名阪カラーワーク研究会の
ミニ色彩講座(4)
初学者のための    CIE表色系の解説

ミニ色彩講座(4)の内容

XYZ表色系とRGB表色系
UCS表色系
LAB表色系
なお、この解説で使用する色度図は、すべて、旧ミノルタ社編 「色を読む話」 から承諾を得て転載しました。
CIE表色系を理解しよう
 産業界で色彩を管理する人は勿論のこと、その周辺領域で活躍しようとする人は、CIE表色系を是非理解しておかなければなりません。
商工会議所のカラーコーディネーター検定では、3級レベルから、すでにこの知識が問われているのはそのためです。(文部省認定色彩検定では1級レベル)

検定に無関心な人でも、コンピュータグラフィックス(CG)で出版原稿をつくる人や、フォトショップなどのソフトを使いこなすために、この知識がやはり必要になります。

CIEの表色系とは
 CIEは国際照明委員会のことで、フランスに本部があり、Commission Internationale d'Eclairage の略で、日本からは日本色彩学会が委員を派遣しています。
国際的な規格づくりのために、いくつかの表色系を提案しており、RGB系、XYZ系(Yxy系)、UVW系(Luv系)、それにLAB系があって、RGB系以外はいずれも日本工業規格(JIS)にとりいれられています。
それぞれに特徴がありますので、わかりやすく説明しましょう。

XYZ系とRGB系
 CIEが最初に取り組んだのはRGB系でした。
すべての色は,光の三原色であるR(Red)とG(Green)とB(Blue)の加法混色で表色できるという発想のもとに生まれたのです。
もう、おわかりでしょう。混色系の代表的な色彩体系をつくろうとしたのです。
 

三原色には実在するスペクトルの中から特定波長の三つの単色光をえらび、それぞれをRGBの代表選手としました。
ところが実験してみると、意外なことに、予想が外れてしまいました。
なんと、三原色の光の混合では等色できないスペクトルの色があったのです。


具体的に言いますと、550nmより波長の短い緑色や青色のスペクトルの色は、GとBの混合で等色ができるはずですが、実際にはどんなに混合割合を変えてみても、等色することが不可能でした。

その一方で、スペクトルにない光の色を、RGBの混合でつくることができます。
たとえば、赤紫色は虹の色(スペクトルの色)に無い色ですが、RとBを混合すれば、つくることができます。

このような経過から、光学原理で考えられる三原色と、感覚で捉えられる三原色との間にはズレがあるということがわかりました。
そこで、私たちの受光感覚に適合する三原色を使って、スペクトルの色を等色しようという作業がおこなわれたのです。
新しい三原色は、RGBを相互に足し合わせ、もとのRGBを修正することにより、作り合わされました。
当然ですが、そうして作り合わされた色は、スペクトルに実在する色ではありません。
したがって、RGBの代わりに、XYZという三記号を使うこととし、三刺激値と呼ぶことにしました。
このような三刺激値の加法混合で、スペクトルの色もスペクトル光の混合色も、物体の色もすべて表色することに成功しました。
XYZのうち、Yについては明るさの刺激に対応するようになっています。したがって、Yを明度の代表値として使うことができます。
Xは主として赤色を代表する色刺激ですが、青色の波長領域の色刺激もかなり含んでいます。Yは明るさと同時に緑色を代表する刺激、Zは青領域を代表する色刺激となっています。
RGBによる刺激も、XYZで無論表すことができます。
したがって、XYZは、RGBが変身しているのだと思って下さって結構です。
どのように変身したのでしょうか。
RGB系とXYZ系との間の換算式を参考までに見ましょう(覚える必要は、さらさらありません)。
    X=2.7689R+1.7517G+1.1302B
         Y=R+4.5907G+0.0601B
         Z=0.0565G+5.5943B
このようにRGBとXYZは計算でつながっていて、親子か、仲間同士の関係であるということが一目でわかると思います。


XYZ系に生まれ変わったからといって、RGB系が御用済みになったわけではありません。実在する色光を使って操作することができますので、その概念は今でも生きており、照明の色やカラーテレビ、こうして今あなたが使っているパソコンの画面の色などの混合割合を計算したり、表示したりするのに、RGB混色の概念や記号が都合よく応用されています。


Yxy系
 XYZ系と全く同じです。
表し方が違うだけですが、こちらの方が実用向きです。
その理由を説明しましょう。
 

XYZをグラフで示そうとすると、XとYとZの三つの軸が必要となり、直角方向の二軸だけでは表せないことになります。これは不便です。
なんとか強引に二軸で表したい、ということで次のことが考え出されました。
x=X/(X+Y+Z)   y=Y/(X+Y+Z)    z=Z/(X+Y+Z)     とおきます。
ここで新しくお目見えしている xと yと zは、小文字であることに注目して下さい。
式からおわかりのように、これらの小文字は、三刺激値のそれぞれが、合計値に占めている割合を表しているのです。


さて、どれでもよろしいがこのうちの二つの割合、たとえばxとyが決まってしまうと、残りのzも自動的に決まります。
兄弟三人がお菓子を分けるとき、兄の二人が先に取ってしまったら、末の弟の取り分は残りの量で決まるからです。
xとyを二軸にとってもよく、yとz、xとzのどれでもよいわけです。どれか二つを決めれば残りがきまるのですから。
おっと、待って下さい。落とし穴があります。
割合を表す数値ですから、xとyとzがきまっても、同じ割合になるXYZの組み合わせは沢山あります。たとえばX:10 Y:20 Z:30 と、X:1 Y;2 Z;3 とでは、どちらもx、y、zが同じです。
そこで、XYZのうちのどれかひとつを明示して色を特定することにしました。
前にも書きましたように、Yは明るさの刺激値を表すので、これを明度の代表値にすると都合がよく、これを選ぶことにします。
そしてCIEではグラフの軸に、 xとyを選びました。
横軸にx、縦軸にyとおくのが数学的な常道だからでしょう。 こうして平面的な色度図をつくる準備ができました。
 
 

       図1 XYZ色度図

そして、xとyで決まる点(色度点)をおくと、その色の位置が決まることになります。
図1を見て下さい。まず、光のスペクトルの色度点を連続して置いていきますと、左下から上方に、そして右に下降する大きな弧状の軌跡が描けました。
そこで、この軌跡をスペクトル軌跡と名付けます。
また、この軌跡の両端の色を混ぜ合わせてできる鮮やかな青紫〜赤紫色の色度点は、両端を結んだ直線の上にすべて乗ることが実証されました。そこでこの直線のことを純紫軌跡といいます。
スペクトル軌跡と純紫軌跡で囲まれた図形内に、すべての色の色度点が入ります。光の色も、物体の色もです。
マンセル値やオストワルト値では、物体色しか表せませんでしたね。
このようにしてでき上がった図形が、XYZ色度図です。
 

さて、400〜700nmにわたるスペクトルの位置が曲線状に決まりましたので、任意の色の色度点が、スペクトル軌跡のどのあたりに近いか、ということを見ればその色を代表する波長(主波長)がわかります。
つまり色相が判ることになるのです。
図1は縮小図のために見にくいですが、実はスペクトル軌跡に沿って波長が書きこまれているのです。


無彩色の理論値は、x、y、zが1/3づつの(足したら1になる)値ですが、白色の標準光源はそれぞれに色が少し着いているので、それらの色度点(白色点)は理論値から若干ずれていますが、いずれにせよ、色度図の重心に近い場所にあります。
図1のCに、標準光源Cの白色点をおきましたが、白色点の近くにある色は、無彩色に近いわけですから色みが少なく、彩度が低い色ということになります。
色度図外周のスペクトル軌跡や純紫軌跡に近い場所に色度点がある色ほど、彩度が高くなります。
いかがでしょうか。色相と彩度は、xyを使った色度図上で示されるということがお判りいただけたでしょうか。
 

大文字のYは、明るさを表す明度の代表値でした。そしてxyを使うことで、色相と彩度を知ることができました。
したがって、XYZ表色系のことを、Yxy表色系とも言います。
なお、Yの単位は、光源色の場合はルックス(lx)で、物体色の場合は視感反射率(%)で表されます。
色相は主波長(λmax)のnmで、彩度は刺激純度(Pe)の%で表します。
(この刺激純度という値は、色度点がスペクトル軌跡や純紫軌跡に合致すれば100%、白色点に合致すれば0%です。実測するには、手元にある物差しを使えばよいのです。)
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