業務合理化プロジェクト

 

プロジェクトの目的と提言の概要

国会業務の効率化

予算作業の電子化

旅費業務の合理化

 

プロジェクトの目的と提言の概要

 

業務合理化プロジェクトは、通常業務の合理化・効率化を推進することにより、残業時間を縮減するとともに、それにより創出される時間・人員の適正配置を進めるものです。その具体策として次の3点について提案します。

 

(1) 国会業務の効率化

ロジ面での無駄・非効率が多く、改善の余地が残されている国会業務を全般的に見直し、効率化を図ります。

 

(2) 予算作業の電子化

これまで各担当が、適宜の様式により行っていた予算作業について、主な予算要求単価、計算式等が組み込まれた統一フォーマットを作成提供すること等により、予算作業の効率化を図ります。

 

(3) 旅費事務の合理化

これまで課室ごとに算出していた職員の旅費について、旅費を自動的に計算できるシステムを開発又は利用すること等により、事務の合理化を図ります。

 

国会業務の効率化

 

現状に対する問題意識

 

国会業務における非効率は、待機段階と答弁作成段階の2つに大別できます。「他にすることもないのにただ待たされる」という意味での非効率と、「答弁作成のロジ的作業に、必要以上の時間を要してしまう」という意味での非効率です。

 

        国会待機段階での非効率は、

(1) 待機の要否を判断すべき部署における情報の不足」

(2) 待機の要否を判断すべき部署による必要以上の危機回避的行動

2点に起因すると考えられます。「状況がよくわからないから待機させておこう」というのが前者、「何となく不安だから待機させておこう」というのが後者の発現例です。

 

        答弁作成段階については、その作業の大部分が工夫次第でルーティン化可能であるにも拘わらず、それがなされていないがために、毎回、同じようなロジのミスが発生していると考えられます。また、特定の局部に対して集中的に質問が浴びせられる際には、通常の国会対応とは比べものにならないほどの業務量が発生するものの、こういったケースは年間にそう何度も生じるものではありません。このことから、そういった場合を非常事態と認識し、特別の対策を講じることが有効ではないかと考えられます。

 

改善提案

 

○待機業務

無駄な待機を減らすためのポイントは、前記した2つの原因、つまり、

(1) 待機の要否を判断すべき部署における情報の不足

(2) 待機の要否を判断すべき部署による必要以上の危機回避的行動

を克服又は改善することです。そのための具体的方策として、以下の提案をします。

 

i) 【官房総務課】((1)関係)

「○○委員会の△△議員からの質問がまだ取れていないので、連絡員待機」などといった形で、待機要因をよりきめ細かに伝えることにより、各部局の総括課の判断材料を可能な限り提供します。

      環境省では、国会待機のレベルとして、通常待機(原則全員待機)、連絡員待機(各局部の連絡員が待機)、登録待機(連絡員が連絡先を官房総務課に登録)、待機解除の4種類があります。

 

ii) 【各局部総括課】((2)関係)

部局内の待機レベルを判断する際、安全性の確保に走りすぎないよう留意します。そのためには、信頼のおける連絡体制の存在が不可欠であり、各原課室も、信頼関係の向上に努めます。

 

iii) 【国会控室−官房−各局部】((1)関係)

特に注意すべき他委員会が立つ日の前日には、原局からその情報を官房に入れ、同委員会に関する情報の取得を促します。また、原局は、他省カウンターパートからの情報入手にも努めます。

 

iv) 【各局部総括課】(その他)

現在、法令係員の仕事となっている連絡員待機時の待機業務を当番制にするなどし、一個人に係る負担の軽減を図ります。

 

○答弁作成業務

前記した国会待機の原因を克服し、答弁の作成を効率的に行うためには、(1)国会対応に関する作業を整理し、できうるかぎり、ルーティン化するとともに、(2)ルーティン化された作業が着実に実施される体制を整えることが重要です。作業全体が整理されていない状態であれば((1)の欠落)、そもそも何をすればいいのかが分からないということになるし、また、たとえどこかで整理がなされていたとしても、その情報が周知徹底されていなければ((2)の欠落)、組織全体として効率的な行動は取り合えないからです。また、年にそう何度も訪れない、いわゆる「非常事態」の際には、関係者がそのことを認識し、特別の体制をもって対応することが適当であると考えられます。このような観点から、答弁作成作業を効率化するための具体的方策として、以下の提案をします。

 

i) 原課用国会対応マニュアルの整理((1)関係)

国会対応に関するマニュアルは、現在、省内に複数存在していますが、これだけを見れば必要十分、という資料は存在しません。また、いずれのマニュアルもそれなりに大部であり、簡単に国会作業の全貌を確認するわけにはいきません。正確にかつ事細かに記そうとすれば、大部になるのは致し方ないですが、原課担当者が、そこに記載されたすべての知識を了解しておく必要はありません。また、大部であるがゆえに、読まれにくくなっているのも事実です。このことから、原課の担当者が最低限抑えておくべき、国会作業を一覧にしたマニュアルを作成し、配布することが有効であると考えます。

 

ii) 答弁のデータベース化((1)関係)

同じような内容をしばしば質問される局部・課室においては、答弁をデータベース化し、答弁そのもののルーティン化を図ることが有効です。データベースから出力してきた答弁をそのまま使うことは少ないにしても、毎回、一から作成したり、各人のフォルダから引っ張り出してきたりすることと比べると、かなりの効率化が図れるものと考えます。一部の課室においては実施済みなので、それを全省的な取り組みに昇華させます。

 

B) ロジの指揮役の設置((2)関係)

答弁の作成業務が紛糾する主要な理由の1つに、指揮役の不在(あるいは機能不全)があります。複数の答弁を限られた時間の中で同時進行的に作成する作業においては、(答弁作成などの片手間ではなく)指揮を専門に行う人間の存在が、非常に大きいです。実際、官房総務課の国会担当補佐によれば、ある法案の国会審査の際に、指揮役を置いた日と置かなかった日を比べると、答弁作成のスピードが格段に違ったとの証言が得られました。現在、多くの局部においては、総括課の法令係員が一応の指揮役を担っていますが、彼らは、(1)国会の知識に明るくない、(2)他の業務も忙しいために国会ロジの指揮に専念しにくい、などの理由から、必ずしも適任であるとは言えません。その意味では、国会控室や官房総務課国会ラインなどにおいて、国会業務に深く携わった経験を持つ職員に指揮役を委ねることが有効であると考えます。

 

iv) 進行表の共有((2)関係)

Bとも関連しますが、複数の答弁を同時進行で作成する際には、進行表を作成し、逐一記録していくことが有効です。現在、既に一部の局部で表による進行管理が行われているので、そのような表の電子情報を各局部で共有することにより、全省的に進行管理の円滑化を図る必要があると考えます。

 

v) クリア権者による指示の先行(その他)

時間をかけて書き上げた答弁が、幹部のクリアの際にひっくり返ると言う事態が頻発しますが、そのような事態を防ぐためには、答弁執筆の前にクリア権者(局部長・課室長)が答弁のアウトラインを示すことを徹底すべきであると考えます。

 

vi) ロジ指揮役設置の登録制(非常時対応)

非常時の対応として、Bの「指揮役」の設置、国会係への登録、進行状況の一元的管理を義務づける必要があります。なお、「指揮役」は、答弁作成作業中、指揮業務に専念できることを条件とします。

 

提言の問題点・課題

 

(1)    省内のすべての職員が国会業務に精通している必要はなく、各ポジションに見合った知識があればよいと考えます。そのため、マニュアル整備、役割分担などの各局面において、そのことを意識することが重要です。

 

(2)    一方で、国会業務は、一点を改善すれば劇的に変わるというものではありません。したがって、細かい事柄であっても、改善を試みること、また、改善の成功事例に関する情報を各部局及び官房総務課国会ラインで共有することが重要であると考えます。

 

中・長期的な検討課題、今後の検討の方向性、その他特記事項

 

中長期的には、国会ラインの創設又は国会業務の庶務ラインへの移管も視野に入れて考えるべきであると考えます。なお、実際に厚生労働省では国会ラインと称すべきものが存在しており、また、国土交通省では庶務ライン(庶務ラインの規模が環境省とは異なりますが)が国会業務を行っているとのことです。

 

予算作業の電子化

 

現状に対する問題意識

 

ü        予算要求資料は経常業務のものであっても年度ごとに人件費等の単価変更を行う必要があり、それに伴う修正だけでも、全体としてかなりの事務量となります。しかしながら、現在の予算要求資料は、課室担当ごとの独自様式に基づき作成されているため、それらの単純な作業を自動的に処理することができず、資料作成者の手作業に頼っており、非常に非効率なものとなっています。

ü        また、手作業ゆえに、小数の扱いミスや単価間違いなどのケアレスミスも多く発生することとなり(これは職員の不注意によるものですが、予算作成の慣れ不慣れによりミスの発生率も高くなります)、予算を取りまとめる側の負担も増大しています。

ü        さらに、予算資料が電子化されていないため、予算査定時の計数処理にも多くの時間を要することとなっています。

ü        毎年度の予算単価の変更を、各担当がそれぞれチェックし積算に反映する必要があります。

ü        既存の経常経費などにはワープロソフトで作成されたものも多く、積算資料の作成・修正等に時間を要しています。

ü        積算資料の計算式も個々に異なり、小数の扱い(繰り上げ繰り下げ)などによるミスも多く、検算に時間を要しています。

 

改善提案

 

主要な予算要求単価、計算式等が組み込まれた統一フォーマットを作成提供することなどにより、予算要求資料の作成を簡便にするとともに、予算査定時の検算の省力化を図り、全体として、効率的な予算要求作業を実現することを提案します。具体的には、自動計算機能が組み込まれている財務省の三段表システムを改良することにより、システム構築費用を抑えることを目指します。

 

提言の問題点・課題

 

予算の電子化の際に直接関与することとなる官房会計課予算係及び各局部予算決算係の賛同と協力が不可欠であり、議論を重ねながら現状の問題点を整理しつつ、どのようなものを策定するべきか検討を行う必要があります。なお、現在の労務環境をかんがみれば、基本的な作業はアウトソーシングすることとなり、それらの作業を行い得る予算の供出に関して、各局部の合意を得る必要があります。

 

旅費事務の合理化

 

現状に対する問題意識

 

ü        旅費の算出にあたっては、国家公務員等の旅費に関する法律第7条の「旅費は最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する」の規定を受け、安価なルート(たとえば、羽田空港までの旅費は、一般的なモノレールを利用する経路ではなく京浜急行を利用した経路となる)や、各種割引制度、バス賃の調査などを行う必要があります。このため、「駅すぱあと」などの既存ソフトでは必ずしも最新かつ正確な情報を得ることができず、職員は、時刻表などを利用して手作業で算出している状況にあります。

ü        また、旅費の関係事務の1つである旅行命令簿などの記載についても、旅行命令権者等の印を押印する関係もあって、原本に手書き記載している状況にあり、事務補佐員(アルバイト職員)の多くは、この旅費関係の事務に多くの時間を割いているのが現状です。

ü        さらに、事務補佐員の雇用は通常3〜4年となっているため、旅費積算に慣れていない新しい事務補佐員が配置されると初歩的なミスが各局部で頻発し、旅費の請求資料を作成する側もそれをチェックする側も、必要以上に多くの時間を費やしている状況にあります。

 

改善提案

 

旅費の自動計算システムについて、導入官署の調査を行った上で、各部局の予算支援の下、旅費の自動計算システムの構築を行い、旅費事務の合理化を図ることを提案します。また、旅行命令事務については、課室長の旅行命令権限が大臣から各局部長に委譲され、現在秘書課に対して行われている内申事務が簡素化されていますが、さらに一般職員の旅行命令についても電子決裁システムを活用することで手続きを電子化し、用務名等の手書き部分の省力化を図ることを提案します。

 

提言の問題点・課題

 

旅費の自動計算システムの導入当たっては、システム構築をアウトソーシングする必要があり、各局部の同意と支援が必須となります。

 

中・長期的な検討課題、今後の検討の方向性、その他特記事項

 

業務をより効率的に実施するためには、この旅費自動計算システムの導入や予算作業の電子化といった作業手法の改善のほか、それらの業務をより効率的に行うために業務体制を抜本的に変えることも検討すべきであり、今後、関係者からの意見聴取を行うなどして、その具体的なあり方について検討していくべきであると考えます。