「暉」談義
なお、「暉」はワープロで出てこないとの苦情をよく聞く。れっきとしたJIS第二水準漢字である。「てる」や「ひかり」でも出てこない出来の悪いソフトの場合には、下記コード番号を入力していただければOKである。お手数をおかけして誠に申し訳ない。
| 体系 | JIS | シフトJIS | 区点 | Unicode |
|---|---|---|---|---|
| 番号 | 5A76 | 9DF4 | 5886 | 6689 |
| ХУНИЙ ГАРААР МОГОЙ БАРИХ |
意味は「人の手で蛇を捕らえる(他人の手でもって蛇をつかまえる)」とのこと。何だかわが国の諺「他人の褌で相撲を取る」によく似ている。本来、フンは人という意味なのだから、もっと立派な内容の諺だってたくさんあるだろうに、敢えてこんな諺を賀状に書いてくるなんて、どうも困った先輩である。
<後日談>
1998年7月、坂巻さんに案内していただいてモンゴルへ行ってきた。モンゴル航空MIATの機内誌"Blue Sky"に、日本はЯПОН(ヨポン)で日本人はЯПОН ХУН(ヨポン フン)との解説記事が載っていた。ただし、ゴビ砂漠ではサソリには出会ったが、蛇には遭わなかった。
読者からフン(Hun)族についても触れろとの声があったので、ちょっと調べてみた。北アジアの勇猛果敢な遊牧騎馬民族のことである。その名はプトレマイオスの書にも見えるが、4世紀中頃から西進を開始し、東ゴート王国・西ゴート王国を滅ぼした。これがゲルマン民族の大移動を引き起こすきっかけを作ったとして名高い。一時東西両ローマ帝国も脅かし、カスピ海よりライン川にまたがる一大王国を築いた。アッチラAttila王(在位433〜453)治世のときである(写真)。私の名前アキラとちょっと似ている。もっともアッチラは新婚の妃に殺されたというから、あやからなくてよかった。アッチラは今のハンガリーの地に居城を構えた。ハンガリー(Hungary)という国名はもちろんフンに由来する。フン族はモンゴルに繁栄した匈奴の子孫であろうと言われている。
教養学部時代、浜田隆士先生の地学巡検で、女の子の振り分け髪のような模様(分岐状彫刻)のついた貝化石を採集した。アキラという名前だと教えられ、大変うれしかったことを覚えている。化石の名前など覚える気はなかったが、自分の名前と同じなのでこれだけはすぐ覚えた。学名Acila、和名はキララ貝である。もっともそのとき採ったもう一つのコルビキュラCorbiculaという貝化石も大事に持ち帰ったが、図鑑で調べてみたらシジミのことだったのでがっかりした。
うるさい読者がいる。キララ貝のようなものを載せるくらいなら、どうしても糞化石についても触れるべきだという。仕方がない。簡単に解説しよう。
つくばの地質標本館に行ったら恐竜の糞化石が展示してあった。人頭大である。さすがにでかい。アメリカのユタ州で発見されたジュラ紀後期の大型草食恐竜の糞とのこと。種名まではわからないらしい。
兵庫県の玄武洞ミュージアムに行ったところ、糞化石がたくさん陳列されていた。そのうち恐竜の糞化石は分割して断面が磨いてあった。館長さんのご説明によると、肉食恐竜の糞は赤くて(写真手前)、草食の場合には緑色(写真奥)とのこと。何となく納得した。
どうも糞の話ばかりで気に入らないが、マリンスノーについても書けという人がいた。海面に漂うプランクトンは死ぬと海中を沈下していく。しかし、炭酸塩補償深度以下になると炭酸カルシウムが溶解してしまう。本来なら深海底に有孔虫などの化石が残らないはずである。その秘密はマリンスノーにある。プランクトンをミジンコなどが食べると、当然糞をする。その糞粒がマリンスノーである。マリンスノーは大きくて重いし、有機物の膜に保護されているから、超特急で海底に運搬されるのである。海洋表層の二酸化炭素を深海へ押し込める重要な働きで、生物ポンプと呼ばれている。なお、マリンスノー(marine snow)と糞粒(fecal pellet)とは厳密に言うと違うらしいが、ここでは同義としておいた。
糞石があれば噴砂もある。地震時に砂地盤のところで液状化が起きるとできる。写真は鹿児島県北西部地震(1997)の時に阿久根市内で撮影したもの。ちょうど火山のミニチュアのような形をしている。液状化は新潟地震(1964)で一躍有名になった。
もう一つ大事なものを忘れていた。火山の噴石である。写真は2011年2月14日、宮崎県小林市に降った新燃岳の噴石である。新燃岳火口を充たしていた溶岩の蓋を吹き飛ばしたのだ。ほとんど本質岩片からなっていた。ここは径数mmだったが、もう少し大きいのが降ってきて車のガラスが割れたところもある。なお、噴石の定義はかなり混乱しており、あまり使わないほうが良いとの説もある。
山陰は松江に國暉(コッキと仮名がふってある)という銘酒がある。その効能書がなかなか地質学的である。以下、その「仕込水」の項を引用しよう。
土佐の高知のはりまや橋に得月楼という料亭がある。宮尾登美子の小説『陽暉楼』の舞台になったところだ。看板にもかっこ書きで(陽暉楼)と書いてある。何しろ高級料亭だから入ったことはない。
西之表市を一望できる景勝の地に夕暉が丘がある。ここに戦艦大和を偲ぶ記念碑「戦艦大和夕暉が丘平和の塔」が建っている。ここの西方280kmのところで大和は撃沈したのだという。種子島は火縄銃とロケットで有名だが、両方とも戦争と深く関わって発展してきた。科学技術が世界平和に貢献することを願うと碑文にはあった。
漢字の国中国では暉は立派に通用している。かの有名な「万里の長城」の八達嶺にあるロープウェイのゴンドラにはGOLDEN GLORY(金暉公司)と書いてある。索道メーカーの名前らしい。暉の英訳にはGloryを使っていた。これからは私もGlory Iwamatsuと名乗ろうか。何となく強そうなプロレスラーを連想するではないか。
なお、北京の北西にある夏宮殿「頤和園」にも「徳暉殿」という建物があった。徳が輝いているという意味だろう。

北京の紫禁城に延暉閣という門があったと写真を送ってくださった方があった。某大学工学部の社会人大学院生である。地質屋なら私のニックネームを知っているかも知れないが、工学系にまで伝わっているとは…。昔北京で国際会議があったとき、故宮にも行ったが、観光客があまりにも多いのであきらめて帰ったことがあった。
2004年9月すみだ郷土文化資料館で百花園特別展があった。その中に「幻の清暉園」という展示があるではないか。中村仏庵という文人が百花園に匹敵する名園を建設したという。落成式直前に失火により消失、幻になった由。『清暉園図記』なる書物だけが残された。中国の徳暉殿は現存しているのに残念。しかし、徳暉といい清暉といい、暉はなかなか良い言葉に使われている。
イワヒバ(岩檜葉・巻柏)はシダ植物の一種で俗に「岩松」という。江戸時代から愛好されていた古典園芸植物である。日本巻柏連合会という団体まである。2005年4月、高尾森林センターのグリーンフェスティバルで、何と「四海明暉」という品種を売っていた。「世界中を明るく照らす」という意味だろう。早速購入。姓・名共に揃っているから表札代わりに玄関におくことにした。
JR大森駅近くにE.S.モース(1838-1925)が発見したというので名高い大森貝塚がある。その記念碑の台座に発起人の名前が列挙してある。その中に「矢吹活褌」という人がいた。本名なのか、雅号なのか、はた考古学者なのか、一切不明である。しかしまあ、変わった人もいたものだ。
褌姿で逆さ磔にされている人物は鳥居強右衛門(とりいすねえもん)である。長篠の戦いで、武田勝頼軍を欺いて徳川家康に援軍を求めたため、武田軍に処刑された。これに感激した落合左平次が自分の旗指物の図案にしたのだという。原図は東大史料編纂所所蔵[無断引用すみませんm(_ _)m]。ところが、東大はこれをスクリーンセーバーにして売り出した(\300)。いくら法人化されて商売自由になったとはいえ、こんなものを売り出すとは、わが母校も困ったものだ。
2005年夏、小泉内閣はノーネクタイ姿をクールビズと称して推奨した。それに呼応したのか、三越が褌を「クラシックパンツ」と銘打って売り出したところバカ売れしたとか。普通の男性下着を大きく上回る売り上げだったとのこと(R25 No.54, p.14 写真も同誌から引用[無断引用すみませんm(_ _)m])。
言わずと知れたイースター島のモアイ像である。下半身に注目願いたい。褌の締め方が東南アジア風だという。これが決め手となって、これら巨石文明を築いた人たちは東南アジアからはるばるとやってきたことが証明された由、褌は学問の進歩に貢献しているのである。
必読文献をご紹介する。川村たかし著(1975):『ふんどし校長』偕成社文庫 No.2006, 194pp.である。カバーには「水泳も平均台もできない達也が転校した学校には、型破りの校長がいました。その先生の奇抜な教育で、もやしっ子の達也も成長していきます。」とある。内容はここでは触れない。是非読んでいただきたい。
ついにテレビに登場。フジテレビの人気番組「力の限りゴーゴゴー!!」というのがそれ(1999年10月13日放映開始)。青春ドキュメントバラエティである。その中に、原田泰造扮する「ふんどし先生」が日本全国の中学生の悩み相談にのり、解決していく企画がある。このコーナーが大変な人気だそうで、お台場のフジテレビ本社では「ふんどし先生チョコレート」や「ふんどし先生ストラップ」「ふんどし先生一筆箋」「ふんどし先生手ぬぐい」などなど、いろいろなグッズまで売っている。そのうちオンラインショップもできる由。インターネットでは「力の限りゴーゴゴー!!手帳2001」(PIM)がダウンロードできる。写真はクリアホルダー。
毎月2日は「ふんどしの日」なのだそうだ。その理由はわからない。詳しいことは「ふんどしは、お好きですか」のページをご参照いただきたい。インターネットに無いものはないと言われるが、世の中には誠に風変わりなWWWもあったものである。