| 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』 |
イギリスにも「トイレの花子さん」がいた!?
ズッコケ(死語)教師に大笑い。
邦題は『ハリー・ポッターと秘密の部屋』になるのかな。 一巻と同様、意外な犯人、大人にも楽しめる読みごたえのあるミステリーでした。 伏線の張り方といい、重層構造のプロットといい、 ミステリーファンも満足できるストーリーに仕上がっている。 もちろん、子供から大人まで楽しめるユーモアとギャグも盛りだくさん。 翻訳が待ち遠しいところだけど、英語の語呂合わせやアナグラムの訳出が難しそうだ。
物語は、夏休み、ダーズリー家で例によっていじめられているハリーのところ に妖精ドビー(Dobby)がやってきて、学校に戻ると危険だとハリーに忠告するところから 始まる。ドビーの好意はハリーを何度も窮地に陥れる。ついにダーズリーさんを 怒らせて酷い監禁状態になったハリーを救出に来たのは、ウィーズリー兄弟。 お父さんの空飛ぶ車で夜間飛行。ハリーは残りの夏休みをウィーズリー家で過ごすことになる。
ハリーたちが新学年の買い物に出かけるところからすでに事件は始まる。 マルフォイとウィーズリーのお父さんがダイアゴン横町で対決。 裕福なマロフォイ家は代々魔法使いの血統で、純血主義である。 一方のウィーズリー家は貧乏だが、ダンブルドア校長とともに親マグル(非魔法使い)派。 ホグワーツ魔法魔術学校は、4人の魔法使い グリフンドール、スリザリン、レイブンクロー、ハッフルパフによって設立された。 その名前が四つの寮に引き継がれている。スリザリンは純血主義者で、その伝統は ヴォルデモート、マルフォイと受け継がれているのだ。 マルフォイ-スリザリン寮の純血主義がマグルとの混血や両親がマグルの魔法使いを 排除しようという動きが背後にある。 ハリーを学校に戻さない策略にロンも巻き添えを食って、学校行きの電車に乗れなくなって しまう。そこでまた活躍するのが空飛ぶ車。でも学校に着く前に調子が悪くなってしまう。 この車の運命はいかに。 なんとか学校にたどり着いたものの、ロンの杖は壊れてしまうし、 車を無断使用した罰、お母さんからのお叱りの手紙も恐ろしおかしい。
幽霊のほとんど首なしニックの死亡日パーティは傑作。 なんと幽霊は誕生日ではなくて死んだ日を祝うのである。 なんといってもハリーはマグルの家で育ったから、魔法使いの習慣を知らない。 読者はハリーと一緒に不思議なできごとに驚きながら冒険にのめり込んでしまうのだろう。 学校の温室では、あのマンドレークの栽培もしていて、耳当てをしながら植え替えをするのもおかしい。
しかし、なんといっても本巻のギャグの目玉は、新しい教師 ロックハート(Gilderoy Lockhart)。底抜けの大間抜けでそのズッコケぶりが 楽しい。この先生、立派な本をたくさん書いていて、教科書に指定している。 そのタイトルがふざけていて、これは翻訳者泣かせ。
Gadding with Gouls最初の授業で、自分の本をちゃんと読んできたかどうかテストすると言って出された問題には 大爆笑。こんな先生、いたらやだな。ところが、 驚いたことにあの優等生ハーマイオニーは、この先生が好きになってしまうのだ。 そして、ロックハートはハリーのファン。ロンの妹、ジニーもホグワーツ魔法学校の新一年生になる。 新一年生にはハリーのファンクラブができかけていて、相変わらずの人気。 それをやっかんでからかうマルフォイたちもいて、 ハリーは人気者扱いされるのが嫌なんだけど、追っかけのコリン(Colin)が 写真にサインを頼んだことでハグリッドにまでからかわれてしまう。 (`Oh Potter, you rotter'とか`Harry's in a hurry' なんて、一体どんなふうに訳されるか注目。) さらに女子トイレの自縛霊 Myrtle にもハリーは好かれてしまうのだ。
Holiday with Hags
Travels with Trolls
Voyages with Vanpires
Wandering with Werewolves
Year with Yati
もちろんクィディッチの試合もあります。 ハリーの箒はご存じニンバス2000だけど、マルフォイは親の財力にものをいわして、 スリザリン・チーム全員に最新モデル、ニンバス2001を寄付、自分もハリーと同じ シーカーのポジションを得てハリーと対決。 クィディッチの試合では、何者かが仕組んだ罠でブラッジャーがハリーをねらい打ち、 グリフインドールは大苦戦する。 ロックハートが始めた決闘クラブでのマルフォイとハリーの魔法対決も見物だ。
さて事件だけど、最初の犠牲者はミセス・ノリス(猫)。 なんと石にされてしまったのだ。(犠牲者を石に変える怪物と言えば あれを思い浮かべるでしょう。でも違います。惜しいけど) 壁には「秘密の部屋」が開いたというメッセージ。 引き続いて次々に生徒が犠牲になる。しかも、マグルの血を引く者ばかりが標的になる。 実は50年前にも秘密の部屋が開いて怪物が現れ、女生徒が死んだ。 秘密の部屋を開くことができるのは、スリザリンの後継者だという。 ハリーも一旦はスリザリンの後継者ではないかと疑われる。 (ハリーは一巻で組分け帽子にスリザリンに入れば偉大になれると 言われたことで、ずいぶん悩んでいたのだ。) 逆にハリーたちは純血主義のマルフォイを疑って、スリザリンのメンバーに変身して 探りを入れたがどうも違うらしい。このエピソードも、実にはらはらさせる。 ついに幽霊のニック、ハーマイオニーまで犠牲になってしまう。 秘密の日記が発見され、ハリーが読み方を見つけると、50年前の事件や ハグリッドが放校された謎も明らかになる。このあたりの謎が明かされていく 過程はぞくぞくする。まだまだ、これだけで終わらないのが本当にすごい。 助けてくれそうな校長やハグリッドは連れ去られ、犯人が捕まらないので 学校はついに生徒を帰宅させ閉鎖されることになってしまう。 ハリーは、ぎりぎりのところでハーマイオニーが残してくれたヒントで 怪物の正体を知り、犠牲者を救うために怪物を操る敵と 秘密の部屋で対決する。この場面は圧巻。
ハリーの出自の謎にもいろいろなヒントが出てくる。 一巻でニシキヘビと話をしたエピソードや、魔法の杖を買ったオリバンダーの店での 会話も伏線になっているようだ。 (ハリーの杖には不死鳥の尾羽根が使われているんだけど、第二巻では不死鳥そのものが ハリーを助けて活躍する) ぼんやりとだけどハリーの秘密も判ってきたぞ。 第三巻が、楽しみ楽しみ。
これは表紙裏に印刷されていたホグワーツの校章。四つの寮のシンボルが描かれている。
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