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木曜日のリカ 1



某ノストラダムス漫画をはじめ、たまにものすごい話を書いてしまう小池一夫先生原作作品。初出が書かれていないため、いつごろの作品かわかりませんが、松森氏の絵柄が私の知っているものとまったく違うので、かなり古い作品ではないでしょうか。
そのせいか、演出はともかくストーリー展開の絶妙な外し方
がたまらない一品となっております。というかこの作品自体、小池先生の若気の至りとしか思えません。こんな作品を、隠してしまわずにわざわざ自分のところから出版してしまうあたり、やはり小池一夫先生はスゴイと思います。

主人公は世界でただ一人
「ノーベル殺人賞」を持つ女・美木本リカ。ちなみにタイトルの「木曜日のリカ」とは、彼女が毎週木曜日にテレビ番組のレギュラーとして登場することから付けられた愛称なのですが、
1話の冒頭以来、彼女がテレビに出演したことは一度もありません。
「ノーベル殺人賞」というネーミング自体か絶妙に力弱さを漂わせていますが、リカの行動もまた、決してこの名前に負けていません。見事なヘタレっぷりを見せてくれます。



 
[1
]

リカの出演しているテレビ番組にゲストとして出演した大蔵省次官が、リカの目の前でスナイパーに射殺されてしまうという事件が発生。逃走するスナイパーの2人組・狙撃屋HALをカーチェイスの末捕らえたリカですが、尋問中油断したところを突かれ、逆にHALに捕らえられてしまいます。HALのお情けで釈放されたリカですが、今度は警察に捕らえられてしまいます。そう、何の説明もせず犯人を追いかけていったリカは、殺人犯と一緒くたに指名手配されていたのです。時間がないので逃走したリカは、こんなこともあろうかと
HALに仕込んでおいた追跡装置・バットパルスによりHALを追います。しかし、リカの追跡は間に合わず、今度は日銀総裁がHALにより暗殺されてしまうのでした。
「黒星……完全にわたしの黒星だわ……」
……第1
話で完敗宣言したヒーローを見たのは、筆者も生まれて初めてです。
再びHALを追うリカは、逃走の際にパクった警視総監の車の性能にまかせ、力任せにHALを追い詰めますが、
車から誘い出されて
絶体絶命の危機に。何とか切り抜けHALを倒したリカに、彼らは謎の言葉を残し息絶えるのでした。
「ふふふ…あんたとふたりで、仲よく、手をつないで……日曜日の歩行者天国を歩いたら、似あいの恋人…同士に…」ガクッ。
なんじゃそりゃ。


[2
]

……というHALの言葉をたよりに、リカは警察と協力し、新宿の歩行者天国でおとり捜査を敢行します。何のひねりもありません。
折しもニューヨークから
歩行者天国視察団
がやってくるなど、緊迫した空気の中、歩行者天国に突如フォーミュラ1が乗り入れて激走を開始。
「ちくしょう、また先手を取られたわ!!

……“また”です。さすがリカ、あなどれません。
うまく道路を封鎖して、F1のドライバー、CLを包囲するリカですが、CLは子供を人質にとって逃走。それを追いかけたリカは、見事CLを倒しますが、CLは断末魔にショットガンを乱射し、
人質の子供は巻き添えを食って死んでしまいます。
しかもリカがCLを追っていくスキに、歩行者天国ではさらなる事件が起こっていました。突然光化学スモッグが大量発生し、人々がバタバタ倒れていきます。さらにゲバ学生が乱入、機動隊と乱戦を繰り広げるなど、もうわけがわかりません。歩行者天国視察団の人もスモッグで倒れてしまいます。
「ひどいもんですなあ……競争車で人がひき殺され、拳銃のうちあいがあり、機動隊が走りまわって、学生デモ……そしたら、こんどは光化学スモッグ……ひどいですなあこれは……これが歩行者天国ですか……」いや、ごもっともです。
その後、機動隊の飯島らとともに調査を進めた結果、すべての黒幕は歩行者天国視察団として来日したマフィアであることが判明します。
人為的に歩行者天国に公害を発生させ、公害防止機器を税関フリーで日本に輸入させ、それを隠れ蓑に大量の金を日本に密輸入する
というのが彼らの計画だったのです。まだるっこしい上に、かなり無理があるのは言うまでもありません。
東京都知事と視察団の会議に乗りこんだリカは、すべての陰謀を解き明かします。そして銃撃戦。
巻き添えで一緒にいた公害対策関係者たちが何人か死亡しますが、逃げ出した1
人を除き、マフィアたちを皆殺しにすることに成功します。
人質になって死んだ子供の墓前に、事件の解決を報告するリカ。そこに逃げ出したマフィアが現れ、リカに銃を向けます。そして
リカをかばった機動隊の飯島が巻き添えを食って死亡するのでした

……誰か、この女からノーベル殺人賞を取り上げてください。

それにしても、わずか1巻でこれだけやってくれる話もそうないと思います。古い本なので入手はやや困難ですが、ぜひ2
巻以降も読んでみたいものです。




木曜日のリカ 1
作・小池一夫/画・松森正
劇画キングシリーズ/スタジオ・シップ発行
1989年初版発行/定価530




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