「悪魔のような女」1955年フランス


アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督 シモーヌ・シニョレ ヴェラ・クルーゾー

「ボワロー&ナルスジャック原作の、お風呂に入るのが怖くなる古典的怪奇サスペンスの傑作ね」
「実に全く飽きさせないよね、シモーヌ・シニョレが最高に格好いい。僕はこれ何度も見てるけど、その都度、ワクワクするなあ」
「とある寄宿学校が舞台。横暴で陰険な校長を亡き者としようと、病弱で意志薄弱な夫人と校長の元愛人でもある女教師が殺人を企む。そして睡眠薬入りのお酒を飲ませてお風呂場で溺死させて、学校の沼みたいなプールに捨てる。けれどなかなか死体が上がらないから水を抜いてみたら、なんと! 死体はどこにもない・・もの凄くシンプルでサスペンスフルね」
「僕はね、もの凄い愛憎関係を見せる冒頭のあたり、あのへんがなんとも好きなんだな。無論、結末は例によって有名などんでん返しで、それを承知して見る最初のあたりというのはまた格別だ(笑)2回目からがほんとの醍醐味っていう映画だね」
「SシニョレがVクルーゾーに、もうヤルっきゃないのよ! みたいに迫るところね、イヤがおうにもサスペンスを盛り上げてくれる」
「女史はSストーンとIアジャーニのリメイク版は見たの? 僕は未見なんだけど」
「見た。またまたコワイひとひねり(笑)。なんといってもIアジャーニが実は一枚・・」
「わあ、一枚脱ぐの(笑)ちょっと言わないどいて〜是非見たいとは思ってるんだけどなかなか機会がなくてね。で、こっちのオリジナルの方に戻るけど、なぜ寄宿学校が舞台になっているのかってことが、いまひとつ分からないんだけどね」
「それはわたしもそう思ったの。教師という聖職にあるまじき愛憎関係と殺人計画っていうあたりが当時にはショック路線だったのかも」
「そういうことか・・初めて見たときの印象だけど、あんまり子供が活躍しないっていうかな、学校であればこそどっかしらで生徒たちが絡んでくるのかなって思いながら見てたのを思い出した」
「途中あったよね、ある生徒が失踪中の校長先生の姿を見たって言って教師たちは『ウソをつくのもいい加減にしなさい』とか怒る」
「ま、その程度かな。あと本当のラストの一言も不可解なんだけどね・・」
「印象的なのはオープニングね。水たまりに浮かべてある折り紙のボートを踏みにじるようにしてトラックのタイヤがバシャッと・・ああいうのが映像表現なんだわーって思う。映画の文法の基本なんでしょうけど」
「暗示的なかたちでね。今の時代、映画表現は、カラーはもちろん、いろんなアングルとか撮影方法に凝ったりあの手この手で意表を突こうとするけれど、肝心なのは映像でエモーションを作り出すこと。この時代の映画にはシンプルに情感が込められてる」
「それと役者の芝居ね。狩刈くんの言うとおり、結末を知っていて見直すと、前半のSシニョレの芝居がどんなに凄いかがよく分かるよ」
「それで、だ。リメイクのSストーンとIアジャーニを比べると、明らかにIアジャーニの方が一枚上手って感じで、そこにヒントはあるってワケだね(笑)」
「まあそっちも見てみなよ〜」(1999.11.6)

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