八ツ場ダム事業見直し意見書の提出を

 千葉市議会各会派に要請




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 千葉県自然保護連合、プロジェクトとけ、八ツ場ダムを考える千葉の会など5団体は2003年8月29日、千葉市議会の各会派に対し、八ツ場ダム事業見直しを求める意見書提出を申し入れました。




要 請 書





八ッ場ダム事業の見直しを千葉県知事に求める意見書ご提出の御願い


 群馬県の利根川流域吾妻川に計画されている八ツ場ダム建設事業(事業主体:国土交通省、資料1参照)は、今から51年前の1952年、千葉県を含む1都5県の都市用水(水道用水+工業用水)の開発とカスリーン台風(1947年)時を基にした洪水調節を目的として計画されました。

 しかし、その後の産業構造や森林状況の変化、堤防整備の進行などにより、水需要の頭打ちとともに、保水機能の回復など治水対策も進みました。日本の総人口も2007年をピークにその翌年から減少することが推計されています。こうしたことは当初計画では想定されていませんでした。
 その反面、事業総額については、当初予定を遥かに超過し、受益者として負担を余儀なくされる自治体の財政や水道料金への影響も心配されています。またダムそのものについても渇水対策としての限界や水質への悪影響や堆砂問題、生態系や景観の破壊などが近年指摘されてきました。
 しかし、こうした利水面、治水面、財政面の状況の変化など新たな知見を踏まえた事業の見直しの検討はおこなわれてはいません。

 現在、関連工事が行われていますが、本体工事は未着手です。本体工事着手前の現段階で51年前のダム計画をその通り実施する必要があるのか疑問が持たれるところです。

こうしたことから、今年に入り県内でも、佐倉市議会、習志野市議会で、「八ツ場ダムの見直しを求める意見書」が採択されています(資料2参照)。
 そこで、首題の件について、以下のことを要望致します。

 2003年8月29日


千葉県自然保護連合     代表 牛野くみ子
アムネスティ155グループ 代表 阿部千鶴子
追原を歩く会        代表 鵜沢喜久雄
八ツ場ダムを考える千葉の会 代表 北澤真理子
プロジェクトとけ    事務局長 川本 幸立



要望内容

 千葉市議会として千葉県知事あてに、以下の内容の意見書をご提出いただくこと。
  1. 八ツ場ダム事業費の見直しにあたっては水需要の精査をし、水利権量の縮小を国に求めること。
  2. 千葉県環境保全条例により、地域を指定し地下水採取の規制をしているが、適正な地下水利用に見直すこと。


要望の理由

1.利水面

 ダムの水は利根川流域の6都県(群馬・栃木・茨城・埼玉・千葉県、東京都)が利用することになっているが、都市用水(水道用水+工業用水)の需要は1990年以降ほぼ横ばいの状態が続いている。これは、一人当たりの使用量の減少、人口の頭打ち、水洗便所の普及による増加要因がなくなったこと、非用水部門への移行という産業構造の変化によるものである。千葉県の水道用水の将来の水需要は、将来ピーク人口610〜630万人とした場合、一日最大給水量は230〜240万m3と予測され、1999年実績に対して20〜30万m3/日の増加にとどまる。
 一方、保有水源は既得水源234万m3/日に新規水源の房総導水路(15万m3/日)分を加え、最近工業用水用に完成した霞ヶ関開発と北千葉導水路を水道に転用(15万m3/日)するだけで264万m3/日となる。利用量率(給水量と取水量の比)を考慮しても260万m3/日の給水が確保されることとなり、八ツ場ダムに頼らずとも将来の水需要に対応することは十分可能である。
 また、八ツ場ダム建設事業の完成は2011年を予定しているが、実際は2020年以降になると思われる。国立社会保障・人口問題研究所の「都道府県別将来人口」の推計によれば、利根川流域6都県の人口も、2025年には1995年の人口総数に逆戻りするという。
 以上より千葉県にとって八ツ場ダム事業のようなダムによる新たな利水機能の必要性について、水需要の精査が求められる。


2.治水面

  利根川の治水計画は1947年のカスリーン台風時の洪水に基づいて当初計画された。この台風における洪水流量1万7千m3/秒(群馬県伊勢崎市の八斗島地点)は戦時中の赤城山山麓の開墾とエネルギー源確保ための森林伐採によって引き起こされたものといわれ、それとともに当時の堤防の未整備が大きな被害を引き起こした要因として指摘されている。その後、「緑のダム」機能の回復が進み、流量が1万m3/秒を超えることはなくなった。
 しかし、不可解なことに1980年に、流域の開発が進んだとして基本高水流量(200年に1回の洪水流量)が2万2千m3/秒に引き上げられ、内1万6千m3/秒を河川改修で対応し、6千m3/秒を上流のダムで調整するとした結果、計画中の八ツ場ダムの他に、新たな洪水調整ダム群が必要となった。
 現況の毎年の最大流量値と比較すると河川改修分だけを実施すれば、洪水の危険はなくなることになり、八ツ場ダムをはじめ新たな洪水調整ダム群を建設する必要性は見出せない。


3.財政面

総事業費は、1985年策定の八ツ場ダム基本計画では2110億円であるが、18年経過した現在では約5000億円と試算される。その内、千葉県が受益者として関係団体も含めて負担する額は、約400億円となり、起債の支払利息も含めると560億円にもなると予想される。財政再建団体への一歩手前にある千葉県や関係自治体にとって財政面で大きな負担になる。また、千葉県上水道事業及び用水供給事業において、1999年度の収益的収支は69億円の黒字である一方、資本的収支では収入が542億円(内、企業債254億円)、支出は1062億円(内、企業債償還金292億円)で収支不足額が528億円となっている。企業債によるダム建設は、水道料金の値上げという形で県民生活に跳ね返る可能性が大きい。


4.渇水時対策と地下水の有効利用

 夏季は渇水期であるとともに洪水期でもある。この時期、放流による下流の災害防止のためにダムを満水状態にすることはできない。すなわちそもそも渇水対策としてのダム機能には限界があり、渇水期に川の流れを維持する役割を担っているのはダムよりもむしろ広葉樹林を中心とする森林である。渇水対策としては、森林整備とともに、節水施策の推進、農業用水から都市用水への一時的な融通、地下水の適正利用、既設ダムの過大放流の抑制が挙げられる。
 千葉県は過去、臨海部の工場による許容量を超えた揚水と、天然ガスを含む化石海水の揚水により地盤沈下を生じたが、その後地下水揚水が大幅に減少したことから、地下水位も元にもどり、自噴もみられるようになった。液状化対策などの点からも、適正な地下水の利用のために、「地盤沈下につながるので地下水揚水を規制する」という考えに基づいた県条例の地下水利用規制の見直しが求められる。
 渇水対策も地下水の利用で解決でき、水源涵養と汚染防止に努めながら、ルールに基づいた地下水の有効利用を行うことを検討すべきである。


添付資料

  • 八ツ場ダム建設事業概要
  • 千葉県知事宛て、佐倉市議会、習志野市議会意見書
  • 6都県及び千葉県の水需要と水利権
  • 利根川の年最大流量、全流出量とダム補給量
  • 千葉県の財政負担、県上水道及び用水供給事業の資本的収支
  • 「首都圏でも『脱ダム宣言』を!」
        嶋津暉之(首都圏のダム問題を考える市民と議員の会)
  • 「八ツ場ダム建設、大きな疑問」関口茂樹 鬼石町長






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