Z.K. and ZORKII lens


 1940年代後半、つまりはドイツ敗戦後の数年間に、ソ連と恐らくはその管理下に入ったのちの東ドイツ当局とによって、旧ツァイスグループの資産を東独と、なによりソ連のために役立てようとする動きがあった。その動きの中から登場した最初の「ツァイス風」レンズがZ.K.(З.К.)およびB.K.(Б.К.)である。
 Z.K、すなわちクラスノゴルスク製ゾナーZonnar Krasnogorskと呼ばれるレンズには、F2とF1,5の5cmと、8,5cm、13,5cmの4種類が知られており、いずれもイエナ製ゾナーのデッドコピーと思われる形状をしている。よく知られているように、イエナにあったカール・ツァイスの工場は、戦後間もなく、「イエナコンタックス」と呼ばれるイレギュラーなコンタックスを生産していた。これに付帯したか、あるいは別個に出荷されたコンタックスマウントのレンズ(例えばTSVVSのレンズ)もまた、戦後になってイエナで新たに生産・組み上げられた可能性が高い。
 Z.K.レンズのほとんどは、この戦後イエナ製レンズと同等の形状を有っており、戦前までにイエナで生産された(プロパーのコンタックス用)レンズとは大きく異なる。一部には、イエナ製の鏡胴部品を使用しているのではないかとも云われており、エレメントを直接保持する部品自体、イエナ製のパーツである疑いが強いが、エレメントそのものの出自までは詳かにしない。
 ここに挙げるのは1948年と49年製のZ.K.レンズ(2/5cm)であり、49年製の方にはZORKII(ЗОРКИЙ)の銘が追加されている。いずれもPコーティングされ、絞り、沈胴形状など、ゾナー2/5cmに瓜二つである。ただ、鏡胴のつくりは戦前の沈胴ゾナーに比べて雑な感を否めない。ところで描写も同じかというと、本家に比べて心持ちコントラストも解像度も高い、ような気がする。気がするだけで、ほんとうのところはよく判らない。コーティングの影響があるのかもしれない。




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