名阪カラーワーク研究会の
                     ミニ色彩講座(2)
 
              色温度の話
     
 

 
 
8000°K 6500°K 4500°K 2500°K
いろおんど(色温度)って一体なんでしょうか。
色の演出には大事なことなのですが、色彩の参考書には案外わかりにくい説明が書かれています。

具体的には、まず、写真のお話から。
皆さんも多分ご存じと思いますが、写真を撮りますと、朝早くか、あるいは夕方のまだ明るい野外で撮った写真は、顔が赤っぽく写ったという経験はありませんか。 ひどいときには赤鬼のようになります。
以前は電灯の明かりで写した写真も、オレンジ色や黄色のガラスを通してみたような写真になったものですが、今頃のカメラは自動でストロボ発光しますので、そのような経験をもたれることが少なくなっています。
赤っぽく写った原因は、光の色温度が低いときに写したからなのです。
反対に色温度が高すぎると青っぽく写ります。
「えっ、反対でしょ。 暖色は赤系統、寒色は青系統の色に決まってるよ。 おっさん、ええ加減なこと言わんといて。」
という声が聞こえてきそうですが、色の温暖感とは違います。

フィルム写真をよくご存じの方は、色温度をよく知っています。 もちろん照明の専門家も。
私たちの感覚は「順応」という結構な機能を持ち合わせていますので、レストランの明かりが赤っぽいことはわかっていても、中に入ってしばらくすると目が慣れてしまい、違和感を感じなくなります。 それというのも、視神経系統で調節機能が働き、ノーマルな見え方に近づけようとして赤系の色に対する感度を下げて、青系の色に対する感度を上げますので、昼間見るのとほぼ同じ感覚で人や物の色を見ている気分になれます。
しかし、感光フィルムは正直にそのままを写し取りますので、撮った写真は赤っぽくなったり、青っぽくなったりします。
(最近流行のデジカメでは、撮影時の色温度補正をある程度自動的におこなうものもでてきましたので、あまり実感できなくなりましたが)

どうして色温度という言葉が使われるのでしょうか。
炭火は赤く燃えますね。焚き火に照らされている周りの人達の顔は、お酒でも呑んだように真っ赤に照らされますが、夕立が来たときにピカッと稲光に浮き出された隣の人の顔は、一瞬、幽霊のように青くなります。
焚き火と、稲光の明るさが仮に同じぐらいであったとしても、それぞれの光を発している場所の温度は随分違います。
焚き火の温度は、せいぜい1000度ぐらいまでですが、稲妻は数千度、あるいは一万度近くにもなります。雷鳴はその場所の空気が、高熱で急激に膨張するために生じる音です。
温度が低いと赤っぽく、高くなると白っぽくなり、もっと高くなると、溶接の時に出る光や、新幹線のパンタグラフから出る火花のように、青白くなります。

色温度を、正確に表すには、普通われわれが使っている摂氏温度ではなく、絶対温度という温度単位を使います。
記号は K で、ケルビンといいます。絶対温度の零度は摂氏ではマイナス273度でしたね。これよりも低い温度はあり得ないということでその温度を零度とした温度単位を、絶対温度と名付けているのです。ですから、摂氏0°の氷の温度は、273°Kです。

さて、昼間の太陽による照明は、われわれがものを見る場合の基準の照明になります。 したがって太陽表面の温度である6500°Kが標準光源の色温度とされ、人工の標準光源の色温度も、それにあわされています。
写真に使われるストロボ照明も、大体それに近いので、写した写真は、昼間に野外で写したのとほぼ同程度のカラーバランスになります。

朝夕と昼間とで、太陽そのものの表面温度が変わるはずがないのに、どうして地表では色温度が変わって見えるのかといいますと、それは大気中を斜めに通過してくる場合と、真上から照射して来る場合とで、大気による光の吸収や屈折のバランスが違い、赤っぽくなったり、青っぽくなったりするのです。 したがって、そのバランスを色温度で表します。
雨の日に写した写真は血の気の少ない、青っぽい色になります。 その日がたとえ寒い日であっても、色温度は高いのです。

上の着物の写真を見てもらいましょう。
この着物は同一の長襦袢です。天然の紅を原料にして編者が染めた紅染めで、約5kgの紅花を使いました。
さてところで、それぞれ長襦袢の色が違いますね。カメラレンズにカラーフィルターをとりつけたのではなく、スタジオの天井からの地明かりを調光して色温度を変えたからです。

米沢市の紅花染め研究家で、昔ながらの紅染めを再興された鈴木孝男氏のお話では、薄暗い座敷で、昔使われていた行燈(あんどん)の灯りで見る紅色が、もっとも艶っぽく見えるのだそうです。
行燈の灯りですと、色温度は1000〜2000°Kぐらいです。編者もその艶っぽい紅色を学生に見せたくて、古道具屋で行燈を探し回ったことがありました。

このように、同じ場所にいて、照明の色温度を変えるたびに、カラーバランスが変わり、違った色に見えるのですが、暫く同じ照明の場所にいますと、先ほど述べたよに、やがて目の順応によって前の色とあまり変わらないような色覚になります。
しかし、気をつけねばならないことは、どんな照明の下で着付けをして、どんな照明のところへ着て出るのか、ということです。
着て出ようとする場所は、どんな色が鮮やかに生き生きと映えて自分を美しく見せるのか、周りの背景とかにも注意するとともに、照明の色温度にも気をつけて決めて下さい。
なお、このページでは、ケルビンが温度の単位であることを理解してもらうために、記号にはすべて °Kを使いましたが、色温度の正式な単位記号はKのみを使います。
 
 
 

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