[付録] ニュースと感想 (100)

[ 2006.01.15 〜 2006.01.26 ]   

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   のページで 》




● ニュースと感想  (1月15日)

 「名目成長率と長期金利」について。
 「名目成長率と長期金利」をテーマにした長文の記事があった。興味深い話なので、誤解を正しておこう。
 記事の要旨は、次の通り。(原文は、朝日・朝刊・3面 2006-01-14 )。
 前者は、竹中流の楽観主義。後者は、与謝野・谷垣流の悲観主義。前者は小泉の好きなサプライサイドで、後者はほぼマネタリズム。
 で、記事によると、「どっちが勝つか?」というような下賤な話になっているが、その基準が、「今後の見通し」である。
  ・ 名目成長率 > 長期金利
  ・ 名目成長率 < 長期金利
 という二つの近未来予想をして、どっちの予想を取るかによって、前者か後者かが決まる、ということになるそうだ。過去の歴史を見ると、高度成長期やバブル期には、前者になることが多く、景気後退期には後者になることが多い。で、「今後はどうなるだろう?」という見通ししだいだ、となるらしい。

 以上は、記事の要旨だ。この記事は、全面的に間違っている。そこで、経済学的に正解を示す。
 まず、基本を示す。
 第一に、経済というものは、自然現象ではない。「どうなるか?」というふうに予想を立てるものではなくて、「どうするか?」と人間が進路を決めるものだ。台風ならば人力の及ばない自然現象だが、経済ならば大部分が人間的なものであって自然現象の影響はごく小さい。「どうなるか」ではなく、「どうするか」なのだ。
 第二に、名目成長率と長期金利は、原理的には一致する。「どっちが上回るか」と論じることは無意味だ。記事にも書いてあるが、「名目成長率 < 長期金利」という状態が長く続けば、返済する額よりも返済するべき額が多いので、経済は破綻してしまう。逆ならば、話はうまいが、そんな状態が長く続くはずはない。(すぐあとで述べる。)結局、「名目成長率と長期金利の関係」は、 > でもなく < でもなく = なのだ。「 > と < のどっちか?」という最初のテーマが根源的に間違っている。経済音痴。
 第三に、長期金利というものは、長期的に安定するものであり、一方、景気変動というものは中期的に変動するものだ。したがって、両者の乖離が起こることがある。その結果、好況期には、名目成長率の方が高くなり、不況期には、名目成長率の方が低くなる。ここで注意すべきことは、次のことだ。
 「 > の状態が長く続けば、その反動で、 < の状態が来る」
 これは、「第二」の点から明らかだ。原則として「 = 」でなくてはならないのだから、「 > の状態が数年間続けば、その反動として、 < の状態が来る」。 たとえば、バブル景気が続けば、その反動として、バブル破裂不況が来る。
 だから、なすべきことは、「 > の状態を保つ」ことではなくて、「 = の状態を保つこと」である。そうすれば、プラスがないので、マイナスもない。つまり、反動が来ない。……これがつまり、「景気を安定させる」ということだ。経済学の目的は、ここにある。

 以上からして、誤解と正解は明らかだろう。
 誤解は、こうだ。
 「名目成長率と長期金利の関係について、 > になるか < になるかを予想して、その予想しだいで消費税増税の必要性の当否が決まる」
 正解は、こうだ。
 「名目成長率と長期金利の関係は、原理的・長期的には = であると理解する。ただし、中期的には、 > または < にすることができる。それは経済政策である。現実がどちらであるかは、予想するものではなくて、人間が制御すべきことである」
 では、制御すべきだとしたら、どう制御すべきか? 
 これは、話が大きくなるので、次項で述べる。


● ニュースと感想  (1月16日)

 前項 の続き。「経済成長率と金利と増減税」について。
 経済成長率と金利と増減税は、どういう関係にあるか? 前項で紹介した記事によると、次の関係にある。
 この二通りがある。理由は、前項で述べたとおり。つまり、こうだ。
 楽観派のシナリオでは、「成長率は高 , 金利は低」ゆえに、「成長率 > 金利」となるので、税収が増えて、増税の必要がなくなる。
 楽観派のシナリオでは、「成長率は低 , 金利は高」ゆえに、「成長率 < 金利」となるので、税収が増えなくて、増税の必要がある。
 では、このどちらが成立するか? ……そう問うのが、記事であった。

 正解は? 実は、この二つのどちらでもない。不況脱出期に必要なのは、次の政策である。
 「金利を高くして、減税をする」
 対比すると、前の二つは、順に次のようになる。
 「金利を低くして、増税をしない」
 「金利を高くして、増税をする」
 図式化すると、( 金利 ,減率 )は、次のようになる。
  ・ 正解   …… ( +,− )
  ・ 楽観派 …… ( −,− ) or ( −,△ )
  ・ 悲観派 …… ( +,+ )
 楽観派または悲観派には、「好況/不況」という二項対立しかない。財政政策も金融政策もそろえて実行する。しかし、この両者の組み合わせを変更することができる。「財政政策は景気刺激で、金融政策は景気緊縮」というふうに。これを「ポリシー・ミックス」という。
 そして、不況脱出期に必要なのは、ポリシー・ミックスなのだ。
 というわけで、記事における「楽観派と悲観派のどちらが正しいか?」というテーマは、テーマそのものが間違っていたことになる。正解は、そのどちらでもないからだ。

 [ 付記 ]
 なぜ正解はポリシー・ミックスであるのか? この件は、話が長くなるので、本サイトの該当部分を長々と読めばわかる。
  → ポリシー・ミックス
 書かれた分量が多すぎる、と思えるので、簡単にまとめると、次の通り。
 「不況期には、供給過剰なのだから、設備投資を増やすよりは、消費を増やすべきである。そのためには、減税が必要だ。また、金利はあまりにも下げすぎない方がよい。ゼロ金利というのは論外であり、1%ぐらいの金利は必要だ。不況期の政策の本道は減税であり、金融政策ばかりに過度に責任分担させると、経済が歪む。」
 比喩的に、自動車で言おう。ブレーキをかけるとき、本道は前輪ブレーキである。なのに、「後輪ブレーキの方が簡単だ」というような理由で後輪ブレーキばかりをかけていると、やがて後輪ブレーキの限界に達して、ブレーキの効果がなくなってしまう。「速度を少し下げるときには、後輪ブレーキだけでも十分だったから、急ブレーキのときにも、後輪ブレーキだけで大丈夫のはずだ。踏む力を強くするだけでいい。踏む力を無限大にすれば、後輪ブレーキの力も無限大になるはずだ」
 こういう発想は、成立しない。前輪ブレーキ(消費拡大・減税)と、後輪ブレーキ(投資拡大・低金利)は、それぞれ役割が違う。だから後者ばかりに頼ってはならないのだ。むしろ、両者を最適化することが必要だ。それが「ポリシー・ミックス」の発想である。
 なお、誤解を避けるために、注釈しておこう。ポリシー・ミックスは、不況脱出のために「高金利」を主張しているわけではない。「過度な低金利」を否定しているだけだ。つまり、「ゼロ金利」のような「下げすぎ」を否定しているだけだ。「7%ぐらいの高金利にせよ」と主張しているわけではない。勘違いしないように注意。


● ニュースと感想  (1月17日)

 前日分 の続き。「金融政策の意味」について。
 金融政策では、金利を調整する。では、そのことに意味は、何か? 
 金融政策の意味は、通常、次のように理解されている。
 「金融政策は、総需要を変動させる。金利を下げると、投資と消費が増えて、総需要が増える」
 その理由は、こうだ。
 「金利が下がると、融資の利率が下がって、投資に有利になるので、投資が増える。また、預金金利が下がって、預金の有利さが減るので、預金が減る。預金が減るということは、消費が増えるということだ。」
 これはいかにも経済学者の好みの論理だ。論理のつじつま合わせをやって、それでおしまいにする。で、表面だけを撫でて満足してしまい、本質を理解しない。では、本質とは? こうだ。
 「消費心理が萎縮すると、消費が減り、貯蓄が増える。そのせいで、総需要が減る。この貯蓄増加が不況をもたらす。だから、貯蓄増加を解消するために、金利を下げる」
 つまり、本質は(一時的に発生した)「貯蓄増加の解消」つまり「貯蓄減少」である。そのことが、現実世界では、「投資増加」および「消費増加」という具体的な経済現象となって現れる。
 結局、目に見えるものは、「投資増加」および「消費増加」であるが、目に見えにくい本質は、「貯蓄減少」であるのだ。このことに注意しよう。

 さて。「貯蓄減少」は、良いことか? これが肝心の問題となる。
 古典派的な発想では、「貯蓄減少」は、「投資増加」および「消費増加」を意味する。だから、良いことである。
 マクロ的な発想では、「貯蓄減少」は、必ずしも良いことではない。なぜなら、「総所得の減少」によって、「貯蓄減少」が起こることがあるからだ。
 古典派的な発想では、「総所得が不変であること」が前提となる(仮定される)。そのせいで、「(総所得が不変であるという仮定のもとでは)貯蓄減少は良いことだ」と結論する。しかし、現実には、その仮定は成立しないこともある。特に、不況のときには、そうだ。

 ここで、現実の指標を示そう。2004年度の貯蓄率が最低値だったという新聞の記事。(読売・朝刊 2006-01-14 )
《 貯蓄率、04年度は過去半世紀で最低に 》
 各家庭(家計)が手取り収入から貯蓄に回した割合が2.8%と、統計を取り始めた1955年度以降で最も低くなったことが、内閣府のまとめでわかった。
 賃金やボーナスが伸び悩んだ上に、高齢化が進んで貯蓄を取り崩して生活費に充てる老人世帯が増えているためだ。
 内閣府が13日発表した国民経済計算(確報)によると、所得から税金や社会保障費を引いた家計の可処分所得は、前年度より 0.2%減の 286兆7000億円となった。
 一方、消費支出は1.7%増加し、可処分所得から貯蓄に回した割合(家計貯蓄率)は7年連続で低下し、ピークの1975年度(23.1%)の8分の1以下に減った。
 ここでは、貯蓄は増えているのではなく、減っているのだ。つまり、「貯蓄が増えて不況になったから、貯蓄を投資や消費に向けよう」という経済政策は、根源的に狂っているのだ。「貯蓄を崩せ。手持ちの金を、投資や消費に向けよ」と政府や日銀がけしかけても、そんな政策は無効になっているのだ。なぜなら、手持ちの金(貯蓄)がないからだ。
 では、なぜ、貯蓄がないのか? 所得が減っているからだ。

 結局、政策と現実が乖離している。
 政策は、こうだ。
 「国民は消費を減らして貯蓄を増やしている。だからその貯蓄を、投資や消費に回せ。そうすれば、総需要が増えて、景気は拡大する」
 現実は、こうだ。
 「国民は消費を増やそうにも、そのための金がない。だから、貯蓄を取り崩したくても、取り崩すことはできない」
 経済学者の経済政策は、現実とは乖離したものになってしまっている。だから、現在経済政策(金融緩和)は、無効になる。
 
 では、どうすればいいか? まず、「金融政策は無効だ」と理解することだ。その上で、「総所得を増やす」という政策を取るべきだ。その政策は? 金を誰が出すかで、二通りとなる。
  ・ 金を企業が出す …… 賃上げ
  ・ 金を政府が出す …… 減税
 そのどちらかだ。そのどちらでもいい。前者があれば、後者はなくてもいい。前者がなければ、後者は必要となる。ともあれ、いずれにしても、「総所得の増大」が必要である。これが真の経済政策だ。それがすなわち、マクロ政策である。

 [ 付記 ]
 読売新聞(新聞紙版)に、家計貯蓄率の推移を示したグラフがある。次のようなグラフ。


      1975年(23%)
      /\
     /  \
    /    \
          \
 1955年(13%)  2004年(2.8%)

 つまり、
   1955年(13%) → 1975年(23%) →  2004年(2.8%)
 というふうに推移している。30年前にピークに達したあとで、どんどん低下している。2004年には、貯蓄率はゼロに近い値まで低迷してしまっている。
( ※ 細かな数値は、内閣府にデータがある。)


● ニュースと感想  (1月18日)

 「ライブドアの捜索」について。
 ライブドアが不正をしたとの疑いで、検察の捜索を受けた。この件について。

 (1) 第一報を受けて
 16日夜の報道を見る限り、この捜索は非常ににおう。どうもうさんくさい。
 そもそも、今回の容疑は、「風説の流布」であるが、こんなのは、ただの「嘘つき」罪にすぎない。それで人命が失われるわけではない。それで数十億円の金が動くかもしれないが、だとしても、数十億円の損害が出るわけではない。東証のミス事件に比べれば、あまりにも小額だ。
 なのに、このくらいのことで「社長の家の家宅捜索をする」というのは、あまりにもおおごとすぎる。たとえば、先のマンションの偽造事件では、多くの人命が失われる可能性のある大事件であるにもかかわらず、関係者が逮捕されたのはずっと後になってからだ。それまでは逮捕されなかったし、家宅捜索もなかった。ところが、今回はいきなり、社長の自宅の家宅捜索である。

 それより、もっと根源的な問題がある。容疑は、次の二点だが、論理が矛盾しているのだ。
 「東証マザーズ上場の関連会社、ライブドアマーケティング(当時バリュークリックジャパン)は04年10月、出版業のマネーライフ社を株式交換で買収すると公表。しかし、実際には公表前に買収先企業の株主に現金を渡して事実上、傘下に収めており、開示した内容が虚偽だった疑いが持たれている。」( → 日経ニュース
 「調べによると、ライブドアが約75%の株を持つ「バリュークリックジャパン」(東京、現ライブドアマーケティング)は2004年10月、株式等価交換による出版社「マネーライフ」(東京)の完全子会社化を発表したが、この株式交換が不公正な取引だった疑いがあるという。 またバリュークリックは同年11月に発表した決算短信で、売上高や経常利益などを水増しして経営状態が実際より良いように見せ、同社の株価を上げようとした風説の流布の疑いも持たれている。」( → 東京新聞
 この二つは矛盾している。バリュークリックの株が高値に水増しされたのであれば、その株を株式交換で引き取らされた株主は、ババをつかまされたことになり、損害を受けたことになる。しかし、実際には、株式交換ではなくて現金で買収したのであるのだから、だったら株主は損害を与えられていない。
 要するに、検察の容疑は、一方では「白でないから逮捕する」と言い、他方では「黒でないから逮捕する」と言っているわけだ。メチャクチャである。「二つを並べれば、どちらか一方が当たるから、どっちにしたって逮捕できる」という理屈だろうか? しかし、これでは、メチャクチャすぎる。こんなことでは、法治国家もへったくれもない。
 通常、形式犯罪と実質犯罪があるとき、形式犯罪は微罪であり、実質犯罪は重罪となる。「嘘を付いた」というのは、形式犯罪にはなるが、その形式犯罪が罰されるかどうかは、それによってどれだけの損害が実質的に生じたかによる。その嘘が誰にも迷惑をかけないのであれば、罰する必要はなく、その嘘が社会に多大な損害をもたらしたのであれば、罰する必要がある。
 
 さて。まとめると、どうか? 
 詳しい事情はわかっていないので、私としては、断定を差し控えたい。ただし、今回の事件は、あまりにもにおいすぎる。こういうことがあるのは、通常、「成り上がり者が虎の尾を踏んづけた」場合である。
 たとえば、ライブドアがフジテレビをひそかに傘下に収めるとか、阪神タイガースの株を全部買い占めるとか。で、そうなったら大変だと思って大騒ぎした人(ナベツネ?)が、政府を動かす。「あいつを逮捕しろ。さもないと、小泉の婦女暴行容疑を大々的にキャンペーンするぞ」と、政府を脅迫した、とか。
 このシナリオは、ちょっと生々しすぎるが、どうも、そんなふうに、くさいにおいがぷんぷんする。

 (2) 第二報を受けて
 17日の続報(新聞など)を読むと、「風説の流布」が理由らしい。「本当は現金で買ったのに、株式交換だと嘘を付いて、株価をつり上げた」という理由。
 しかし、それで「株価つり上げ」の効果はあるとしても、買収方法が「現金」と「株式交換」の違いぐらいが、大騒ぎするほどのことなのだろうか? 白を黒と言いくるめるような嘘八百ではない。
 だいたい、こんなことで逮捕されるとしたら、普通の商取引はどうなるのだ? 「クレジットカードで買います」と言ったあとで、「あ、やっぱ、やーめた」と気が変わって、現金で買うことにしたら、あとで検察が聞きとがめて、「嘘をついたので逮捕する」というふうになりかねない。
 ま、個人の商取引なら、「風説の流布」には当たらないが、企業が「発表ミス」をするのは、あまりにもざらにある。たとえば、三菱は、「リコールの発表ミス」を何度もやらかした。これは人命に関わりのある大問題となるような嘘だ。また、雪印の牛肉擬装や牛乳の賞味期限の擬装もある。これだってけっこう重大な嘘だ。しかるに、たいていは、行政処分で片付いて、検察が介入したりはしない。ここで「風説の流布」を理由とするなら、十分に立派な理由となるが、検察は介入しないのだ。
 そもそも、株式市場では、「風説の流布」なんて、ざらである。「風説の流布」で株式市場で金儲けした人はいっぱいいるが、たいていは「容疑不十分」であり、逮捕されたりはしない。そんなことに検察はいちいち手間をかけないのだ。殺人事件という重罪で忙しいんだから。
 だが、にもかかわらず、今回の検察の目的は、こうだ。
 「特捜部は今後、堀江社長らから事情聴取し“IT時代の寵児”に率いられて短期間に急成長した新興企業の経営実態の解明を進める。」( → 東京新聞
 これは新聞記者の観測だが、検察もそのつもりでいるようだ。何だって検察が一企業の経営を調べたりするのか? 財務省や経産省じゃあるまいし。お門違いであろう。
 やはり、においすぎる。

 [ 付記 ]
 「におう、におう」といったが、何がにおうのか? 
 あとでよく考え直してみると、たぶん、こうだ。
 「本筋の核心は、背後に隠されている。今回の捜索は、いわば別件逮捕」
 これなら、得心が行く。検察は何かを握っていて、それを探り出すために、急遽、襲いかかったのだろう。証拠湮滅を防ぐために。
 となると、この事件は、政界の汚職事件と関連しそうな気がする。においは「汚職」のにおいだ。これなら、臭い。掃きだめと同様。
 ……ただし、これは、憶測である。当たるかどうかは、わからない。あまり憶測が過ぎると、「風説の流布」にあたりそうなので、あくまで「憶測だ」と留保しておこう。


● ニュースと感想  (1月19日)

 「ライブドアの捜索・続報」について。
 今回の事件で、検察の目的について、「市場ルールの逸脱を防ぐため」つまり「市場ルールの厳密な維持のため」と見なす報道が出た。たとえば、読売の記事。朝日の社説も同趣旨。いちいちニュースサイトを検索するのが面倒なので、同趣旨の見解を 読者の意見(nando ブログに寄せられたもの)で示すと、次の通り。
堀江の容疑は、風説の流布だけでなく、粉飾決算、それらを元としたインサイダー取引など株式市場に重大な影響を与えるものです。ちょうどアメリカにおけるエンロン事件のように、株価を吊り上げるために、各種犯罪を繰り返していたものと同種の問題であります。吊り上げた株価を担保とした資金調達による派手なM&Aを繰り返す企業は共通の問題を抱えているという事です。本業の業績が向上しなくとも、買収によって連結ベースでは大幅に急成長しているようにみせかけて、それを成長とみなせるのかという問題でしょう。600万で作った会社が、10年で6000億の株価がつくのは歪な手法を使ってきたからでしょう。急成長の実体は、不正、違法行為、それらによる過大評価による、株価が本業をこえて乖離し、高騰しているだけだったということです。
アメリカ当局は、エンロンにメスを入れ、摘発による結果、平均株価はかなり下がりましたが、株式市場の健全な発展を確保する決断を行いました。日本も健全な形で経済のファンダメンタルズを強化するのに比例して株式価値も向上していくのが好ましく、不正な手法を駆使して株価だけを吊り上げM&Aを繰り返すマネーゲームを主とした企業は、市場から退場していってもらうのが好ましいでしょう。ライブドアと同種のマネーゲームを行っているその他の企業にも警告の意味もあるでしょう。事業は、虚業ではなく、社会の発展に寄与する、実業でなくてはならないのです。
 一見、もっともらしいが、「ちょっとありえない」と私は思う。これでは検察当局が経済政策をになっていることになる。「最近の株式市場は(IT虚業を中心とした)ミニバブルであり、危険な兆候を示しているので、ミニバブルをつぶす必要がある」という経済政策を執行することは、ありえそうにない。
 ま、やらないよりはやった方がいいとしても、そのために特定の企業を狙い撃ちにするというのは「一罰百戒」が過ぎる。警告もなしにいきなりやるのも変だ。
 だいたい、そういう経済政策は検察の権限外だから、こんなことをやったら、検察自体が「法律違反」になって、検察につかまってしまう。いや、検察は自分をつかまえることはないから、何でもやり放題なんですかね?  (^^);
 ま、冗談はさておき、今回の件はやはり、「正当な法律執行行為」とは思えない。どうしても摘発するなら、財務省などの告発を待ってからやるべきだ。また、財務省が告発するなら、その前に行政指導をやるべきだ。政府の目的は、法律違反すれすれの国民を犯罪者に仕立てることではなく、社会を改善することなのだから。
 なのに、いきなり摘発するからには、何らかの裏があるはずだ、というのが私の判断。「におう」というのは、「裏がある」という意味。「姿はまだ見えないが、何かあるぞ」というわけ。

 [ 付記1 ]
 だいたい、検察の当局でなくて外部が「検察の目的」を推察して正当化する、というのが、変ですよね。本来なら、検察の当局自体が、「これこれのため」と大義名分を発表するはずだ。発表しないとしたら、何か隠しているとしか思えない。
 たぶん、検察は、あとで「嘘を付いた」と非難されないため、本音を隠しているのだろう。

 [ 付記2 ]
 それでも、「微罪だろうと悪は悪だから摘発せよ」という声もあるかもしれない。しかし日本では、もっと堂々たる犯罪が野放しだ。それは「サービス残業」という賃金未払いの泥棒行為である。この堂々たる犯罪が野放しにされているせいで、日本中で過労死による死者がものすごく発生している。とくに、医者や看護師では、正当な労働時間を超えた不当な労働がまかり通っている。研修医に至っては、「週90時間労働を越えると、死亡率が急激に上がる」というデータまで出ている。研修医を対象に、モルモット扱いして、殺人的な労働環境を野放しにしているわけだ。
 人殺しは野放しにされ、数十兆円の泥棒も野放しにされ、たかが数十億円程度の粉飾が摘発され、さらには、「現金を払わなかったのは詐欺だ」という理由とは逆に、「現金を払ったのがけしからん」という理由で摘発される。メチャクチャだ。
 この伝で言うと、私もまた逮捕されかねない。
 「南堂久史を逮捕する。なぜなら、国民は政府の嘘を宣伝するべきなのに、逆に、政府の嘘をバラして真実を告げたからだ。政府機密漏洩罪」と。


● ニュースと感想  (1月19日b)

 「ライブドアと最近の株価」について。
 ライブドアの捜索で「風説の流布」が問題となっている。しかし、同じようなことは、最近の株価全般にも当てはまる、と言えそうだ。
 最近の株価は明らかにバブルである。GDPはほとんど増えていないのに、株価ばかりが以上に暴騰している。経済実態を反映していない。「景気はこの先上がるだろう」という先行きを見込んで、どんどん暴騰しているだけだ。ミニバブルである。
 根拠はある。「みんなが株をどんどん買っている」と思われているようだが、とんでもない。国内投資家の分は、昨年は売り越しである。一方、海外投資家は、買い越しだ。海外資金がどんどん押し寄せているから、株価が異常に暴騰しているだけだ。
 では、なぜ、海外資金は日本の株価を買うか? 次の理由だ。

  株式市場 ← 海外資金 ← ドル資金 ← 米国政府の国債発行 ← 日本の米国国債購入(円売り) ← 日本国内の金余り ← 日銀の量的緩和

 一方、輸出企業が好調なのは、円安だからで、これも「円売り」が理由。

 結局、日銀の量的緩和が、「海外資金の増大」と「円安」をもたらし、これが回り回って、日本の株式市場に戻ってきて、株価を押し上げているのだ。これは「金余りによる株価高騰」というバブル期と同じ構図である。最近の株価高騰は、バブル(ミニバブル)なのだ。
 ただし、注意しよう。日本経済がひどい病気状態のときには、誰も病人には投資しない。だから、ミニバブルは起こらなかった。しかし今や、日本経済は回復しつつあるので、貸し手がどっと現れて、ミニバブルが起こりつつあるわけだ。

 これは本質的にはバブルなのだから、株価は実体を反映していない。市場が歪められている。にもかかわらず、「日本経済は好調だから株価はどんどん上がるぞ」なんて言うのは、嘘八百である。
 こういう嘘八百は、「風説の流布」とも言える。嘘つきの経済大臣や政府担当者なんかは、逮捕されてもいい。しかし、逮捕されない。それが現実だ。
 チャップリンいわく、「一人を殺せば殺人犯だが、百万人を殺せば英雄だ」。
 南堂いわく、「一企業の風説を流せば犯罪者だが、全企業の風説を流せばカリスマだ」

 [ 付記 ]
 で、株価は、今後、上がるか? 「歪められた価格だから、価格は下がる」というふうに思うかもしれないが、さにあらず。株価というものは、「嘘が価格を作る」ということのある市場だ。だからこそ「風説の流布」が意味をもつ。提灯買いをする連中がどんどん出てくるから、株価は今後もしばらく上がるだろう。バブル期と同様だ。
 そして、あるとき、バブルの夢が下がる。とたんに、暴騰した株価は急落する。多くの人々は、ババをつかまされて、大損する。
 しかし、詐欺師だけは、大儲けだ。人々にババをつかませて、自分は売り抜ける。さらには、空売りしておいて、株価が急落した時点で買い戻す。こうやって、一粒で二度美味しい形で、カモをたぶらかすのだ。
 株式市場というのは、詐欺をする場である。そのことをわきまえておこう。「頭のいい人が、真実を見抜いて、利益をつくりだして、金儲けをする」のではなくて、「ずる賢い人が、他人をだまして、他人の財布の金をかすめとって、金儲けをする」のである。「何かを作り出す」のではなく、「何かを盗む」ことが、株式投資の本質だ。(短期投資では。)
 ま、本質的に言えば、「盗む」というよりは、「バクチをする」に近い。無関係の第三者の金を奪うのではなくて、「欲の深い参入者同士で金の奪い合いをする」のである。たとえば、十人が千円ずつ出し合って、「勝者が一万円を取る」というバクチをする。参加した誰もが「おれが勝つ」と思っている。で、途中の残高表示では、誰もが「残高は倍増」(二千円)という報告を受ける。帳簿の数字だけを見ると、「全員がボロ儲け」だ。ただし、ゲームオーバーで清算する段階になると、「全員が大損」となる。特定の悪いやつだけがズルをして、利益を裏からかすめ取る。
 で、こういうことが成立するためには、「株価はどんどん上がりますよ」という風説を流す必要がある。で、この手の風説は、以前も最近も、マスコミにどんどん流れている。……というわけで、結論は、こうだ。
 どうせ捜索をするなら、日本中のマスコミをみんな捜索するべきだ。「景気の先行きは明るい」なんて、ずっと報道してきた朝日や読売の経営者も逮捕してしまえ。ついでに、政府の竹中あたりも逮捕してしまえ。おまけに、「構造改革でバラ色」と唱えた首相も。これが最大の「風説の流布」をした人物。


● ニュースと感想  (1月19日c)

 「ライブドアと東証の大暴落」について。
 18日の夕刊の報道によると、東証の株は大暴落。東証は注文殺到で取引停止になりかねないとか。……ニュースで確認したら、すでに取引停止済みでした。
 とすると、日本経済のマヒになりかねない。下手をすると、景気悪化で不況の突入して、恐慌になるかも。NY大暴落ときっかけにした世界恐慌みたいに。
 検察がこんなのを狙っていたとは、とうてい信じられませんね。
 「市場の健全化の目的は、日本経済を恐慌にすることである」
 なんて。一方、
 「経済音痴の素人役人が、勝手に自己の思惑で経済政策に介入して、そのたせいで日本が恐慌になる」
 ということなら、あり得る。意図せずにそうなるわけ。
 というわけで、検察もそこまで馬鹿じゃないから、検察が(正義を唱えて)経済政策に介入するとは思えない。今回の暴落は、「薬の効きすぎ」ではなくて、「思惑違い」であろう。

 前項(1月19日b)では、「ミニバブルは駄目」と述べている。が、だからといって、私としては、「バブルつぶしのために東証を停止せよ」なんて過激なことは言わないし、「ライブドアを狙い撃ちにせよ」とも言わない。
 やはり、この事件には、裏があると見た方がいい。どんな裏か? この件は、翌日分で。「事件の真相は?」という推理小説ふうの話。どんでん返しのすえに、意外なる真相(?)が明らかになる。


● ニュースと感想  (1月20日)

  【 正誤訂正 】
 前日分では、「検察が経済政策に介入」と記述したが、これは不正確な記述であったので、修正します。読者からの指摘によると、
 「今回の捜査は、東京地検特捜部だけでなく、証券監視委員会との合同で行われました。」
 とのことである。そこでニュースを調べると、次の記事があった。
 特捜部と証券監視委は、ライブドアグループに電撃的に切り込んだ。
 昨年、ライブドア側が東京証券取引所の時間外取引を利用してニッポン放送株を大量取得したように、堀江社長の拡大戦略には、法の抜け穴を突く意識が透けて見える。「市場ルールの逸脱を処罰しなければ、ますます違法行為に走り、利益を得る」。特捜部が捜査に乗り出した背景には、こうした問題意識があった。
( → 読売ニュース
 この1行目は、前述の通りで、昨日の記述は修正すべきとなる。(いちいち書き直さないで、ここで追記するだけに留める。)
 なお、2行目以降には、同意できない。この件は、次項の最後に述べる。


● ニュースと感想  (1月20日b)

 「ライブドア報道の疑惑」について。
 今回のライブドア報道は、まったくうさんくさい。次から次へと疑惑が出てくるが、まるで意図的な狙いすましのようだ。あちこちで「ライブドアつぶし」の一斉攻撃を始めているようだ。
 たとえば、「粉飾疑惑」というのがある。読売新聞の報道による。引用しよう。
 「インターネット関連企業「ライブドア」(東京都港区)が2004年9月期決算で、実質的に傘下にある複数の会社の利益を自社の利益に付け替え、経常赤字だったライブドア単独の決算を約14億円の経常黒字に粉飾していたことが、関係者の話で分かった。
 ライブドアは04年9月期の単独の決算が、実際には10億円前後の経常赤字になっていたことから、これらの会社の利益の中から計約24億円を、ライブドア本体の利益とすることで、最終的に約14億円の経常黒字としていた。
 こんなのは粉飾でもなんでもない。グループ内の帳簿の付け替えにすぎない。
 一般に、粉飾というのは、ありもしない利益をあったかのように見せかけることを言う。一方、今回のライブドアの処理は、子会社の利益を親会社の利益にするようにしたということだが、つまりは、子会社の利益を親会社が吸い上げた、というだけのことだ。これは通常の経済活動である。どこの会社だってやっていることだ。当り前じゃないですか。(類似例。赤字のソニーが、プレステの子会社を吸収合併した。)(ついでに言えば、逆に、赤字の子会社に親会社が利益を渡す、ということだって、通常の経済活動である。)
 また、連結決算なら、利益の総額はまったく変わっていない。納税額だって、子会社の納税が親会社の納税になるだけだ。たぶん、親会社の方が税率は高いから、税金を余分に払うことになる。脱税とは正反対だ。
 百歩譲って、「経営をよく見せかける」という詐欺的な経済行為があったとしても、それはあくまで経済行為であるから、財務省や経産省が決算(帳簿・経理処理)の行政指導でもすれば済むことだ。どこかの企業が帳簿の付け方で政府と見解の違いがあるからといって、それをいちいち「粉飾」と騒ぐのは、どうかしている。これじゃ、どんな企業だって、政府とは経理解釈が違うたびに、「粉飾」か「脱税」かのどちらかになってしまう。
 「利益を多くしすぎたので粉飾だ!」
 「利益を少なくしすぎたので脱税だ!」
 かくて、あらゆる企業が検察の手入れを受けることになってしまう。暗黒社会。

 国民はだまされていますね。うさんくさいのは、ライブドアじゃなくて、検察だ。

 [ 付記1 ]
 どうしても「粉飾」という名分を取りたいのであれば、ライブドアだけでなく、IT会社全部および日本企業全部をつかまえるべきだ。IT会社は「成長の見込み」で過剰な株高になっている。(例は楽天。Yahoo 。)また、日本企業全体が、「将来の景気回復」を見込んで、過剰な株高になっている。(円高と金利高になれば利益が吹っ飛ぶ、ということを忘れている。)
 日本の株価全体が粉飾同様なのだ。この件は、前項(1月19日c)でも述べたとおり。

 [ 付記2 ]
 前項の最後では、「市場ルールの逸脱」という記述をしたが、これについて述べておこう。
 そもそも、「法の抜け穴を突く」のと「違法行為」とは、全然別のことである。「法の抜け穴を突く」のが悪ければ、法律を改正するべきであり、法律の拡大解釈をするというのは、筋違いだ。
 「市場ルールの逸脱」というのは、何のことを言っているのか? 「ルール」というのは、法のことなのか、法の趣旨のことなのか? 「法の趣旨にそぐわないことをやる奴は、たとえ合法であっても、処罰する」というのが、上記の検察の意図であるらしい。だが、これが事実なら、日本はもはや法治国家ではない。本当に上記の記事の通りであったとすれば、検察は違法行為をやっていることになる。
 なお、報道では「株式分割は株価つり上げの不正行為だ」なんて趣旨の話もあるが、これには驚いた。株式分割はれっきとした合法的な行為である。それは決して悪いことではない。「株を買いたい」というアマチュア投資家が多いのに、「最低でも百万円の資金を用意しないと買えません」というふうに高値を付けて門前払いしてきたのが、多くの企業だ。で、ライブドアは、そうせずに、「単価を下げますからいくらでも買ってください」というふうにした。それだけのことだ。つまりは、「まとめ売り」のかわりに「バラ売り」をしたのと同様である。
 こんなことまでが処罰されるとしたら、「合法的な安売り店」はみんな逮捕されてしまうことになる。メチャクチャである。
 ま、ライブドアの行動に、違法すれすれのグレーゾーンのことが多いことは事実なので、「真っ白だ」というつもりはないが、「灰色を黒と呼んでいきなり逮捕する」というようなことは、やはり行き過ぎであろう。検察であれ証券監視委であれ、そんなことはするべきではない。
 たとえば、百歩譲って、「株式分割はいけないことだ」ということになるとしよう。それならそれで、その見解を公式に出して、「(過度な)株式分割を禁止する」という方針をルールとして示せばよい。その上で、ルール違反を問えばよい。いきなり逮捕するとか、いきなり「ルール違反だ」とかいうのは、メチャクチャである。ありもしないルールを「ルール違反」に問うのは、それこそルール違反(法治国家でないこと)である。
( ※ なお、「株式分割の頻度が多すぎる」という指摘もあるが、株式分割はどんなに多くたって、別に悪いことではない。仮に、「たった百円のお小遣いでも株を買えます」というふうにしたって、ちっとも悪いことではない。また、実際には、そこまで極端にはやっていない。株式分割の頻度が多かったのは、株価が急上昇したからだ、とも言えなくもない。株式分割は、グレーゾーンではなく、真っ白である。だいたい、それを許可したのは、東証でしょうが。処罰するなら、東証も処罰せねば、筋が通らない。……やはり、今回の捜索は、臭すぎる。)


● ニュースと感想  (1月20日c)

 「ライブドアの敵」について。
 今回のライブドア騒ぎの裏には、何があるか? そう考えたとき、推理小説では、次のように犯人捜しをするといい。
 「誰が利益を得たか?」
 あるいは、もうちょっとひねって、
 「誰が不利益をなくしたか?」  ここまで考えると、最も疑わしい人物が、浮き上がる。それは、阪神タイガースの買収を狙った村上ファンドの村上なんかじゃなくて、日本で一番腹黒い人物である。
 「マスコミを牛耳って、日本に独自のマスコミ権力を構築したドン」
 すなわち、フジサンケイグループのドンだ。フジテレビおよびフジサンケイグループを牛耳って、嘘ばっかりの右翼政策を唱えて、日本を右傾化しようと狙っている人物。誰のことかわかりますね? 
 で、この人に襲いかかったのが、ライブドアだ。フジサンケイグループを買収して傘下に収めようとした。で、その狙いは、辛くも阻止されたが、「提携」という形で、喉につっかえた骨のようになって、フジサンケイグループに突き刺さっている。こんな状況では、ドンはおちおち安定していられない。しかも、自分に歯向かったホリエモンが、どうしても憎くて憎くて仕方ない。特定の企業(ライブドア本体)をたたきつぶすのでは足りず、ライブドアの全体をたたきつぶしてやりたい。そうでなければ、夜もおちおち眠れない。となると、彼は、次の方針を立てる。
 「ライブドアをたたきつぶせ。ライブドアグループ全体をたたきつぶせ」
 「それには、金の力でなく、政府の力を借りるしかない」
 「政府が合法的に民間企業グループをつぶすには、悪事をあばく形で検察による摘発をするしかない」
 「そのためには、ライブドアのアラ探しをすればよい」
 「ゆえに、ライブドアのアラ探しをせよ! グループの総力を挙げて、徹底的にライブドアのアラを捜せ。どんな企業にだって、少しはアラがあるはずだ。そして、塵も積もれば山となる。だから全員で、アラ探しをせよ!」  こうやって集めた罪状をたくさんまとめて、検察にこっそり届ける。その際、もちろん、裏から政治家に根回しして、必ず摘発するように持ち込む。どうやって? 検察庁長官とか何とか、どこかに圧力をかけたり、法務大臣に献金したり。いろいろ手はあります。

 [ 付記 ]
 「ヒューザーの問題を論じている国会から目を逸らさせるために為政者が仕組んだのだ」という説もけっこう見かける。だが、これはありえまい。
 なぜか? 次の二点から。
 というわけで、小泉は、容疑者から除かれる。「動機がない」というわけだ。特定の民間企業を攻撃したがる敵がいるとしたら、その敵はやはり民間企業であるはずだ。で、ライブドアを「敵」と見なしているのがどの民間企業であるかは、周知の通り。そのボスが何を思っているかも、周知の通り。
( → 参考資料 「メディアの支配者」)


● ニュースと感想  (1月21日)

 「ライブドアの粉飾決算」について。
 ライブドアが粉飾決算をしていた、という報道がある。( → 読売の記事

 (1) 粉飾(不正経理)そのもの
 これを読んで、「やっぱり不正をしていたんだな」と思う人も多いだろうが、私は逆に「やはりこの程度だけか」という感想をもつ。
 この記事を見ても、規模はあまりにも小さい。あったとしても、ちっぽけな粉飾である。エンロンみたいにとんでもない粉飾とはまったく違う。ライブドアの不正をエンロンと比べるのはまったく不適切であり、むしろ、世の中にたくさんある「国税庁との見解の違いによる脱税(追徴処分)」に近い。規模も同程度だ。

 というわけで、この程度のことで、東証をストップさせるほどの大騒ぎを起こす必要など、まったくない。「不正があったかなかったか」ではなくて、「なぜこんなに小さな不正に目くじらを立てるのか」ということを問うべきだ。
 比較対象として言えば、先日の東証の発注ミスで、どこかのネット・トレーダーが数億円をボロ儲けしたという。これも不正に近い行為だが、おとがめなしで、他人の金を頂戴する。もっとひどいのは東証で、「(相手のミスに乗じたズルによる)得べかりし利益」の分を勝手に算定して、その分の現金を莫大に支払う。
 こういうメチャクチャをほったらかしておいて、どうしてホリエモンだけを俎上に載せるのか? たとえば、株式分割による株価つり上げなんて、多くの企業がやっている。ところがホリエモンだけがやり玉になる。
 「法の下の平等」を唱えた憲法に違反している、とすら言える。検察の恣意的な法律解釈を許せば、とんでもないことになる。

 検察としては、何らかの裏があるのかもしれないが、それを隠して、勝手なことばかりをやっていると見えるようでは、司法に対する信頼が薄らぐ。
 そういえば、ペルーという国も、ひどい国ですね。あれは法律がまともに整っていない途上国だと思って笑っていたが、笑い事ではないようだ。

 (2) 粉飾と株価
 「粉飾によって株価をつり上げたのが問題だ」という見解もある。ま、それは形式的には、成立する。とはいえ、これもまた、かなり微罪だ、と私は思う。なぜなら、この粉飾は、あるにはあったが、あまりにも小規模だからだ。「赤字決算を数十億円の黒字に粉飾した」というが、この程度のことで、株価が莫大に上がるだろうか? エンロンならば、「200億ドルにのぼる簿外債務を故意に見逃した」という粉飾があった。200億ドル、つまり、2兆円だ。これに比べると、ライブドアが20億円の粉飾をしたとしても、あまりにも小規模である。
 さらに言えば、西武鉄道は、長年、逆粉飾をやって来た。つまり、「利益があるのに利益がない」というふうに見せかけて、多額の実質的な脱税をやっていた。これは社長本人が「税を払うやつは馬鹿だ」といって、実質的な脱税を公言していたのにもかかわらず、ずっと放置されてきた。もちろん、20億円程度ではない。(その利益は、最終的には、バブル騒ぎで蒸発してしまった。国民の金が奪われたも同然だ。)
 ライブドアの場合には、粉飾であるから、税を払わなくてもいいのに、逆に、多額の税を払っていたことになる。「粉飾」が判明したら、国税庁はライブドアに、取りすぎた税の返還をするべきだ、となる。
 ま、それでも、ライブドアのやって来たことは、小さな犯罪であれ、犯罪は犯罪である。とはいえ、「こんなに大騒ぎするほどのことはない」というのが、私の見解だ。20億円程度の粉飾なら、世の中ではザラである。だいたい、残業手当の不払いで数十億円のゴマ化しをやっている企業なら、世の中にはわんさとある。ライブドアの社長を犯罪者扱いするなら、トヨタの会長(経団連の会長)だって犯罪者扱いしていいはずだ。
 
 で、何が言いたいか? 「ホリエモンは善人だ」と言いたいのではない。「みんなでそろってライブドア狂想曲を奏でるのは狂気的だ、頭を冷ませ」と言いたいのだ。(イラク人質事件のときと同様。日本中の1億人がそろって一つの音色で狂想曲を奏でるのは馬鹿げている、というのが、私の見解。)


● ニュースと感想  (1月21日b)

 「ライブドア問題の核心」について。
 前項でも述べたが、「粉飾、粉飾」と騒ぐほどのことはない。そもそもこれを「粉飾」と呼ぶのはおかしい。
 粉飾とは何か? 通常、「ありもしない架空の利益を計上すること」である。たとえば、エンロンはありもしない架空の利益 200億ドルを計上して、ボロ儲けしているように見せかけた。これは嘘八百である。
 逆は、脱税だ。「現実にある利益を隠すこと」である。たとえば、200億ドルの利益があったのに、その利益を隠して、利益ゼロと見せかけて、税を払わない。(似たことは西武鉄道・堤義明がやった。)
 では、ライブドアがやったのは、そのどちらか? どちらでもない。報道によれば、「子会社の利益を親会社に回したこと」である。これは、「利益の付け替え」であって、「無を有にした」り、「有を無にした」のとは違う。
 ま、これも、不正は不正だが、「粉飾」や「脱税」とは異なる。概念を混同しないようにしよう。ライブドアのやっているようなことは、経理の場では日常茶飯であり、毎年毎年、「国税庁との見解の相違」という記事がちょいちょい出る。そんなことで誰も大騒ぎをしない。
 また、公認会計士が帳簿のミスを発見することは、それこそ無数にあるが、そんなことで誰も大騒ぎをしない。
 
 では、本質は、何か? こうだ。
 「小さな不正に基づいて、巨大な妄想をふくらませること」
 ここには問題がある。とはいえ、この問題は、「小さな不正」というタネに問題があるのではなく、「小さな不正を巨大にふくらませる」という構造に問題がある。この構造をほったらかして、小さなタネだけを摘発しても、物事の本質には迫らない。
 仮に、倒産しかけた企業(ダイエー・カネボウ)が、同じことをやったとしよう。「子会社の利益を親会社に付け替えて、株式分割を多大に繰り返した」としよう。(ただし、隠さずに、公表したとする。)……この場合、何が起こるか? 何も起こらない。経済現象はほとんど何も変わらないはずだ。
 では、ライブドアの場合には、なぜ問題が起こったか? それは、IT企業には、妄想が働くからだ。とすれば、問題の根源は、この妄想なのだ。
 ライブドアだけを摘発して、他のIT企業についての妄想を放置しても、そんなことでは何も解決しない。
 過去の例として、バブル期の株価を思い出そう。「地価に基づいて株の資産価格」なんてものを算定したあげく、それをもっともらしい理由で正当化して、日本中の企業の株価をどんどんつり上げた。たとえば新日鉄は都会に莫大な土地をもっているという理由で株価が急騰した。これはすべて妄想に基づく株価だ。あげく、妄想が破裂して、バブルが破裂した。
 今もまた、IT妄想によるITバブルが膨張している。膨張している間は、株価はどんどん上がるから、人々は「儲かる、儲かる」と信じて、ライブドア・楽天みたいな会社の株価が(現実の利益水準を上回って)急騰する。……ここに問題があるのであって、小さな不正というタネばかりを問題視しても、それでは物事の本質を突いていないのだ。
 たとえば、「ライブドアは株式分割でボロ儲けしたから、株式分割を規制しよう」という声が政府に出ているが、こんなのはただの「規制強化」(規制緩和の逆)であって、市場の健全化とは何の関係もない。物事の本質を見失うから、こういう馬鹿げた処方が出てくる。

 [ 付記1 ]
 読売新聞に「粉飾」の話がある。( → 読売のサイト
 インターネット関連企業「ライブドア」(東京都港区)が2004年9月期決算を粉飾した際、同社の各事業部が傘下の会社から仕事の発注を受けたかのように装い、架空の売り上げを計上していたことが、同社の内部資料で分かった。
 ここでは、売上げそのものは架空のものであるが、利益そのものは架空のものではない。傘下の会社から利益を吸い上げただけだ。親会社と子会社の利益の総額は変わらない。
 で、この「利益の付け替え」のために、架空の取引をこねあげたわけだ。これはたしかに不正であるが、「粉飾」と大騒ぎするようなことではあるまい。これと似た事例なら、耳にタコができるほど何度も報道された。それでも、国税庁が少し騒いで、重加算税を課して、それで済ませるのが普通だ。検察が出てくるような問題ではない。
 ま、ライブドアに「不正で株価をつり上げよう」という悪意があったのは間違いないが、こんなのをいちいち「粉飾」と騒ぐようでは、ヒステリックすぎる。子供の喧嘩や夫婦喧嘩を見て、検察が乗り出して、「殺人未遂で逮捕」とするようなものだ。(というのは極論だが。)
 ま、とにかく、ヒステリックに騒がない方がいいですね。

 [ 付記2 ]
 最新記事でも、似たような「嘘つき」の話がある。「企業買収に関する虚偽発表資料を作成していたことが、関係者の話で分かった」とのことだ。( → 読売のサイト
 これもまた、ただの「嘘つき」の話である。ま、ライブドアは、嘘つきで詐欺師なのだろうが、他人の財布に手を突っ込んで金を盗んだ泥棒とは違う。たとえば、私はライブドアに投資をしていないから、一円も奪われていない。金を奪われたのは、投資家だけだ。そして、投資家というのは、しょせんは「他人の財布の金を(バクチ的に)奪ってやろう」という連中ぞろいなのである。それが短期投資の本質。
 嘘つきと詐欺の連中の行為を、国の大事のように騒ぐ必要など、さらさらない。それに引っかかるのは、もともと「他人を引っかけてやろう」と思っていた連中だけだ。
 ずっと悪質なのは、小泉だろう。善良な人間がこぞって引っかかってしまった。単に参政権を行使したというだけで、詐欺に引っかかってしまった。……なのにどうして、ずっと悪質な詐欺師の方が放置されるんですかね? いや、そういう隠蔽工作のために、ライブドアを火あぶりにしているんでしょうかね? 

 [ 付記3 ]
 ついでに言えば、ずっと悪質な「泥棒」なら、わんさといる。「談合」や「税の無駄遣い」によって、国民の金は数兆円のレベルで奪われている。一回の事件も、数億円はざらで、数百億や数千億円の無駄もある。(ケインズ的な公共事業。)
 関空やら、静岡空港やら、本四架橋やら、どれほど莫大な金が奪われたことか。これは純然たる泥棒であって、国民の金は政府へ(さらには建築業者と国会議員へ)奪われたのである。あなたの財布の金はまさしく莫大に奪われているのだ。一人あたり数百万円にもなりそうだ。少なく見積もっても、数十万円にはなる。
 で、ライブドアによって、あなたはいくら奪われたか? 少なくとも私は、ゼロ円ですけどね。


● ニュースと感想  (1月22日)

 「ライブドアの株式売却」について。
 「ライブドアが自社株を売却して、売却益を利益に見せかけるのは、ひどい粉飾だ。実際の生産活動もなしに、紙の株券だけを売却して、ありもしない利益を計上していることになる」
 という見解がある。しかし実は、これもまた、ただの帳簿の問題だ。
 なぜか? 「自社株の売却益を会社の帳簿に組み込み」なんていうことは、どこの企業だってやっていることだからだ。それは通常、「株式の時価発行」と呼ばれる。
 ま、株式の時価発行をしたら、その売却益を「資本金」に組み込むのが普通であり、「営業利益」に組み込むのは異常である。だからライブドアの行為は、不正といえば不正だ。とはいえ、この不正もしょせんは、帳簿の項目の問題にすぎない。
 結局、「ただの株券を売却して金を得るような錬金術はけしからん」なんて騒ぐぐらいなら、「時価発行をすべて禁止せよ」と騒ぐべきだ。くだらん。

 [ 付記1 ]
 時価発行とは? 単純に言えば、百億円の株式を発行して、その百億円を銀行預金することだ。別に、良くも悪くもない。会社は紙を発行して百億円を得る。株主は、百億円を払うが、その百億円は、会社の百億円分の価値となる。株主は損得がないし、会社も損得はない。錬金術でも何でもなく、ただの経済行為である。
 逆の行為として、「自社株の購入」というのもある。自社株を購入し、そのために、資本金を取り崩す。これもまた、特に善悪はない。
 なお、自社株の売却と、自社株の発行は、実質的には同じことである。

 [ 付記2 ]
 根源を言おう。「(成長という)妄想を担保にして、株式を発行する」というのは、良くないことだ。ただし、ここでは、良くないのは、「(成長という)妄想を担保にすること」である。「何かを担保に株式を発行すること」ではない。問題の根源は、妄想なのだ。

 [ 付記3 ]
 というわけで、注意すべきことを、標語ふうに述べておこう。
 「ライブドアの事件で損をした投資家が、『ライブドアのせいだ、ホリエモンのせいだ』と騒いでいると、『錯覚のせいで損をした』という真実に気づかないで、ふたたび損をするだろう
 損得を他人のせいにしてばかりいるような連中は、株式投資の場に参入するべきではないのだ。ついでに言えば、頭のいい人は、ライブドア事件に乗じて、ボロ儲けする。「短期投資とは他人をだまして金儲けすることだ」と理解している人々が、「ライブのドアのせいだよ、悪いのはライブドアだよ」と宣伝しながら、カモの金をこっそり頂戴する。詐欺師が得をして、カモが損をする。ライブドアはその場で利用される。
 こういうふうに理解している人だけが、金儲けができるのだ。これは、詐欺まがいの不正行為だとも言えなくもないが、完全に合法的である。「合法的にだます場」というのが、株式市場の場なのだ。
 ま、「だます」というと、「悪意の有無」が問題となるので語弊があるが、「合法的にだまされる場」と呼べば、特に問題もあるまい。誰かが意図するかしないかにかかわらず、カモは常にだまされて大損をする。そして、その責任を、自分のせいにはしないで、他人のせいにして、カモはわめくのだ。「ガー、ガー」と鳴きながら。


● ニュースと感想  (1月22日b)

 「ライブドアの株交換」について。
 ライブドアの問題が次から次へと出てくる。今度は朝日の記事。株式交換の比率を不当にしたせいで、不当な利益がライブドアに環流していた、という話。( → 朝日のサイト
 しかし、これだって、しょせんは帳簿の問題だ。関連会社の間で金がぐるぐる回っているだけであり、外部の一般人の金を巻き上げたわけではない。「詐欺をして金をかすめ取った」というよりは、「見せかけの上げ底をした」というわけで、「だます」という意図はあったにせよ、「金を盗む」という意図はない。
 なるほど、ライブドアの嘘によって、損する人は出るだろうが、それで損した分の金を、ライブドアが奪うわけではない。別の投資家が奪うだけだ。「おれが損したのはライブドアのせいだ」と投資家が騒ぐのは正当かもしれないが、「おれが損した金をライブドアに奪われた」と騒ぐのは見当違いだ。しょせん金は株式市場のなかでぐるぐる回っているだけだ。泥棒とは違う。(本日別項の「時価発行」の話を参照。)

 これを理解するには、「仮に、ライブドアの株価がどんどん膨張していて、ライブドアも成長していて、有限の期間内で破綻しない」と想定すればわかる。この場合には、誰も損はしないことになる。
 なお、「破綻するかどうか」が問題なら、これはバブル一般の問題であって、ライブドアだけの問題ではない。私が何度も繰り返したとおり、妄想の問題だ。

 [ 付記 ]
 ついでに言えば、この株交換の事件では、不正の金額はたったの7億円。ライブドアの問題は次から次へと出てくるとはいえ、「十億円内外の不正経理」という問題だけだ。そんな問題で、ライブドアの数千億円の株式価値を一挙に半減させたり、「担保価値をゼロと見なして株式市場を混乱させる」という問題を引き起こしたりした。
 これじゃ、どう考えたって、次の比喩が当てはまる。
 「新聞紙が燃えただけのボヤを見て、大火事だと大騒ぎして、人々があわてふためいたせいで、大被害が発生する。ボヤの被害は百円程度だが、人々があわてふためいたことの被害は1億円」
 愚劣。というわけで、私は警告しているんだが、大騒ぎを引き起こそうとする連中が、あとを絶たない。こういうふうに大騒ぎする連中こそ、ホリエモンよりもはるかに甚大な被害をもたらしているのだ、ということに気づかないようだ。
 他人をひどく非難する連中ほど、自己正当化をして、自分の罪に気づかない。


● ニュースと感想  (1月22日c)

 「粉飾という言葉」について。
 読売新聞(など)が「粉飾、粉飾」と大騒ぎする記事をやたらと乱発しているので、忠告しておこう。
 真の粉飾というのは、エンロンに代表されるが、日本では、カネボウの事件の例を言う。ありもしない架空の利益を計上して、莫大な債務を隠していた。これが真の「粉飾」だ。
 で、そのとき、読売新聞(など)は、どれだけ騒いだか? ありきたりの報道をしただけだ。これに関与した公認会計士たちも、ほとんどお咎めなしだ。「資格停止」という話は聞いたが、「検察が逮捕して監獄にぶち込んだ」という話は聞いていませんね。
 真の大事件については、ろくに騒がず、はるかに小さい事件を、特別に過大視して報道する。ほとんど記事バブルである。
 
 で、私の結論は、こうだ。
 「マスコミが事件を粉飾している」

 [ 付記 ]
 カネボウの粉飾事件では、産業再生機構を通じて、国の金が 4100億円も投入された。一企業の粉飾のために、こんなに巨額の金が投入されたのだ。下手をすれば、丸損である。
 その後、あれこれと処理した結果、かろうじて 4400億円で花王が買ってくれたので、国民の負担はなしで済んだ。とはいえ、それは産業再生機構の顔を立てるための名目であって、実際には銀行に 1000億円の債務放棄を強制した。帳尻を見ると、
   4400−4100 − 1000= -700
 つまり国民の損は、銀行経由も含めて、700億円の損。
 これだけの巨額の損失を出したのだから、大騒ぎしてもいいはずだ。しかし、誰も騒がない。騒いでいるのは私ぐらいだ。政府は逆に、「産業再生機構がカネボウを再建したので景気が回復する」なんてうそぶいている。失敗例を成功と標榜している。……こういうのを「粉飾」と呼ぶのだ。
 ライブドア? 一般国民には、全然負担をかけていません。損をしたのは、「他人の金をかすめ取ってやろう」と思い込んでいた投資家だけ。で、「他人の金をかすめ取ってやろう」と思い込んでいたのに、実際には「他人に自分の金をかすめ取られた」となったので、「だまされた、損をした」と大騒ぎしているわけ。誰にどうだまされたかも知らないで。( → 前項 1月22日b を参照。)


● ニュースと感想  (1月23日)

 「巨大な浪費の隠蔽」について。
 1月21日b の最後では、公共事業の無駄を指摘して、「国民の金が泥棒されている」と述べた。その例をとして、最近の例を示す。それは、
 「日本橋の高架道路を美観のために改築する」
 という案だ。首相の指示によるそうで、費用は数千億円。( → 読売新聞

 これは数千億円の浪費である。改築しても、何一つ社会に実質利益をもたらさず、単に精神的な「美観」を良くだけだ。
 で、その美観のための費用が、絵画を一枚購入する程度の数万円ならわかるが、数千億円である。桁で書くと、
        5,0000円
    5000,0000,0000円

 で、その狙いは? 誰にもバレバレである。朝日新聞の記事(もう消えた)から引用すれば、こうだ。
公共事業予算の削減で財源に乏しい国交省が移設に前のめりなのは、首相の指示があったことに加え、政府が道路特定財源の一般財源化を方向づけたため。「景観」重視の流れに乗り、道路以外に流れる予算を少しでも多く取り込もうという算段のようだ。
 つまり、道路特定財源の金が余って仕方ないので、その金を何かに使う。しかし、金を一般財源に入れれば、国民の金になるが、そうなると、土建業者が甘い汁を吸えない。で、その金を土建業者が奪い取るために、「美観」という名分で、無意味な工事をやるわけだ。つまりは国民の金を、数千億円も奪う(泥棒する)わけだ。……それが小泉の方針。

 で、こういう大泥棒をやるには、どうすればいいか? 国民の目をそらせばいい。そのために、「ライブドアをやっつけよう。そうすれば世の中は万事良くなる」というふうに、国民をたぶらかすといい。図式化すると:

  表:   ライブドアで大騒ぎ 「ギャーギャー」「かんかんがくがく」
  ───────────────────────────
  裏:     (表の騒ぎにまぎれてこっそり 数千億円 の泥棒 )


● ニュースと感想  (1月23日b)

 「ライブドア問題の要点」について。
 私が「大騒ぎするな」ということの根拠は、すでに何度も示したが、いまだによくわかっていないで勘違いしている人が多いようだ。そこで、要点を簡単にまとめておこう。次のことだ。

 第一に、「ライブドアは国民の金を奪っていない」ということだ。奪われたのは投資家の金であって、国民の金ではない。投資していない人は一円も奪われていないのだ。当然ながら、ライブドアは国民の金を奪っていない。

 第二に、「金を奪われた投資家はいるが、その金はライブドアに奪われたのではない」ということだ。百万円を投資して、その大半を失った投資家はいる。しかし、その損失は、ライブドアのものになったわけではない。別の投資家のものになっただけだ。……「ライブドアに金を奪われた」というのは、大いなる錯覚である。株式投資の場では、原則として、「全員敗者」というようなことはない。ただのゼロサムゲームであり、誰かが損をすれば、誰かが得をする。それだけだ。(投資家同士でゼロサムの損得があるだけ。ライブドア自体は関係ない。)

 第三に、「ライブドアはことさら利益を増やしたわけではない」ということだ。投資家から得た金をライブドアが勝手に無駄遣いしてしまえば(たとえば倒産する事業に金を無駄遣いしてしまえば)、投資家は損をする。「全員敗者」ということもありうる。しかしこれは、株式市場の問題とは関係なく、単なる事業の成否の問題だ。そして、この点では、ライブドアはうまくやっている。経理のチョロマカシはあるが、全体的には黒字になっている。この意味で、「全員敗者」ではなく、「全員勝者」なのだ。(ただし、その「勝ち」の分は、多くはない。「多い」と思ったのに「少なかった」と騒いでいるだけだ。その差が「妄想」である。)

 第四に、「ライブドアが株式売却代金を資本金でなく利益を計上したことで、『株主に損をさせた』というのは事実だが、それはまた、『国民に得をさせた』ということであるにすぎない」ということだ。金を資本金でなく利益に組み込むと、その分、税金を払う。この分は、純粋に、株主が損をする。しかし、その損の分は、税金として政府に入るのだから、国民は得をする。結局、ライブドアの最大の罪は、税を払いすぎたことであり、国民に金を与えたことなのだ。(したがって、あとで脱税をすれば、ライブドアの罪は帳消しになる。……という計算ですね。 (^^); )

 第五に、「ライブドアが倒産することなどありえない」ということだ。ライブドアは無借金経営で、莫大な預金(千億円以上だったかな?)もある。自動車会社のように物質的な商品を工業生産しているわけではなく、ソフト的な商品を生産しているだけだから、原価もわずかであり、赤字になりにくい。容易に倒産するはずがない。

 第六に、「ヒステリックに『ライブドアは不正をやったから市場から追放せよ』なんていう主張は、それこそ経済原理を逸脱している」ということだ。事業の1%かそこらの額でしかない不正があったからといって、残りの分を無視して、丸ごと追放してしまえ、なんていう主張は、それこそとんでもない。こんなことがあったら、「全員敗者」ということになる。なぜなら、本来は莫大な価値をもつライブドアの株券が、「追放論者」のせいで、一挙に紙屑になってしまうからだ。……要するに、最も不正な主張が、「ライブドアは不正をやったから追放せよ」という主張なのだ。この主張こそ、投資家に莫大な損失を与え、全員を敗者にし、かつ、日本経済を大きく傷つける。ほとんど経済テロといえる。ビンラディンをはるかに上回る巨大な破壊活動だ。……だからこそ私は「頭を冷やせ」と主張しているのだ。

 [ 付記 ]
 たとえ話。
 離島にいた医者のジャック・レモンは、「すばらしい名医」という評判が高く、島民から圧倒的な信頼を博していた。人々は彼を「現代の聖人」ともてはやして、「ホリー・レモン」(聖なるレモン)と呼んだ。
 ところがあるとき、都会から来たジャーナリストが、ホリー・レモンの裏面を曝いた。「彼はこんなに汚いことをしているのだ」と暴露した。病院の経理の金をごまかして、こっそりワインを買っていたのである。これを知った島民は怒り狂った。「あんなに信じていたのに、裏切られた!」と大騒ぎ。「ホリー・レモン」と呼ぶのをやめて、「ブラック・ジャック」と呼ぼう、という声も上がった。
 人々は役所に「ホリー・レモンを処罰せよ」とかけあった。役所はさっそく、「免許取り消す」と主張して実行したので、「生の扉」という名前の病院は閉鎖されることになった。当然、病院に資金を出資していた投資家は、大損した。投資家は「これもみんなホリー・レモンのせいだ! あいつのせいで大損した!」と非難した。彼らは怒ってはらわたが煮えくりかえっていたのである。……そのそばで、「頭を冷やしなさいよ」とヒゲもじゃの変人が忠告していたが、誰もそんな忠告に耳を貸さなかった。
 ホリー・レモンは追放された。人々は満足した。しかし、1年後になって、現実に気づいた。もはや離島には医者がいない。病人がいても助からない。仕方ないので、別の医者を呼ぼうとしたら、ものすごい高給が必要となった。ホリー・レモンは、「年収五百万円と、ワイン代のチョロマカシ」だけで済んだのに、新しい医者は、「ワイン代のチョロマカシ」がないかわりに、「正規の給与として年収二千万円」もかかるようになったのだ。一挙に四倍である。(ただし不正だけはゼロになった。もともと不正はワイン代程度でしかなかったが、とにかくそれがゼロになった。)
 で、差し引きして、どうなったか? 不正なワイン代の損失はなくなったが、同時に、莫大な損失が発生した。一つは、新規の医者の給与。不正経理を適正経理にしたが、実質的にはかえって四倍もの金がかかった。また、古い病院を閉鎖してから、新しい病院を建設したので、そのための費用も莫大にかかった。古い病院の閉鎖のせいで投資家は大損し、新しい病院の建設には多大な投資が必要となった。全部ぶっ壊してから作り直したので、医師の給与の二千万円どころか、百億円もかかった。
 「これもみんなホリー・レモンのせいだ。あいつのせいで大損した」と人々は嘆いたあとで、「しかし、ウミを出しきったから、これからは万事うまく行くはずだ。これからは清らかな未来が続く。だから今回の処理は正しかったのだ」と信じた。
 しかしそのそばで、ヒゲもじゃの変人が、こうつぶやいた。
 「むしろ、何もしない方がよかったんじゃないの? ホリー・レモンがそのまま医者をやっていた方がよかったんじゃないの? そうすれば、莫大な損失は、何一つ発生しなかったはずだ。せいぜい、不正なワイン代しか、無駄にはならなかったはずだ。」
 「何だと! じゃ、不正を見逃せと言うのか?」人々は怒り狂った。
 「いやね。不正を見逃せとは言いませんけどね。ホリー・レモンに注意して、『これからはもうしません』と反省させれば、それで済んだんじゃないの? つまり、大騒ぎしなければ良かったんじゃないの?」
 「そんなことでは駄目だ! 不正は抜本的に改める必要がある!」
 「で、そのために、もともとあった立派な病院をすっかり破壊してしまえばいいんですか?」
 「そうだ。正義のためには、やむを得ない。正義が優先する」
 ヒゲもじゃの変人は、呆れた。「お手上げだね」と思った。つまり、「正義のためにはすべてを破壊してもいい」と主張するテロリストには、何を言っても無駄だ、と思ったのである。
 ヒゲもじゃの変人は、島を離れたあとで、報告書を書いた。
 「この島の病気は、『集団ヒステリー』。処方として、『真実を見よ』と指摘したが、効果なし。島民たちは、『何もかもホリー・レモンのせいだ』と思い込んでいる。そのせいで、『自分たちが破壊している』という意識すらない。処置なし。」


● ニュースと感想  (1月23日c)

 「ライブドア問題と株式市場」について。
 ライブドア問題では、世間に誤解があるようだ。次のように。
 「ライブドアはことさら不正なことをやったからけしからん。もともと清純で無垢な乙女のようにきれいな株式市場を、泥水のように汚したので、けしからん」
 しかし私の解釈は、こうだ。
 「株式市場は、もともと泥水だらけのようなところである。そこには魑魅魍魎が跋扈している(ちみもうりょうがばっこしている)
 要するに、株式市場なんてのは、化け物みたいな汚い連中がうようよしているところなのだ。ライブドアだけが清純でないというよりは、誰もかもが汚いのである。叩けば、どこだって、ほこりが出てくる。

 この点、有名なのは、野村證券だ。かなり前になるが、大騒ぎがあって、経営の抜本改善がなされたようだが、それ以前は、ひどいものだった。明白な違法行為が堂々とまかり通っていた。しかし、それでも、検察の手入れはなかった。浄化がなされたのは、別件の事件があったからで、野村の商法そのものがやり玉に挙がったわけではない。つまりは、「見逃し」である。
 今回だって同様だ。ライブドアのやっていることは、確かに褒められたものではないが、このようなことは、多かれ少なかれ、他の同業他社だってやっている。ライブドアはことさら目立っていた(または大規模だった)だけだろう。
 
 ついでだが、こういう「違法行為の見逃し」なら、典型的な例がある。それは「出資法違反の高金利」である。先日、最高裁で「違法」と判断が下されたばかりだ。( → 読売の記事 ) にもかかわらず、同種の違法な行為は、堂々とまかり通っている。サラ金会社が逮捕されたという話は聞かないし、オリックスの会長が逮捕されたという話も聞かない。(堂々と政府の一部にのさばっている。)
 ライブドアなんかに比べれば、サラ金業者の方がずっと悪質である。ちなみに、サラ金業者のサイトを、ちょっと覗いてみるといい。「とても低金利でお得ですよ」という看板金利だけを掲げている。で、その詳細(どういう状況でどういうふうに高金利に跳ね上がるか)は、どこにも書いていない。
 なぜ? どうせ、実際に借りるときには、細かい字のたくさん書いてある文書を渡して、客がろくに読みもしないうちに、判子を押させるつもりなんだろう。……詐欺も同然である。で、国民には、ものすごい被害が出て、自殺者もたくさん出る。まさしく人命が奪われるような大犯罪だ。
 こういう悪質な大犯罪を見逃して、形式違反もしくはグレーゾーンもしくは小規模犯罪にすぎないようなライブドアばかりを摘発するのだから、やるべきことを勘違いしている、としか言いようがない。

 なお、「投資家保護のために、不正な虚偽報告や帳簿のごまかしを禁じるべきだ」というのは、それはその通り。その点は、私も異論はない。しかし、それならそれで、「帳簿をきちんとしましょう」「経理をきちんとしましょう」というふうに報道すればいいだけのことだ。帳簿のごまかしをやって脱税をする連中は、枚挙に暇はないのだから、今回に限って、一国を上げて大騒ぎするべきことではあるまい。一部上場企業の脱税や申告漏れなんて、いくらでも例があるじゃないですか。

( ※ 「大規模な不正」というのもあるが、この「大規模な不正」は「大規模な法律違反」とは違う。「大規模な不正」と「小規模の法律違反」はあるが、「大規模な法律違反」はない、というのが私の見解。ま、異論はあるでしょうがね。私としては、もっとデカい巨悪の方が気になります。……そっちから目を逸らさせるために、ライブドアに目を向けさせているのかな?)
( ※ 「大規模な法律違反」はない、というのは、数字で言えば、誰かの金を数百億円も盗んで浪費したわけではない、ということ。大金を失った投資家はいるが、騒ぐほどのことではない。しょせんは、ほぼゼロサムゲームなのだから、誰かが大金を失えば、誰かが大金を稼ぐ。たとえば、ライブドアの株価が暴落したあとで、その株を買い占めて、あとで株価が急上昇すれば、その人が大金を稼ぐ。また、これまでにライブドアの株価上昇でしこたま儲けた人がいるのだから、その上昇の利益と、今回の大損をした人の損失とは、合算すれば、ほぼチャラであろう。ゼロサムゲームでは、ゲームをやる仲間内で金は動くが、ゲームの外にいる人には影響しないのだ。)

 [ 余談 ]
 私の主張は? 要するに、こうだ。
 「カッカしてヒステリーになったりせず、熱した頭を冷やすべし」
 つまり私は、ライブドアの正邪を論じているわけではなくて、過熱した国民の頭を論じている。そして、こう結論する。
 「何事であれ、物事を一面的にとらえるのは、やめよう。偏光(偏向)フィルターで物事を見るのは、やめよう。あいつは悪人だ、というふうに決めつけて、それで万事片付いたつもりになるのは、やめよう。物事を多面的に見よう。世の中の論調が一色で染まっているときには、もっと別の見方を取ろう」

 [ 蛇足 ]
 南堂の法則(マーフィーの法則のもじり)。
 「投資家が、ライブドアの株を買って儲けたら、それは自分の頭が良かったからである。投資家が、ライブドアの株を買って大損したら、それはホリエモンのせいである」
 「投資家にとって、得は自分が原因、損は他人が原因。ゆえに投資家は絶対的に正しい。失敗はすべて他人のせい」
 「ライブドアが不正をしたあと、投資家が売り浴びせて暴落が起こって大損したら、それはすべてライブドアのせいである」
 「犬がワンと吠えて、小心者があわてふためいて橋から飛び降りて死んだとしたら、それはすべて犬のせいである。小心者のせいではない」
 「ヒステリー患者の問題を解決するには、ヒステリーの原因となる事件をつぶせばよく、ヒステリーそのものを治療しなくてもよい」
 「イラク人質事件のときには、『人質は自己責任で!』とヒステリックに叫ぶ。ライブドア事件のときには、『投資家は自己責任でなく!』とヒステリックに叫ぶ」
 「他人をけなすときには『自己責任を取れ!』とヒステリックに叫ぶ。自分がけなされるときには、『自己責任を取らない!』(ホリエモンのせいだ)とヒステリックに叫ぶ。」
 「検察は正義の味方なんだから、検察のやっていることはすべて正しい。たとえ検察が人殺しをしても、検察は正しい」
 「ライブドア事件で自殺者が出たら、この自殺者の命を奪ったのは、この人を攻撃した者(検察)ではなく、この人を大切にしていた者(ホリエモン)である」
 「長い不況で自殺者が次々と出現したら、この自殺者の命を奪ったのは、この人の職を奪った者(小泉)ではなく、この人を大切にしていた者(家族)である」
 「お上のやっていることはすべて正しく、お上の攻撃で血祭りになった者はすべて悪である」
 「あらゆる経済問題の責任は、お上によって血祭りにされた民間人にある」
 「『電子柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、東京が雪で真っ白なのも、みんなホリエモンが悪いのだ。だから、ホリエモンを検挙すれば、世の中を劇的に改善できる』と検察が指摘すると、国民は拍手喝采して『正義だ、万歳!』と叫ぶ」
 「政府が国民をたぶらかすには、白黒をはっきりさせるとよい。政府は完全な善で、敵は完全な悪、と思い込ませればよい」
 「(小泉劇場で)首相が『政府は正しい! これで景気回復!』と主張すると、国民は『ワォー』と拍手喝采して、票をホイホイ出す」
 「(催眠商法で)詐欺師が『これはお得ですよ! 超サービスです!』と叫ぶと、カモは『ワォー』と拍手喝采して、金をホイホイ払う」
 「馬鹿をだますには、『あなたは賢い』とおだてればよい」
 「豚もおだてりゃ、木に登る」


● ニュースと感想  (1月23日d)

  → Open ブログ 「ジョブズ伝」

  スティーブ・ジョブズの話とホリエモンの話を対比させて、二人の共通点を示す。人物批評。おもしろい話。
 (その前後の項目には、コンピュータの話題もいろいろとあります。)


● ニュースと感想  (1月24日)

 「ライブドアと経団連」について。
 団連「ライブドア入会はミス」  経団連の奥田が、ライブドアが経団連に入会したことについて、「経団連としてミスした」と述べた。(各紙・ニュース 2006-01-23 )
 しかし、どの面下げて、そんなことを言えるのか? 経団連がそんな善人面をする資格があるのか? 
 そもそも経団連は、次の方針を取ってきた。

 「独禁法の強化には断固反対する。独禁法違反をした経営者が罪を問われないようにするべきだ。公取委の独禁法強化は、断固たたきつぶす」
 「公認会計士による会計検査は、絶対に甘くするべきだ。経営者が不正経理をするのを、自由にやらせるべきだ。それを見逃す公認会計士を選ぶ権利は、経営者が持つべきだ」

 後者は、建築設計の姉歯問題と同じだ。デタラメな設計をする建築士を選び、デタラメなチェックをするチェック会社を選ぶ。そういうふうに不正のやり放題をする仕組みが、建築設計にはあった。それと同様なのが、「不正経理のやり放題」というシステム、つまり、「公認会計士を企業が選ぶ」というシステムだ。これはつまり、「泥棒が警察官を選んで雇う」というのと同じである。不正を摘発できるはずがない。( → 11月27日 に述べたとおり。)
 で、こういう不正を助長するシステムを、経団連は政府に強いてきた。政府が改正すると、「改正をやめよ。さもないと、自民党に献金しないぞ」と脅迫して、不正を継続した。
 それが経団連だ。すべての不正の根源は経団連にある。ライブドアは、経団連の方針に逆らったのではなくて、経団連の方針にぴったりと沿ったのだ。
 とすれば、ライブドアがいくら不正をやっても、それは経団連という犯罪者集団には、ぴったりなのである。今回の経団連の会長の言明は、次の比喩に相当する。
 「マフィアに属するチンピラが不正な犯罪行為をやった。するとマフィアの最高幹部が、『あのチンピラは、不正な行為をしたから、われわれの組織には適切でない』と非難した」
 まるで笑い話だ。

 [ 付記 ]
 で、何が言いたいか? ライブドアの不正にばかりとらわれていて、「不正の野放し」に近い現状のシステムを放置していては、何の解決にもならない、ということだ。「不正経理の野放し」というシステムをほったらかしたまま、「不正経理をやった奴が悪い、あいつが悪い」とだけ非難しても、何の解決にもならないのだ。むしろ、投げ売りで、自殺的に金を失うだけだ。
 ライブドア問題は、時代の徒花(あだばな)と見なされやすいが、本当は、「世間の基準からから逸脱した例外」ではなくて、「世間の典型」にすぎないのである。


● ニュースと感想  (1月24日b)

 「ライブドア以外の不正」について。
 私の意見を読んで誤読している人もいるようなので、解説しておく。
 私の趣旨は、「ライブドアの問題は小さな問題だから放置せよ」ということではなくて、「最も目立つ小さな問題だけを処理して、それで万事解決したつもりになるな」ということだ。「小物を見逃せ」ということではなくて、「小物ばかりに目を奪われて大物を見逃すな」ということだ。それがつまりは、私の主張の趣旨。
 比喩。目の前で小さな赤い金魚が目立っている。「この赤い金魚をつかまえれば万全だ」と思って、必死に金魚を捕ろうと大騒ぎ。しかし、そのすぐ先には、大きな大魚がウヨウヨ泳いでいる。ただしそっちは、赤くはないので、目立たない。目立つものばかりに目を奪われて、大魚(本質)を見失う。
 検察は「一罰百戒」のつもりなのだろうが、そういう発想は経済の場にはそぐわない。赤い金魚をつかまえたって、暗い色の大魚は「これでおれはお目こぼしを預かった」と思うだけだ。

 [ 付記1 ]
 実例を示す。ライブドアの問題が起こった本質は、ホリエモンの行動というよりは、「合法である範囲内で節税をやれ」という方針に基づいた宮内取締役の行動にある。そして、この「合法である範囲内で何でもやれ」という方針は、ライブドア一社の問題ではなく、日本中に広くはびこっている問題だ。公認会計士の指南による「脱税まがい・脱税」があとを絶たないことからもわかる。ライブドアを処罰しようが、この問題は決してなくならない。「ライブドアを処罰すれば済む」という問題ではないのだ。
 さらに言えば、「合法である範囲内で何でもやれ」という方針は、一応、合法的なのだから、ことさら目くじらを立てるまでもない。

 [ 付記2 ]
 ライブドア問題よりもっと問題なのは、「非合法のことをやってもいい」という経団連の体質だ。「まさか」と思うかもしれないが、実は、こういう発想がある。
 「非合法のことをやっても、あとで賠償すれば、それでいい」
 具体的には、
 「残業や休日出勤の金を払わずに、サービス残業を無料でやらせておいても、景気回復後にその金を払えば、それでいい」
 こうやって非合法の泥棒が正当化される。で、その間に退職した人が死亡したら、その人は結局、得られる金を得られなかったことになる。(たとえ遺族がもらったとしても、本人はもらえない。無意味。)
 こういう非合法の行為が堂々とまかり通っている。誰一人逮捕されないし、検察もほったらかしだ。被害の額は? 「バレないで払わないまま」という分を含めれば、数兆円になるだろう。


● ニュースと感想  (1月24日c)

 「ライブドアの不正」について。
 私は一見、ライブドアを弁護しているような口調で書いているが、別に、ライブドアが無垢であると述べているわけではない。「真っ黒ではなくグレーだから許容される」という趣旨で述べているのではなく、「グレーなものを検挙するには、法律の拡大解釈によってなすのではなく、法律の改正によってなすべきだ」という趣旨で述べている。
 よく聞くライブドア批判の趣旨は、「ホリエモンのやっていることは不正だから検挙されて当然だ」というものだ。もちろん、ホリエモンのやっていることは不正だし、詐欺師じみた小泉と同様である。しかし、詐欺師じみた小泉がいくら不正をやっても逮捕されないように、詐欺師じみたホリエモンもいくら不正をやっても逮捕されなくてもおかしくない。「不正か否か」が問題なのではなく、「法律違反か否か」が問題なのだ。── それが私の趣旨である。勘違いしないように。
 「あいつは悪いやつだから、たとえ明白な法律違反ではなくても、微罪または別件で逮捕してしまえ」なんていう方針が出るのは、好ましいことではない。何か不適切な行為がなされたのであれば、それを禁じるように、法律または市場規則を改正するべきなのだ。違法すれすれの行為の弊害が目立つのであれば、法律または市場規則を改正するべきなのだ。それが法治国家というものだ。なのに、いきなり検挙するというのは暴挙である。── それが私の趣旨である。
( ※ なお、より根源的には、ライブドアの正邪を論じているのではなく、国民のヒステリーを論じている。 → 1月23日c 余談
( ※ ライブドアの[巨大な]グレーでなく[小さな]ブラックな面については、あとでまた述べる。)

 [ 付記1 ]
 司法による馬鹿馬鹿しい重罰の例は、他にもある。「女性に向かって『デブ』と悪口を言ったら、一カ月間の監獄入りという判決」である。( → Yahoo ニュース
 呆れた話だ。だいたい、デブのどこが悪いのか? 裁判官は「痩せた女性がすばらしい」という思い込みに凝り固まっているようだが、それこそ偏見である。ルノワールだって、ふくよかな女性が好きだったし、若い男性だって、ペチャパイの痩せた女性よりは、ふくよかな巨乳の方がいい、という人はたくさんいる。「痩せた方がいい」というのは、女性の勝手な思い込みにすぎない。たいていの男性は、「痩せすぎなんて気持ち悪い」と思っているはずだ。「デブ」は侮辱で、「痩せ」は褒め言葉だ、なんていうのは、あまりにも偏見に過ぎる。
 ま、百歩譲って、「デブ」は悪口だとしよう。だとしても、こんなことで監獄にぶち込まれていいのか。だったら小泉を「ポチ」と呼ぶ私も、監獄にぶち込まれそうだ。ついでに、小泉を揶揄する漫画家も、みんな監獄にぶち込まれそうだ。
 これは案外、冗談ではない。というのは、ロシアでは、プーチン大統領を批判する人が、どんどん監獄にぶち込まれているからだ。プーチン独裁。(フセインと違って見逃される。チェチェンでいくら虐殺をしてもおとがめなし。)
 なんだか話が飛んでしまった。ともあれ、検察や裁判所がやることには、おかしなことが多い、ということ。

 ついでに言えば、おかしな例として、別の例もある。
 「ケータイメールでハートマークを使ったら、それだけの理由で、セクハラと見なされて、処分された」( → 読売新聞
 別に、エッチな話を書いたわけでもなく、単にハートマークを使っただけで、処分される。メチャクチャですね。
 この分だと、ネット上でハートマークを使っただけで、みんな処分されるかも。たとえば、次のページ。 ( → 日刊スポーツ
 しかし、こんなことで会社や政府に処分されるのは、納得行きませんね。妻に処分されるならまだわかるが。
 ま、私もちょっと使ってみよう。逮捕されるかもしれないが。 ハートマーク

 [ 付記2 ]
 逆に、司法による摘発のない例は、先日の「サラ金の高金利」の他に、次のこともある。
 「保険会社の不払い」
 たとえば、「損保業界の不払いは、過去3年間に26社合わせて約18万件(約84億円)に上る」とのことだ。( → 朝日のサイト
 また、「明治安田生命による死亡保険金と入院給付金の不払い件数は1000件を超え、金額は50億円に達した」とのことだ。( → ライブドアニュース
 これらは純然たる詐欺または泥棒である。で、これらの業界の社長は、逮捕されたか? また、マスコミはどれだけ大騒ぎしたか? むしろ、「あとで払えば罪は一切許される」と思っているんじゃないの? 
 言っておくが、ここでは社会のなかで最も弱い人々がだまされて金を奪われたのだ。金を最も必要としている苦しい人々が金を奪われたのだ。これは純然たる泥棒であって、発覚しない限りは、金は永遠に奪われたままであるはずだった。
 一方、ライブドアでは、投資家の余剰金がライブドアに入っただけだ。しかも、その金は、奪われたわけではなく、単に投資されただけだ。たとえば、今回、検察が手入れをしたからライブドアの株は暴落したが、手入れをしなければ、暴落はなかったのだ。(「適正化」の過程で、1割かそこら下落することはあっただろうが、それだけで済んだはずだ。投資した金が消えてしまったわけではないからだ。この件は、翌日か翌々日あたりで解説する。)


● ニュースと感想  (1月25日)

 「ライブドア問題と嘘つき罪」について。
 ライブドアの堀江社長その他が逮捕された。世間は大騒ぎのようだが、逮捕の理由をよく読もう。こうだ。
 特捜部の調べによると、堀江容疑者らは2004年10月、バリュー社の出版社買収に伴い、株式交換を利用して同社株を売り抜け、利益をライブドアに還流させる目的を隠し、投資家を欺く発表をした疑い(偽計)。
 また、同年11月、バリュー社の同年1〜9月決算で赤字を黒字に粉飾した上でウソの決算発表をした疑い(風説の流布)も持たれている。
( → Yahoo ニュース
 「偽計」と「風説の流布」。つまりは「嘘つき罪」である。これは「泥棒」とは違う。
 ま、嘘つきだって、犯罪は犯罪だろう。だから「逮捕する」というのは、間違いだとは言えない。しかし、「嘘つき罪の逮捕」なんてことで大騒ぎするのは、どこかが狂っている。
 で、この騒ぎのせいで、どうなったか? ライブドアの株は暴落し、あわてふためいて売った株主は大損だ。「あわてふためいた奴が馬鹿だった」ということになりそうだが、だとしても、こういうふうに「あわてふためいて大損した」という被害者が続出したのは、世間が大騒ぎしたからだ。そして、世間を大騒ぎさせたのは、検察とマスコミなのである。

 結論。
 検察とマスコミの方がよっぽど風説の流布をやっている。風説の流布をしているマスコミを逮捕すべし! また、マスコミに情報をリークしている検察を逮捕すべし!
 彼らこそ、最大の「風説を流布」をやっているのだ。日本中に大混乱を引き起こし、数千億円規模の株価暴落の被害を引き起こしている。大損害を受ける投資家は計り知れない。
 マスコミと検察を「風説の流布」で逮捕せよ! その罪は、ホリエモンの千倍か万倍だ。

 [ 付記 ]
 何だって検察はこんなメチャクチャなことをやるのか? その理由は、各国を比較するとわかる。
 どの国も同じ。民度の低さは共通している。馬鹿な国民が架空の風説のせいで洗脳のされっぱなし。本当は政府に利用されているだけなんだが。
 
 [ 補説 ]
 ホリエモンの今後はどうなるか? 「ホリエモンは悪人だ、火あぶりにせよ!」という国民の声のなかで、「ホリエモン、頑張って」という声もあるが、最終的には、スケープゴートのようになった人物の末路は、どうなるか? その予想をしよう。
 
 歴史的に見れば、政府と民衆の誤解で非難の火あぶりの対象になった人物の末路は哀れである。キリストだってジャンヌ・ダルクだって、「とんでもない悪人」と政府に決めつけられたあとで、民衆に非難されて、火あぶりにされた。彼らが正当に評価されたのは、死後何百年もたってからだ。

 同じではないが似た例として、田中角栄の例がある。ロッキード疑獄で逮捕され、生前の名誉はすべて失い、国民に糾弾されたあげく、部下に離反され、派閥を乗っ取られた。(田中派 → 竹下派)。その怒りで頭に血が上ったあげく、脳の血管が高血圧で破れ、脳に障害を起こして、「生きる屍」のようになった。裁判所では、最高の弁護士を取りそろえて法律論を論じたが、結局はどうにもならずに不利なまま。最終的には、裁判を延長させたあげく、失意のうちに死亡した。法のせいで死んだというよりは、脳の障害の後遺症で死んだ。
 ここで、田中角栄は、本当に世にまれに見る悪人であったのか? いや、違う。汚い政治資金を受け取るということなら、他のあらゆる自民党政治家がやっていた。田中角栄はその典型であった、というだけだ。しかるに、検察は、田中角栄だけをことさら目の敵にして、彼だけを火あぶりに上げた。では、なぜ? 
 これについて、興味深い指摘がある。「アメリカの陰謀だ」という説だ。歴代の日本人首相は、アメリカの従順な犬だった。ところが、田中角栄だけは、その伝統に逆らって、アメリカの意に逆らい、勝手に「独立的にふるまう」という方針を取った。これがアメリカの逆鱗に触れた。せっかく「米国の犬」として育ててきたのに、飼い犬の手に噛まれるようなものだ。こんな田中角栄を放置しては、日本が犬であることをやめて、独立国としてふるまう。そのうち「安保条約を日米対等に」なんていうふうに言い出して、(のちのフィリピンのように)「安保があるから基地使用料を徴収します」と言い出すかもしれない。こんな勝手は断固として許せない。将来の首相をすべて米国の犬とするためにも、見せしめとして、田中角栄を絶対につぶす必要がある。そのためには? 米国のCIAを利用して調査したあげく、ロッキードの問題があることを見つけた。同じ問題は世界各国にあったが、ことさら日本だけに限ってロッキードの問題を調査して、その難点を列挙した。こうして米国政府によって証拠が固められたあとで、その証拠は、匿名で(出所不明で)、日本の検察に送られた。日本の検察は、それが誰から送られたのかは不明なまま、豊富な容疑資料を見せつけられたので、検挙せざるを得なくなった。……(以上は、嘘八百ではなくて、根拠がある。石原慎太郎の著作が出典だ。書名は「わが人生の時の会話」だったと思う。本が手元のどこかに埋もれているので、確認していないが。)
 なお、ここで検察が、送られた資料を無視できなかったのは、「同種の資料はコピーがたくさんある。検察が放置すれば、検察の怠慢をマスコミに公表する」と書いてあったからだろう。(これは南堂の推測。)
 ともあれ、こういう手口があると、検察は「ことさら目立つ奴を火あぶりにする」という方針を取る。その基本となるのが、「一罰百戒」という、検察お得意の論理だ。犠牲者の方は、たまったもんじゃないが、ともかく、検察というのは、そういうものだ。自分が何に操られているかも知らずに、形式的な法律論だけで片付けようとする。「自分は巨悪をやっつけているんだ」と自惚れたあげく、「日本を米国の犬にしよう」などといった腹黒い策謀に載せられる。
 で、その策謀に気づかないまま、検察とまともに法律論で争うと、最終的には自己の容疑を晴らせずに、敗北する。
 
 以上のことを踏まえた上で、次のように結論しよう。
 「ホリエモンが生き残るかどうかは、本人しだいである。うまく処置すれば生き残れるが、歴史の流れに乗って、なすがままになっている限りは破滅する」
 で、実際には、どうなるか? 当然、歴史の流れに乗って、なすがままになっているだろう。というわけで、破滅するだろう。……それが私の予想だ。
 もう少し詳しく言おう。今回の事件は、検察は「法律的」に処置しようとする。「法律的」とは、「形式的」ということである。その良し悪しは問題ではない。それで裁く側が何に依拠するかが問題だ。裁く側は、裁判所であるから、当然、「法律的」に裁く。それに対して、ホリエモンの側が弁護士に依拠して、「法律的」に対処すれば、「法律的」に処置されるから、当然、処罰される。というわけで、ホリエモンの負け。破滅する。当然だ。
 では、その本質は? こうだ。
 「経済の問題を、法律で争ったこと」
 つまりは、
 「物事の本質をはずれて、ただの法律論という形式を論じるような、相手の土俵で戦ったこと」
 どんなに強い相撲の横綱だって、相手の土俵で戦えば負ける。相撲の土俵では負け知らずだとしても、戦いの場が(K−1みたいな格闘技ならまだしも)寒いスケート上のフィギュアスケートの競技だったり、陸上ではなく水のなかの戦いだったりすれば、あっさり負ける。また、「体力的な力と力の戦い」の場を離れて、「頭の知恵と知恵の戦い」となるチェスでやっても、あっさり負ける。……相手の土俵で勝てるはずがないのだ。
 今回の問題は、経済の問題である。それを法律的に論じる限りは、ホリエモンに勝ち目はない。ホリエモンはたぶん、「大金を払って最高の弁護士を雇う」という方針を取るだろう。しかし、最高の弁護士を雇うという時点で、戦略を失敗したことになる。
 なぜか? 最高の弁護士というのは、最低の経済学者だからだ。正確に言えば、経済問題を扱う弁護士というのは、物事の本質をうまく見出す学者ではなくて、法律の抜け穴ばかりを探る(そして超高額の弁護料を稼ぐ)悪党だからだ。要するに、経済の場で「違法すれすれ」をやったように、法律の場で「違法すれすれ」のことを扱うのが、「最高の弁護士(商法に詳しい経済弁護士)」である。こんなのを雇った時点で、同様に頭の良い「正義の裁判官」に魂胆を見抜かれて、あっさり負ける。……要するに、ホリエモンがライブドアのカモの金を吸い上げたように、(ライブドアに相当する)高額弁護士がホリエモンの金を吸い上げるだけだ。カモとサギの立場が入れ替わる。
 ホリエモンが勝つには、どうすればいいか? 法律論を離れて、真実を争えばいい。狭い裁判所のなかで戦うのでなく、広い世論全体を味方にすればいい。「今回の問題は、法律の世界の問題ではなく、社会全体における経済の問題である」と訴えて、世論そのものの「常識」を変えればいい。
 しかるに、社会の常識が今現在のような常識である限り、その「常識」に従う裁判官は、「有罪」の判決を下すしかないのだ。経済の問題を「経済的」でなく「法律的」に争う限りは、法律的に「有罪」となるしかないのだ。
 ホリエモンは負けるだろう。支持者がいくら「頑張って」と応援しても、負けるだろう。なぜなら、「相手の土俵で戦う」という愚を犯したからだ。彼が破滅するのは、彼が戦略を間違えたせいだ。つまり、彼が歴史のなかで流れに任せるばかりで、歴史を変えるという正しい進路を選択できなかったからだ。
 どんなに金があろうと、その金を詐欺師(高額の料金を取る弁護士)に与える限りは、金は無意味になる。さんざん金を得たあげく、その金の使い道を間違えて、ホリエモンは破滅する。「自分は利口だ」と自惚れたあげく、「自分は愚かだ」ということに気づかないで、正しい道を選択できずに、間違えた道を選択する。あげく、墓穴を掘る。それゆえ歴史的にも「ホリエモン」という名前で呼ばれる。……それが私の予想だ。
 私の判断では、最も正当な判決は、「罰金刑」または「禁固の執行猶予」である。真実を見る限りは、それが正当だ。
 しかし現実には、真実を見えない裁判所の錯覚のせいで、ホリエモンは、「見せしめのための重罰」に処されるだろう。検察も「見せしめにする必要がある」という趣旨の見解を示しているのだから、この方針で判決も出るだろう。
 また、万一、うまく弁護士がテクニックを発揮して無罪を勝ち取ったとしても、弁護士の目的は「法律的な無罪」であって、「経済的なライブドア救済」ではないのだから、ライブドアそのものは救われずに破滅するだろう。(で、それにともなって、投資家も莫大な損失をこうむる。)

 蛇足。最終的な結果は、どうなるか? ホリエモンは莫大な金を、自分と日本を救うために使うこともなく、無駄に子孫に残すだけだ。一方、民衆は、風評にだまされたあげく、大量の金を失う。その陰で、うまく立ち回った連中ばかりが、ボロ儲けする。ソ連が崩壊したとき、悪徳な連中が国家資産をわがものとした。同様に、ホリエモン騒ぎで投資家が大損する間に、悪徳な連中が彼らの投資資産をわがものにする。かくて、「正義のために」という検察の狙いの結果として、不正がはびこる。

( ※ 「金があれば何でもできる」というホリエモンの発想は、ある意味では正しい。莫大な金があれば、検察に対抗することともできるし、歴史を動かすこともできるし、日本を救うこともできる。しかしその莫大な金を使わずに、いやしい高額弁護士に1億円程度の金を払うぐらいでは、金は眠るだけだ。「金があれば何でもできる」ということは、「金を使わなければ何もできない」ということでもある。生きた金は有意義だが、死に金は無意味なのだ。……というわけで、墓穴のホリエモンといっしょに、金は墓穴へ。)
( ※ ホリエモン語録によれば、「大衆の7割はバカで無能」とのことだ。これは正しいだろう。問題は、「自分もその大衆に含まれる」ということに気づかなかったことだ。その愚かさが彼を破滅させる。)
( ※ そう言う私自身は? 「南堂は利口だ」と思っている読者もいるかもしれないが、とんでもない。一円にもならない話をホームページで公開しているだけで、貧乏のしっぱなし。大金を稼いだホリエモンに比べれば、私なんてずっと馬鹿です。アフィリエイトで小金を稼ぐこともなく、ちっとも金儲けをしないのだから、世界で一番の馬鹿、とも言える。ま、国中の金を吸い上げて自分の金を増やすホリエモンに比べれば、国中の金を救うための自己犠牲で骨折り損のくたびれ儲けする私なんかは、どうしようもない馬鹿だ、とも言える。とはいえ、さらに破滅することはなさそうだ。もともと破滅しているようなものだから。)


● ニュースと感想  (1月25日b)

 「ライブドア問題の本質と表層」について。
 「株式市場はゼロサムゲームのバクチみたいな場である。妄想をいだいたあげく、そこに参入して、だまされるとしても、自業自得の面がある」
 という趣旨を書いた。で、これについて、
 「だからこそ、この妄想状況を放置しないためにホリエモンを処罰せよ」
 という意見がある。それはもっともらしいが、錯覚である。むしろ、
 「たとえライブドア一社を処罰しても、株式バブルの錯覚は何も解決しない」
 というのが、私の考えだ。つまり、
 「一罰百戒のつもりでライブドア一社を処罰しても、浮かれたITバブルは消えない」
 ということだ。それがつまり、「本質を突け」ということだ。
 ( ※ 「本質とは何か?」は、詳しくはあとでまた述べる。)

 [ 付記 ]
 ついでにマスコミ批判をしておこう。
 いっせいにライブドア叩きに走るマスコミには、呆れますね。先週までは「時代の寵児」ともちあげて、「株価は上がりそうだからどんどん株を買おう」なんて提灯を上げていたマスコミが、一転して、「法律の隙間をついたグレーなことをやっているあこぎな連中」とライブドア( or IT企業)を批判して、「バブル相場だ」などと批判する。先週と今週とで、言っていることが正反対だ。
 今やマスコミはライブドア叩きにやっきになっている。「あいつは悪人だ、やっつけろ、徹底的にやっつけろ」というふうに。そろいもそろって大合唱。
 マスコミというのは、要するに、お上のやっていることの宣伝でしかない。小泉が「構造改革」とブチ上げるとこれを支持し、検察が「ライブドアつぶし」をするとこれを支持する。お上のやっていることの追従だけ。
 マスコミってのは、まったく情けない。犬みたいなものです。ま、今年は確かに、イヌ年だが。そのせいですかね?
 Q 国民の声は、どんな声? 
 A 「うげ〜うげ〜! (生活が苦しいよ!)」 
 Q マスコミの声は、どんな声? 
 A 「ワンワン!」


● ニュースと感想  (1月26日)

 「ライブドアの貢献」について。
 マスコミはライブドア叩きに走っているが、私としては、天の邪鬼的な観点から、ライブドアの大きな貢献を二つ、指摘しておこう。

 (1) プロ野球
 一つは、プロ野球への貢献だ。誰でも知っているとおり。
 昨年、プロ野球つぶしとさえ思えるような「1リーグ制」への移行問題が話題になったが、ここではライブドアが非常に大きな貢献をなした。ライブドアが声を上げなかったら、楽天も声を上げなかっただろうし、となると、プロ野球はひどい混迷状態になっていたかもしれない。ライブドアが球団をもつという結果にはならなかったが、プロ野球に対するライブドアの貢献は非常に大きい。唯一無二とすら言える。
 ライブドアはプロ野球を救ったのだ。(破壊しようとしたのは、ナベツネとオリックス。忘れないようにしましょう。)

 (2) 文学
 文学の世界でも、ライブドアの貢献はかなりある。それは、琴音という新人女性作家(東大卒)による「愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ」という書籍の出版だ。私は未読なのだが、読者の評価は極めて高いようだ。
 → Amazon 紹介・読者書評 など。
 さて。この本は、ライブドア関係の出版社(幻冬舎系との合弁)から出版された。なぜか? あやうくお蔵入りになるところだったせいらしい。 事情はよくはわからない感じがしていたようだが、おおまかには、作者のブログ に解説がある。
 要するに、日本ファンタジー大賞という文学賞の優秀作(大賞ではない)に選ばれて、そこそこのお金と引き替えに、いろいろと権利を剥奪されたあげく、新潮社から出版される予定であったらしい。で、あれやこれやと制限があったり、好き勝手にできなかったりで、作者としては嫌気がさしたらしく、受賞を辞退した。かわりに別の出版社から出版しようとした。しかし、そういう経緯が嫌われたので、別の出版社の編集者が「出版したい」といくら望んでも、当の出版社のボスが「イエス」と言わない。次々と出版計画が流れていく。にっちもさっちも行かなくなる。危うく、お蔵入り。
 そこへ出たのが、白馬の騎士のごときホリエモンだ。しがらみに縛られず、成長株に目を付ける、というのがホリエモン。(本音はお金儲けだけ考えているんでしょ、と言ってしまっては、身も蓋もないが。)かくて、この秀作は、出版されて、日の光を浴びることになった……というわけらしい。
【 訂正 】
 上記の「お蔵入り」云々の記述は、正しくありませんでした。作者からご指摘を受けたので、訂正します。
 うまく決まらなかった出版社もあったにせよ、ちゃんとした大手出版社からも出版の見込みがあった、とのことです。「ライブドアがなければ出版されなかった」というようなことは、ありません。この意味で、誤解を招く記述で、著者にご迷惑をおかけしたことを、お詫びします。

 【 再訂正 】
 上記の記述でも、まだ訂正が不十分でした。正しい事情については、作者が最新記事で詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。
  → 作者のブログ・最新記事
( ※ 私が嘘を書いていたと言うよりは、勝手に憶測していただけ。で、それが当たっていなかった、ということ。「南堂が嘘を付いた! 不正だ! 逮捕しろ!」と非難しないでください。もともとは作者が曖昧にしていたから、勝手に憶測しただけです。)

 ホントに秀作かどうかは、私は未読なので判断できないのだが、世の中の多くの人に絶賛されるような作品であるからには、(私にとってはともかく)社会にとって十分に価値のある仕事である。「これはとても良い」と思ってくれる人がたくさんいるような作品は、この世界に存在価値がある。そして、そのようなものを存在させるに至ったことには、作者の力のみならず、ホリエモンの力も関与しているのだ。(たとえばいろいろと宣伝している。金儲けのためもあるけれど、文化的貢献もある。……ただし、最近の騒ぎのせいで、この文化的な宣伝も吹っ飛んでしまったようだ。)

 結語
 金儲けのことばかりやっていそうなライブドアが、プロ野球や文学で社会貢献をしている。社会に有益な報道をやるべき(そのための金を取っている)新聞が、「金儲けのために株式投資をしましょう」という記事を載せて、読者にバクチをやらせて大損させる。(バブル期もそうだったし、今もそうだ。)
 やっていることが正反対じゃないですかね?

 [ 付記1 ]
 本項の「ライブドアの貢献」という話を読むと、読者は「お、ライブドアもけっこういいことやっているじゃないか」と見直すかもしれない。実は、ここに、ライブドア再建のカギがある。
 ライブドアが破壊されつつあるのは、要するに、国民が妄想に凝り固まっているからだ。一億人の妄想に焼かれて、火あぶりにされているわけだ。で、ホリエモンは、なすすべもなく、火だるまになっている。
 とすれば、ライブドアが生き残るためには、何をすればいいかもわかる。「火のなかで生き延びる策を探そう」というのがライブドアの方針だが、本当は「火を消せばいい」のだ。つまりは、「妄想を消す」ことをやればよい。
 で、そのためには、どうすればいいか? このあとは、経営的に技術的な話になるので、ここでは述べない。どうせライブドアの経営者にしか意味のないことだ。ゆえに、ここには書かない。
( ※ 書いてもライブドアが実行するはずがないので、書きません。どうせ経営者がこのサイトを読むはずがないし。また、ライブドアのために経営コンサルタントの奉仕をやるほど、私はお人好しじゃないんで。私はホリエモンの部下でもファンでもない。どちらかと言えば嫌い。嫌いだけど可哀想なので同情しているだけ。)
( ※ ま、私が書かなくても、ホリエモンの頭が良くて、経営能力があるなら、自分の頭でウルトラCの解決策を見出すはずだ。「世間の度肝を抜く策」ならお得意だろうから。)
( ※ ただし、読者のために一応、正解についてのヒントを与えよう。「嘘を付いて人々をだます」という方針を取るのではなく、逆に、「人々の気づかない本当の真実を明かす」というふうにすればいいのだ。私だったら、今回の事件に限っては、「無罪」に持ち込めると思う。「法律違反はあるが、検察の不備により無罪」というふうに。ま、法律論を越えたウルトラCの方法が必要ですが。裏を表にして、表を裏にすれば、有罪は無罪に転じるのだ。)

 なお、注釈しておこう。私が「ライブドアが生き残る道は確実にある」ということを示すのは、ライブドアを救うことそれ自体のためではない。ホリエモンがどうなろうと、私の知ったこっちゃない。ただ、人々の狂気的な妄想のせいで、ライブドアの平凡な社員が路頭に迷うのが、忍びないのだ。投資家が損をしたのは自業自得だが、ライブドアの社員が路頭に迷うのは、10%はホリエモンの欲望のせいで、残りの90%は国民の狂気のせいである。
 私の真の狙いは、日本の狂気を防ぐことだ。いわば、狂った人が誰かを殺人するのを防ぐとしたら、殺される被害者を救いたいということもあるが、それよりは、殺す側の狂気そのものを止めたいのだ。

 [ 付記2 ]
 本項では「ライブドアの貢献」を述べたが、実は、ホリエモンが普段やっていることは、正反対だ。いわゆる「ホリエモン語録」(→ Open ブログ )は、ひどいものである。
 「女は25歳超えたら無価値で有害なだけの産業廃棄物。」
 「大衆の7割はバカで無能。」

 こんなことを公言すれば、世間を敵に回すのは目に見えている。本音でそう思うのは勝手だが、それを公言するところは馬鹿丸出しとしか言いようがない。いくら「目立つため」の宣伝行為だとしても、「反発を食う」のでは逆効果だ。
 で、反発を食ったあげく、逮捕に至ったわけ。「これほど世間に嫌われることをやったのでは、臭い飯を食うのも当然だ」と言うしかないね。陰でどんなに立派なことをやっていても、表で暴言を吐くようでは、すべては無に帰する。宣伝戦略の失敗。頭 悪すぎ。
( ※ その点は、小泉を見習うといい。すごく悪いことをやっていても、嘘八百の口先三寸で善人面をするから、大衆から圧倒的な支持を得る。ヒトラーも同様。ホリエモンは正反対に本音を語るから、民衆の支持を得ず、逮捕されてしまうのだ。)

 [ 付記3 ]
 ライブドアは、世間で思われているほど悪くはないが、世間で思われているよりは間抜けである、とは言える。濡れ衣のようなものを着せられても、ろくに弁明もできず、黙ってなすがままになるだけだ。
 いわば、勘違いした阿呆が、「船が腐っている! だから船の腐っている部分を修正します」と叫んで、腐った部分をほじくって、船の底に穴をあける。あげく、船が沈没しそうだ、……という状況だ。ならば、この船(ライブドア丸)の船長は、ただちに対処しなくてはならない。なのに、何もしないで、黙って指をくわえているだけ。船が沈没しそうなときに、何一つ処置をしない。
 というわけで、ライブドア丸の船長が相当の間抜けであることは事実である。この船が沈没したとしたら、責任の半分は、船長の責任だろう。
 つまり、ライブドアが破綻したとしたら、ライブドアがひどい悪事をなしたからではなくて、ライブドアの経営者が難局における対処を誤ったからだ。阿呆が船の底に穴をあけたのが理由ではなく、船長が穴をふさがなかったのが理由だ。
 とにかく、ライブドアが自らを救いたければ、頭を使うべし。頭は帽子のためにあるんじゃない。


● ニュースと感想  (1月26日b)

 「ライブドア問題の混迷」について。
 マスコミが相変わらず混迷している。「粉飾があった」という報道方針のもとで、しきりに帳簿処理の詳細を報道している。
 ここにあるのは、「ライブドアが国民または投資家の金を盗んだこと」(泥棒行為)ではなく、「経理の処理に不正があったこと」(不正経理)である。しかし、「不正経理」ならば、世間はほとんど無数にある。毎年毎年、どれほど多くの脱税が摘発されていることか。さらには、確定申告の際に、税務署に帳簿のミスを指摘されることが、どれほどたくさんあることか。
 要するに、「不正経理」なんていう帳簿の処理の問題は、本来はどうでもいいことなのだ。そんなありふれた犯罪は、日本中を大混乱に落ち入れるほどのことはない。スピード違反や酔っぱらい運転のようなものかもしれない。(人命を奪わないだけマシかも。)
 
 ただし、ここまでは、何度も述べてきたとおりだ。別に新味はない。問題は、そのあとだ。
 では、なぜ、世間の人々は大騒ぎしたのか? なぜ、他の不正経理と違って、ライブドアの問題では、これほど大騒ぎしたのか? ── 実は、そこに、今回の問題の本質がある。
 この本質は、背後に大きな「錯覚」があるからだ。その「錯覚」について、明日以降、論じていこう。(……予告。)





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「小泉の波立ち」
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