名阪カラーワーク研究会の
ミニ色彩講座(8)
ナトリウムランプの演色性について


 色彩検定を受ける方々から、ナトリウムランプではどのような色に見えますか、という質問が相次ぎました。その都度、高速道路のトンネル内で見て体験してください、とお返事していましたが、考えてみれば危険なことをお勧めしたな、と反省しています。どなたかに運転してもらって下さいとは、必ず書き添えてはいましたが…。
それで、このページで見ていただくことにしました。
  ナトリウムランプの演色性については、すでに、各色で染めた布をナトリウムランプで照射した場合について、ミニ色彩講座3「条件等色のミステリー」で紹介しています。
しかし、まだ充分納得がいかないようで、自然光で緑色に見えるものについてはどうなのか、なぜそのような見え方になるのか、などの質問もありました。
そこで、全色相を提示するために、PCCSの色相環を日本色研事業のカラーカード(199b)を使って作製し、それに、自然光、標準光源、白熱灯、ナトリウムランプの4光源で照明して撮影したものをこのページに載せました。
まずは、見ていただきましょう。
 
          ↑    自然光             ↑   標準光源D65
      ↑    白熱灯(タングステンランプ)          ↑    ナトリウムランプ

  まず、左上の自然光照明では、標準的な発色が見られます。

  右上は自然光に近い人工光線でD65標準光源(色温度6500K)による発色です。ほとんど自然光と変わりません。この光源は蛍光ランプですが通常の蛍光ランプとは異なり、色検査用に設計されているものです。
なお、ふだん使われている蛍光灯は、昼光色でも標準光源とは異なり、色温度は4500K程度で、メーカーによって演色性がさまざまですから、あえてここでは載せませんでした。(色温度については、ミニ色彩講座の別ページで解説しています)

左下は、家庭用の白熱ランプです。ホテルのロビーなどで使われ、ソフトで暖かい雰囲気を演色するので家庭のダイニングルームにも使われます。 タングステンのフィラメントに電流を通すと電気抵抗で白熱光を出しますが、色温度が3000K程度と低いので赤みの発光となります。 波長の短い光の量が少ないために青色の発色が妨げられているのがわかります。カメラによる感光はそのことを正直に表しています。
しかし、私達の目はよくできていて、そのような感光アンバランスを神経作用で調節する「色順応」という機能がはたらき、波長の短い光の視感感度を上げますから、これほどひどいアンバランスの状態を感じることはないはずです。

右下がナトリウムランプで照明された場合です。 黄色以外の色は全く彩りがありませんね。

何故でしょうか。
ナトリウムランプはアルゴンガスト共に金属ナトリウムが封じ込められていますが、放電とともに気化し、ナトリウム原子となってD線(589nm)を放出します。 この光は可視光線の黄色光に相当しますが、黄色に見える光のうち、589nmの波長しか含まないということに特徴があるのです。

何も見えない真っ暗な状態は可視光がないためですが、ナトリウムランプで照らした場合でも、589nm以外の光は闇夜と同じように存在していないことになるのです。
自然光で黄色に見えていた物体は、ナトリウムランプで照らすと黄色く見えますが、黄色以外の色に見えている物体は、その色を演出してくれる波長の光が全く無いために、グレイ、ないしは黒に見えます。
白い紙は黄色っぽく見えます。つまり自然光で白く見えていた物体は、すべての波長の光を反射して白く見えていたのですが、589nmの光しかもらえないのでそれだけを反射して黄色く見えているのです。

では、電気屋さんで黄色の電球を買ってきて照明しても同じことになるか?
なりません。
それはなぜかというと、ナトリウムランプのような単色光ではないからで、およそ500〜600nmの連続した波長の光を含んでいます。
全体が黄色っぽく見え、青色であった物体が青色に見えないということはありますが、赤色はオレンジ色くらいに見えますし、ナトリウムランプほどひどくはありません。

このナトリウムランプは、霧や煙に対する透過性がよいのでトンネル内の照明に使われますが、あまりにも演色性が悪いので、カリウムを混ぜて赤みに発色させるランプも使われています。

アルコールが手元にありましたら、食塩にアルコールを滲みこませて暗室で燃やしますと、食塩中のナトリウムイオンによる炎色反応で、ナトリウムランプとほぼ同じ演色性を実験することができます。
 

 
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