植物盗掘と自然破壊

〜 自然破壊の現状を憂う 〜

文・写真 田中雅康(千葉市若葉区在住)



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 昨年(1998年)5月14日、夕方のテレビは、北海道日高山脈のアポイ岳で高山植物が盗掘されているというニュースを流した。
 「南にのびた日高山脈が、襟裳岬で太平洋に沈みこもうとする直前に、辛うじて一息入れてふみとどまった形で、東にも西にも海をしたがえてそびえたったのがアポイ岳である」。田中澄江の「花の百名山」にこう書かれたアポイ岳は、海抜810メートルと低い山だが高山植物の宝庫として知られている。しかし今、このアポイ岳で、この山特有の高山植物「ヒダカソウ」が盗掘で数が減っているという。テレビカメラは盗掘で表土が大きくえぐられているところや、盗掘監視用のカメラ設置されているところを写し出した。
 日本の自然は、開発で多くのダメージを受け、いまなお各地でさまざまな脅威にさらされている。しかし盗掘防止のために監視カメラを設置しているアポイ岳のニュースは、盗掘による自然破壊の現実を浮き彫りにして見せた。
 昨年発表の環境庁調査は、絶滅の危機にあるのは希少な植物だけでなく、これまでどこででも見られた植物であること、そして、そのおもな原因が盗掘であると指摘している。
 私が写真をよく撮りに行く加曽利貝塚の草原では、植物採取禁止のプレートがかかっていても、山百合やオミナエシ、リンドウなど咲き始めたその日のうちに持ち去られ、予定していた写真を撮り損なったことを、私自身何度か経験している。千葉市都市緑化植物園では、植えてあるハーブを株ごと持っていかれた、という話を聞いた。
 金儲けのためであろうとなかろうと、花好きであろうとなかろうと、取っていけないところから取っていくわけだから、こうした行為は許せない。
 開発、盗掘。そして、身近なところでは、自動車から電化製品、空缶にいたる近郊の雑木林や道路分離帯へのポイ捨て。古来、日本人は自然を愛好する国民といわれる。けれど、今の日本の自然破壊の現状を見ると、私にはとてもそう思えない。開発による自然破壊防止とともに、国民各層への自然保護の啓蒙が必要ではないかと思っている。
(1998年5月)




草原の草花
守っていきたい草原の草花




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