彼がドラムを始めた頃はワンバス、ワンタム、ワンフロアの3点セットだったのですが、後点数が増えてもタム、ライドシンバル、フロアタムの位置関係は保ちたかったとのことでそのまま左側に小さなタム(最初は12"だったがより広い音域を求めて10"に変更)、右側にフロアタムを追加。フロアタムは普通16",18"(又は14,16")と並べるが彼の場合は15",16"と配置した(初めは18"をセットしていたのですが)。18"のフロアタムを使わない理由は「PAシステムを通すとよくない気がするんだ。ちょっと音が低すぎる」とのこと(ちなみにBUMPAHEADツアー以降は14",15",16"の3フロア、JAPANDEMONIUMツアー以降は13"のワンタムです)。
タムが水平なのは単に「前から見たときの見栄えが(傾けた場合)よくない」からだそうです。青いセットを使用していたJAPANDEMONIUMツアーまではタムが深銅(12")だったため、バスドラムが大口径ということも手伝ってかなりタムが高くセットしているように感じます。またタムが水平にセットしてあると見た目だけでなく音がデカくなる、というメリットもあります。
最後にバスドラムですがライブビデオ「サンフランシスコLIVE」、「LIVE AND KICK'N」,ビリーの教則ビデオ「Bass Secrets」、オムニバスインストラクションビデオ「HOT DRUMMER VIDEO MAGAZINE VOL.1」等で確認できるように彼はツインバスドラマーでしたが、BUMPAHEADツアー以降はツインペダルを使用することによりワンバスになっています。もともとシングルバスプレイヤーで途中からツインバスを始めた彼でしたが、使用頻度や演奏のしやすさ等を考慮してシングルに戻したんではないかと思います(こっちの方が私個人的には好きです)。またその口径も26",24"とサイズダウンしてきて、教則ビデオ「BIG DRUMS」では22"を使用していましたが、先日のLAギグでは24"を使用していた様に見えました。
シンプルなセットで様々なアイデアを出して作り出されるフレーズは文句なしにかっこいいです!スネア→タム→フロア→キックなどといった手と足を組み合わせたフィルインはところどころに転がっています。
「Take Cover」、「Spit It Out」などの手足を絡めたリズムパターンはギターでいうリフのように曲の「顔」にまでなっています。
ジョン・ボーナムを崇拝しているだけあってシングルペダルでもかなり強力です!
ジェフ・ポカーロなど椅子の低いドラマーによく見られるスライド・ステップ奏法によるダブルアクションを得意とし、ほとんどの連打がこの奏法によるものだと思われます。スライドステップとはフットボード上で足を前に滑らせることにより2つ(またはそれ以上)打つというもので、彼は滑りがよくなるように演奏前にベビー・パウダーをペダルの周りにまくそうです。
また「Jane Doe」ではつま先とかかとを使うヒール・アンド・トゥー(別名ダウン・アップ奏法)によって3連打をしています(「BIG DRUMS」ではこの奏法を使ってツインバスのような凄い連打を見せてくれます)。
彼のフットワークの秘密はあのバディー・リッチやデニスチェンバースの練習方法に通じるものがあり、フットペダルのスプリングを外してバスドラムのヘッドのリバウンドだけを利用して連打を行うというものです。ちなみにスプリング装着時のセッティングはものすごくキツいらしいです。
デヴィッド・リー・ロスバンドのオーディションに落選したことをきっかけにダブルバスの練習を始める。
バスドラムで連打をする場合、普通拍のオモテを左足、ウラを右足で踏むという人が多いのですが(もちろん逆の人もいるのですが)、彼の場合「自分は右利きだから」という理由で全て右足から踏んでいます。
なぜか3連打の場合は「R・R・L」と踏んでいます。「R・L・R」のオルタネイトの方がパワーもスピードも出るのになぜあえてそう踏むのか?と疑問に思ってPatに直接質問してみたところ、「僕は右利きで右足の方が強いのでその方が踏みやすいから。でもいつもそうしている訳じゃないよ」とおっしゃっておられました。
ツインペダルの応用技として左のフットペダルとハイハットペダルを同時に踏むという「トゥー・アンド・ヒール」という技もあり、「Shy Boy」、「Colorado Bulldog」、ドラムソロ等で聞くことができます。
Patが得意とする足技としてもう1つ。ハイハットペダルを左足のかかと(ヒール)で蹴飛ばしてオープン、そしてつま先(トゥー)で踏み込んでクローズするというヒール&トゥー(別名フットクラッシュ、またはフットスプラッシュ奏法)というものがあります。これは左足単体でやるとそう難しくないのですが、手や右足とのコンビネーションでやるとものすごく難しくなります!おまけに足がつりそうになるほどキツイです。
元々はバディー・リッチのビデオを見ていてその奏法を発見し、2ndアルバムの「Lean Into It」の「Voodoo Kiss」レコーディング時、スネアはシャッフル・ビートで、右足のバスドラムはベースに合わせ、かつ同時にハイハットのオープンクローズしてる音が欲しいと思い、練習に練習を重ねて何とか本番までに間に合わせたという話です。
最も美しいコーディネーションと思われる曲の1つに、「Take Cover」があります。
この曲のリズムパターンは、BFFB SFBF FBBF SFFB
(B=バスドラム、右足 F=フロアタム、右手 S=スネア、左手)となっています(これだけでもかなりスゴイです)が、これに8分音符ごと(上記の音符2つ分)に左足でオープン(ヒール)、クローズ(トゥー)を繰り返しています。実際やってみるとわかると思いますが、メチャメチャややこしいです。
頑張って練習すれば出来ないこともないのですが、Patが本当に凄いのはこのテクニックが出来るからだけではなくて、このリズムパターンを「創った」ということではないでしょうか(元々この曲のドラムパターンはPaulが作ったという話ですが、彼のアイデアを形にしたのがPatです)。彼のアイディアはとんでもないです。他にこの「ハイハットのヒール&トゥー」が聴ける曲としては、「Spit It Out (ODD MAN OUT)」、「Colorado Bulldog」、「Mr.Gone」(この曲ではクローズ→オープンの順)、「Alive & Kickin'」、「I Love You Japan」などがあります。
パットはLP(ラテンパーカッション)というメーカーのリッジライダーカウベルという普通の3倍ぐらいの値段がするものを使用しています。高価なだけあってこれが大変音がよく、他にマット・ソーラム、トミー・リー、ブライアン・ティッシーなどの人たちが好んで使用しています。
このカウベルの音が聴ける曲として、「TEMPERAMENTAL」という曲がありますが、このリズムパターンがとんでもなく難しいです!カウベルとハイハットとリムの音が聞こえるなあ・・・と思っていたらこの次にスネアとバスドラが入ってきます。とても1人で演奏しているとは思えないです。自分はWOWOWでこの曲を聴いてすっかりパットの虜になってしまいました。よくありがちな単純に4分音符で叩かないところもGOOD!そして「Mr.Gone」。コーラスワークも綺麗で個人的にもの凄く好きな曲です。この曲は難しくないようで実はもの凄く難しいです!まずスネアは16分音符で2、4拍目にアクセントをつけています(これだけだったら簡単)が、この音に重なって各拍に(4分音符で)カウベルが入ってます。つまり、2、4拍目はカウベルとスネアのアクセント音が同時に鳴っているということになります。当然16分のグレース・ノート(ごく小さい音でカサコソ鳴っている音のこと)はそのままなので左手は16分音符の3連打というキツイ状態になります。
手順をまとめてみると、> >
C C C C
SSSSSSS SSSSSSS
(R R R R R R R R )
( L LLL L L LLL L)ということになりますが、これは「シングル・フラムド・ミル」というルーディメンツの手順を応用したものだということが分かります。
手だけでもこんな難しいことをやっているのですが、これに更に右足(ドドッ、ドドッとダブルアクションを使ったもの)・左足(前項でも挙げたフットクラッシュ)が加わります。
そしてまた更に!パットはこの手足4本別々に動かしているパターンをやりながらコーラスをとっているんですよね。同じように「Colorado Bulldog」、「Alive & Kickin'」などでもカウベルとフットクラッシュの複合プレイが見られます。
また、他に「30 Days In The Hole」、「What's It Gonna Be」でもカウベルの音が聴けます。
メインハイハットのすぐ左側(Pat側から見て)にセットされたタンバリンをPatならではのアイデアあふれた演奏法により、楽曲によりカラフルなエッセンスを加えています。
「Green Tinted Sixties Mind」はレコードでは「シャカシャカシャカシャカ・・・」とオーバーダビングによって16分のタンバリンが録音されていますが、これをライブで再現するためにシンバルの8分刻みとバックビートのスネアは右手、16分の裏のタンバリンを左手で叩いています。タンバリンは16分の裏でしか叩いていないのに、不思議と16分で鳴っているように聞こえるんですよね、これが。これと同じようなことを「To Be With You」のサビ部分でハイハットとタンバリンにてやっていますが、「Green Tinted Sixties Mind」と違うのはバックビートを右手でなく左手でタンバリンを叩いているところにあります。必然的に左手が3連打になりますが、つまりこれは上にも書いた「シングル・フラムド・ミル」の手順ということになります。
「Just Take My Heart」のサビ部分ではバックビートのスネアと同時にタンバリンを叩いています。このサビ部分のリズムパターンは2小節単位で、2小節目の4拍目のスネアと同時にタンバリンを叩いています。余談ですがこの2小節のリズムパターンのうち、3拍目の裏に左手でハイハットをクローズの状態で叩いています。このクローズのハイハットは非常に個性的で謎が多いのですが、タンバリンと組み合わせることによりとてもクールなリズムパターンになっています。
また「おばちゃ〜ん、並んでぇ〜」で有名な(わかる?)名曲「Promise Her The Moon」でもタンバリンが大活躍!
ヴァース部分で1発叩いてますが、このたった「1発」が非常に意味のある入れ方になっているんですよね。これが1コーラス目と2コーラス目で入れ方が違う所もおもしろいです。
コーラス部分では先ほど述べた「Just Take My Heart」のサビ部分のようなタンバリンと左手のクローズハイハットを用いたパターンが登場しますが、違うのはタンバリンが1小節目の4拍目に、つまり「Just Take My Heart」の2小節パターンの1小節目と2小節目を入れ替えたパターンになっています。タンバリンといえば叩いて音を出すタンバリンだけでなく、ジョン・ボーナムのようにハイハットスタンドに取り付けて足で踏んで音を出すタンバリンを'96年のHEY MANツアーの「Jane Doe」で使用しています。
この他、「Alive & Kickin'」や「If That's What IT Takes」などでもタンバリンの演奏が聴けます。
新生MR.BIGの活動開始と共に、Patのドラムキットに新しくペダルが1つ追加されました。ハイハットペダルの更に左側に置かれたフットペダルにより、左足でカウベルを演奏するものです。
2000年新春ツアーでドラムソロの時に両手がタムやスネアを叩いていてふさがっているのにカウベルの音が聞こえ不思議に思った方も多いのではないでしょうか?実はこの時、左足でカウベルを叩いていたのです。単純に4分音符で叩いていたのではなく、つま先で拍の表でハイハットペダル、かかとで拍の裏でカウベルとさりげなく「ヒール&トゥー」のテクニックを使っているところがニクかったりします。
「Addicted To That Rush」の静かになるところではつま先でハイハットペダルを踏んでクローズ状態を保ったまま、かかとでカウベルを演奏しています。この場合は16分を使ったパターンです。
また「Alive & Kick'n」のサビ直前のカウベルを使った箇所では、1コーラス目では右手にてメインのカウベルを、2コーラス目では左足でと手足にて2つのカウベルを使い分けていました。
先日別項にて「今回の日本ツアーから使いはじめた」と書きましたが、最近よく見ると昨年ロサンゼルスで行われたシークレットギグでも使用している事が判明しました(Addicted To That Rushにて)。
まだまだ発展途上のテクニックだと思われるので今のところ使用頻度は少ないですが、これから彼のアイディアがどう発揮されていくのか注目していきたいですね。
ハイハットとは2つのシンバルを重ね合わせて足で開閉し様々な音を出す楽器ですが、Patの場合メインのハイハットはもちろんのこと、ドラムキットの右側にもハイハットをセットしており、2組のハイハットがあることになります。但しメインのものが足で開閉出来るようになっているのに対して、こちらはクローズ状態のままスティックで叩くだけの使い方になります(メインの方はスティックで叩く事の他、足を使って音を出す事もあります)。このクローズドハットは元々締め具合(開き具合)を演奏者の好みに応じて調整出来るのですが、Patの場合かなりきつく締めているようです(彼の友人マットソーラムはかなり開き気味にしています)。
ハイハットの口径はメインが14インチなのに対し、クローズドの方は昔('93年か'94年頃まで)は同じ14インチでしたが、「HEY MAN」ツアー以降は13インチを使用しているようです。尚、詳しいハイハットの種類(品番)までは不明です(メーカーがジルジャンということぐらいしか分かりません)。
ただし、'89年のライブではKジルの13インチを使っていたようです。それでは,彼がそれをどの様に使用しているか見ていきましょう。
「Colorado Bulldog」の2コーラス目が終わった後のパートで、ブギーパターンのツーバスを踏みながらクローズドハットでビートを刻んでいます。パットはツーバスを使う時右足で拍の表,左足で裏を踏むのですが、この部分の後半からは左足で左側のフットペダルとメインハイハットのペダルを同時に踏むことによって3連符の1つ目(つまり拍の表)ではクローズドを叩いた音、3連符の3つ目(拍の裏)ではメインハットを踏んだ音により、ツーバスと同様に左右のハイハットでもシャッフルパターンを演奏していることになります(この時右足は3連符の2つ目でも踏んでます)。
またAメロ部分では2・4拍目でメインハイハットを踏むと同時にクローズドハットも叩いてグルーヴを増してます。「How Does It Feel」のイントロ部分ではクローズドハットを8分で刻み、1小節に1回だけメインハットを16分の裏で踏むといった独特なリズムパターンを披露しています。
その他「30 Days In The Hole」の冒頭部分や、演奏スタート時のカウントとして「Colorado Bulldog」、「Daddy,Brother,Lover,Little Boy」など様々な曲で使用されていますので、ライブの時チェックしてみて下さい。
|
|