人材育成プロジェクト


プロジェクトの目的と提言の概要

採用活動強化

OJT(職場内研修)

研修・マニュアル整備

人事体制改善

 

プロジェクトの目的と提言の概要

 

国民の期待に応える環境行政を推進するに当たっては、環境省職員の「量」と「質」の向上が不可欠です。このプロジェクトでは、職員の「質」、すなわち、能力とモチベーションの向上に焦点を当て、「採用」「OJT(職場内研修)」「研修・マニュアル整備(OFFJT:職場外研修)」「人事」の4つの側面すべての体制強化を図ることにより、高い意識を持って環境省で仕事をしたいと思う人がその力と想いを存分に発揮することができる職場を目指すことを目的としています。

 

採用活動強化

 

現状に対する問題意識

    人材採用の基準を議論し、認識を共有するプロセスの欠如

    採用活動体制の脆弱さ

    省全体として必要な人材バランスまで考慮した長期的採用戦略の欠如

 

改善提案

        採用ウェブサイトの改善

学生に分かりやすく、有用なウェブサイトを早急に整備することを提案します。学生に対し、環境省のことをよりよく知ってもらうことにつながり、環境省志望の人材の底上げを期待できます。採用トップページとT種事務系ページについては、既に一定の改善がなされており、T種技術系ページについても改善に向けたコンテンツづくりを急いでいます。

        採用協力職員(仮称)の任命

秘書課長が、人事担当者と相談しつつ、採用活動専従ではないですが採用活動に重点的に携わる職員(業務説明会などに優先的に派遣し、官庁訪問の際にも志望者対応を優先的に行う職員)についても各職種、各レベルから10〜20名程度選出(採用プロジェクトチーム的なイメージ)し、任命することを提案します。夏場の官庁訪問の時期は、海外留学派遣の前後の職員を積極的に活用します。これにより、志望者対応に適していると考えられる職員を、ある程度本来業務に優先させる形で採用活動に従事しやすくする基盤を整えることができます。

 

        採用面接における評価基準の作成

環境省として、採用面接の際、志望者を評価する基準となる項目を整備・周知することを提案します。関係者間の認識の共有を図り、より客観的な評価に資することとなります。

 

中・長期的な検討課題、今後の検討の方向性

        T・U・V種採用担当者間の採用連絡会議の設置

秘書課に採用活動を一元化(現在は秘書課に一元化されていない)するとともに、T・U・V種採用担当者間の採用連絡会議を設置し、採用から人材配置に至るまでの総合的グランドデザインの下で職種間の採用活動の連携強化を図ることを提案します。

 

        技術系及びU・V種職員の採用活動強化

秘書課職員の増員による体制整備や、上記グランドデザインに基づく各職種に求められる人材像を踏まえた上で、職種ごとの採用活動の充実を図り、多様な人材の獲得を目指すことを提案します。(現時点で、結果的に採用活動が問題なく行われているか、改善が必要かなどの検証から始める必要があります。)

 

        民間人材の活用、中途採用制度の活用

雇用の流動化を図り、民間の知恵や経験を活かして省内の仕事の活性化・合理化を行うことを提案します。行政の仕事をより広く国民に知ってもらう効果もあります。ルール整備や人事院、総務省、省内職員などとの調整が必要と考えます。

 

OJT(職場内研修)

 

現状に対する問題意識

    管理職員における人材育成、労務管理意識の低さによる放任

    評価のフィードバックがないことによる能力向上機会の減少、モチベーションの停滞

    やっつけ仕事、自転車操業の連続による系統だったスキル習得の困難

    自分の努力すべき目標や改善すべき問題点が明確でないことによる業務の非効率化、自己研鑽の非効率化

 

改善提案

        管理職員と部下の定期的面談の実施

適切な場面に、適切なタイミングで指導を受けることにより、業務効率やスキル習得は確実に上がります。部下の教育責任を有するべき直近の管理職員と部下の間でコミュニケーションを促進し、「on the job」での評価及び指導・助言を行うことにより、職員の能力やモチベーションを向上させるとともに、管理職員の教育・管理意識の向上を図ることが必要と考えます。

 

内容としては、以下のことを提案します。

ü        直属の管理職員(課室長クラス)と課長補佐以下職員との間で各人20〜30分程度、定期的に面談の機会を設けます。

ü        原則、目標設定時(上半期)と成果レビュー時(下半期)の年2回実施します。

ü        直近の業務についての相談やコミュニケーションとは別に、業績評価・キャリア形成という観点から、改めて話すきっかけを作ります。

 

面談事項としては、以下のことを提案します。

ü        個人目標の達成具合について(目標管理制度)

ü        →課室、ラインの年度目標の設定(上司記入)、個人の年度目標及び難易度の設定(本人記入)、目標に対する達成状況の相互評価(双方記入)、改善事項、今後の実施計画

ü        (係長以上の場合)後進の育成・指導について

ü        →部下の指導方針、業務分担、育成計画などの認識共有(後進の育成も本人評価の一環)

ü        職員の今後のキャリアパスについて

ü        →次年度目標、長期的キャリアプランの展望、上司によるコメント・助言

ü        課室内における体制や人間関係について

→相談、要望・意見陳述、改善策の話し合いなど

導入のスケジュール、実施・責任主体については、以下のとおり提案します。

(1)                秘書課の協力を取り付け後、事務次官など上層部から実施を宣言します。

(2)                実施の方法やスケジュールについては、省内一律に行うのではなく、課室ごとの状況に応じて、一定期間の中で各課室が実施しやすい時期に行います。

(3)                実施主体は秘書課とし、面談の日程調整などは各課室長が責任を持って行います。

(4)                秘書課は、実施状況のフォローアップを行います。各課室長から面談実施率を報告してもらい、未実施の課室長については早急に実施するよう指導します。

(5)                秘書課は、面談の形骸化を防止するため、面談シートのフォーマットを作成し、面談シートに上司・部下の双方が記入します。なお、記入された面談シートは、上司・部下のみが保管します。

(6)                個人の年間目標は、課室の年間目標をベースに、上司・部下の話し合いにより決定します。「〜を図る」「〜について検討する」などの玉虫色の表現は避け、「〜の状態を達成する」など検討しやすい目標設定をします。

 

期待される効果

    評価のフィードバックによる職員の能力及びモチベーションの向上

    目標管理制度による目標意識の定着、成果イメージの共有

    管理職員の教育・管理意識の向上

研修・マニュアル整備

 

現状における問題意識

    OFFJT(業務以外の場における業務に関する能力を向上させるための研修・訓練等)の重要性に対する認識不足

    やっつけ仕事、自転車操業の連続による系統だったスキル習得の難しさ

    マニュアルの分散・不整備による業務の非効率化

    問題喚起・解決能力向上の必要性

改善提案

        「超実務型職員研修」の創設

内容としては、以下のことを提案します。

ü        短期集中型(1週間)で「環境省におけるお役所実務の基礎」を徹底的に習得する、予備校・専門学校的研修です。

ü        若手・中堅職員を対象としますが、いわゆる「階層別研修」ではなく、個人の興味とニーズで受講できる専門選択制にします。

ü        法案作成業務、国会対応実務、予算編成実務、税制改正実務、庶務管理実務にカテゴリー分けします。

ü        テキストは、原則として環境省の各種マニュアル・論点集を使用します。

 

導入のスケジュール、実施・責任主体については、以下のとおり提案します。

ü        秘書課に理解を求め、この研修を環境省人材育成プランの一部に位置づけます。

ü        秘書課から、環境調査研修所に対し、実施時期などについて具体的に相談します。また、この研修の意義について理解と協力を得るため、総括課長会議、庶務担当補佐会議などの場で説明します。

ü        組織、上司、研修を受けた職員それぞれにとってメリットのある研修にしなければ人が集まらないことにかんがみ、上司が「自分にもメリットがある(=自分がラクになる)ので、部下を行かせよう」と思わせるような内容にします。

ü        実施に向けて、カリキュラムの詰め、指導講師などの選定が必要なため、相当の準備期間をもって研修の創設を進めます。

 

        管理職員研修の改善

管理職員のマネジメント意識・能力の向上を図るため、管理職員研修の実施を民間の人材育成コンサルタント会社に外部委託し、座学中心の研修から参加型研修の研修に変えることを提案します。民間のマネジメント研修プログラムを活用(アウトソーシング)することで、少ない労力でより質の高い研修を実施することが可能です。

 

        各種マニュアルのデータベース化

国会対応、法令事務、税制改正、文書管理、予算要求・予算執行、委託・請負、庶務、秘書などの業務遂行マニュアルを整備することを提案します。新しく書き下ろすことはせず、既存のマニュアルや引継資料などを収集し、実務担当者によるリバイスを経た上で完成させます。完成したマニュアルを基にデータベースを構築し、検索システムやハイパーリンク機能を持たせることで、アクセスやリバイスを容易にします。作成したマニュアルは、新人職員をはじめとする若手職員の研修用資料として積極的に活用します。

 

        「環境行政の論点」の作成

「地球温暖化対策と循環型社会構築の関係は?」「サーマルリサイクルとマテリアルリサイクルのどちらが環境負荷が少ないか?」など、普段見落としがちな重要な環境行政のポイントについて、基礎知識とさまざまな議論を紹介した「環境行政の論点」を作成することを提案します。紙の冊子だけではなく、環境省LAN上の会議室の利用なども検討します。

 

中・長期的な検討課題、今後の検討の方向性

        民間研修の活用支援制度の導入

専門的スキル(語学、IT、化学分析など)の習得を支援するため、環境調査研修所が指定する民間の研修プログラムを利用する場合には、一定額の補助が出る制度を創設することを提案します。受講時期や時間帯を自由に選択できるため、職員の参加を促進し、能力向上機会を増やすことができます。また、アウトソーシングによって業務の効率化が可能となります。

 

人事体制改善

 

現状における問題意識

    人事体制の脆弱さ

    環境行政に対する熱い思いや高い意識と、現実の乖離

    不透明な人事制度に対する不信感

    頑張っても(成果を出しても)報われない徒労感、閉塞感

 

改善提案

        人事選任秘書課職員の増員

秘書課以外の課室に所属する職員が、通常業務の傍らに人事を行っている現状の人事体制では、組織的できめ細かい人事活動・人材育成を行うことは不可能です。そこで、秘書課に専任の職員を増員し、採用、研修、人事制度改革などに専任させる必要があります。

 

        人事担当者によるヒアリングの実施

職員と人事担当者との定期的面談の場を、年11人あたり15分程度設けることを提案します。人事異動に対する意見・要望の陳述、自己アピールの場を設ける一方、人事担当者は説明責任を果たすことにより、人事制度の透明性の向上を図ります。職種ごとに面接を行った場合、1人の人事担当者(各職種の人事担当補佐を想定)が面接する課長補佐クラス以下の職員数は3040名なので、115分ずつ12時間行えば、2週間ですべての職員と面接を行うことが可能です。仮に、課長補佐クラスについては各職種の人事担当管理職員が行うなどすれば、さらに少ない時間負担での実施が可能です。

 

中長期的な検討課題、今後の検討の方向性

        360度人事評価制度の確立

部下から上司、さらには同僚が同僚を評価する仕組みを模索することにより、双方向でより信頼性の高い人事評価制度を検討していく必要があると考えます。

 

        FA(フリーエージェント制度)の試験導入

職種(T種、U種、V種)問わず、本人のやる気と能力次第で登用・昇進の道を開く制度の試験導入を提案します。環境省LAN上の掲示板に空席ポスト情報を掲示し、一定条件を満たす職員の応募の中から、秘書課及び空席ポストの上司による審査・面談(必要に応じ、候補者の現職上司・部下からのヒアリング)を経て選抜します。具体的実施方法について検討し、係長以上の一定ポストで試験的に導入します。選抜の客観性を担保するため、登用試験制度を設け、一定条件を満たす候補者リスト(プール)を作成することも一案と考えます。候補者リストに掲載された者は、自分の希望に近い空席ポストが生まれた際に、優先的な情報提供と選抜における一定の配慮が与えられるようにします。

 

提案の問題点・課題

        秘書課、人事担当者を含めた検討の必要性

人材、人事関係の問題は、非常にデリケートかつ難しい要素を抱えているため、このプロジェクトの提案に関して実現を図る際には、秘書課や人事担当者とよく相談し、実施方法、問題点、効果などを見極めて実施する必要があると考えます。

 

        秘書課職員の業務量の増加

このプロジェクトの提言は、業務効率化が直接の目的ではないため、短期的には業務量の増加をもたらします。しかしながら、人材育成による組織力の強化は、業務改善をもたらし、長期的には、環境省の政策立案・実施能力の向上に寄与するとの認識の下、推進する必要があると考えます。

 

        人材育成の重要性に対する認識不足

人材育成に係る問題意識が環境省内で十分に共有されていないと思われることから、この提案の実現には、幹部をはじめとする全職員に対して十分な説明を行い、提案の理解と協力を得ることが不可欠です。