションの面でギリギリと伝わって来ないのが不満と言えば不満・・」
「登場人物に葛藤がないよね・・物語は、というと、300年も昔、処刑男爵の名で周囲を震え上がらせていた男が魔女エリザベートを火炙りにして、魔女は男爵に呪いをかけるのね、死んでも生き返って永遠の苦しみを受けるのだ〜とかなんとか」
「で現代の、男爵の子孫ピーターが好奇心からその呪いを試してみると、あらら、ホントに男爵が生き返っちゃった・・ってんで連続殺人事件の始まり始まり!一方ピーターは男爵を退散させる呪文をなくしちゃって困ったなー、と(笑)。途中いろいろあって男爵の城はベッカーとかいう車椅子の男が買収するんだけれど、どうもこのベッカーってヤツ、怪しいぞ!(笑)最後は男爵が、ピーターや、城の文化遺産を調査してる学生エルケ・ソマー、それにピーターの叔父さんマッシモ・ジロッティたちを拷問台にかけようとしてるさなか、意外な人物によって!!!退治されちゃう」
「なんか、さっきも言ったけど、全体に葛藤がなくて展開が平板なの。それに男爵が単なる殺人鬼になっちゃっていてね・・<lisa>とか<白い肌に狂う鞭>の時みたく、悪が悪として、人間的で魅力的な悪として描かれていたら、もうちょっとドラマになったかも。今回の男爵は殺人マシーンなだけで、彼の業、みたいなもんが描かれてないの」
「確かにね・それに、これまで見てきたバーヴァ作品との比較で言えば、ヤラれる側に愛憎入り交じったドラマがないのも脚本の練り上げ不足。例えば僕、EソマーとMジロッティとが実は不倫の愛人関係とかでさ、そこにピーターが間男みたいに闖入しちゃったらEソマーが彼になびいたんでMジロッティが嫉妬してピーターに殺意を抱く・・とかさ、そんなサブプロットがあったうえで謎の連続殺人事件!ピーターが犯人にされそうになる!とかのサスペンス風味があっても良かったと思ったよ」
「・・はあ・・よくもまあトッサに、そんなヨタ話しを思いつくね(笑)B級映画の見すぎね・・城を買収するベッカーをJコットンが演じて、余裕綽々で関係者を嘲弄するあたり、あのセンスは<lisa>ではテリー・サバラスが引き継いで、もっと肉厚な茶目っ気ぶりを披露してくれる」
「Jコットンの存在感はさすがだった。喜々として音響効果つき拷問テーマパークを案内してくれるあたりは見てて楽しかったよ・・しかも体験型テーマパーク(笑)僕も案内したいなー(爆)」
「(笑)ところで、この映画で関心したのは、照明設計とか色彩設計とかのところ・・Eソマーが血を思わせる真っ赤な帽子をかぶってるとか。青と赤のライト、それにスモーク使って、そのへんは他の作品と同じく、怪奇ムードを盛り上げてくれた感じ」
「途中Eソマーが甦った男爵に街なかを追いかけられるシーンとかで、急に無人の幻想シーンになる・・けど、ちょっとセットが狭かったのかな?同じところを走ってた・・僕は娘役のニコレッタ・エルミね、彼女だけですでに怪奇ムード。すごい存在感だね、邪悪な雰囲気プンプン!いつもながら関心した」
「ま、一応は見て、損はしない映画って感じかしらねぇ・・どうかしらねぇぇ」
「あんまり得もしないな(笑)なにしろ今回のEソマーは脱がないし(笑)」(2001.4.19)

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