問題だらけの

 圏央道・東金茂原道路

      〜 県と千葉市に意見書を提出 〜


旧・土気緑の森工業団地バイオ研究所の安全性確認を求める会

事務局長   川 本 幸 立           

 

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 東金茂原道路は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の一部をなすものです。
 1999年2月5日(金)夜、千葉市土気公民館において、千葉県主催による東金茂原道路の都市計画案・環境影響評価準備書(以下「アセス準備書」という)の説明会が行われました。東金茂原間全長21.4キロのうち、千葉市内を通過する部分が400メートル(標準幅員25メートル)ほどあるため、土気でも開催されたものです。
 この説明会での質疑、縦覧した都市計画案、アセス準備書、建設省の回答などをふまえ、当該道路の都市計画案、環境影響評価準備書などの問題点について指摘します。


1.地元住民から反対の声
  〜問われる「行政の説明責任」〜

 夜7時過ぎにはじまった説明会には、住民が約50名、説明側の建設省、千葉県、千葉市は30名ほどが参加し、スライドを使用したおよそ50分ほどの説明の後、住民との質疑応答が予定を上回る9時半頃まで行われました。
 昨秋、土気では地元選出の花沢三郎県議、3人の市議、地元町内自治会運協会長の連名で「早期着工と大網街道との交差部にインターチェンジ設置」を求める署名運動が行われていました。
 しかし、予想に反し、冒頭から、先祖伝来の土地を守っている地元の小食土町住民より計画に反対する声が続出しました。「本ルートについて納得していない」「小食土町では、調査段階で大気などの測定をしておらず、他の平坦な地域での測定デ−タから換算しているが、それは三方を山で囲まれた小食土の地形を考慮しないものだ」という声です。
 これに対して行政側は、法の定めに従い、公聴会などを開催し手続きを踏んできたと答えるだけで、行政の説明責任という観点からの追及に対し、回答できませんでした。


2. 「ムダな公共事業ではない」ことを説明できない建設省

 縦覧した都市計画案には「首都圏の広域ネットワークを形成する主要な幹線道路として、交通混雑を緩和し、産業経済活動の発展に大きく寄与するため、圏央道の一区間である東金茂原道路を計画」との記載があります。
 そこで、説明会で

@「交通混雑の緩和」を示す具体的数値
A「産業経済活動の発展への寄与度」
B道路の採算性・計画交通量(22,000台/日〜24,400台/日)の妥当性

 の3点の説明を求めました。
 しかし、建設省の担当者は、「当該道路は有料道路。国の公共事業の見直し作業の結果、圏央道は継続ということになった」と答えただけで、後日回答ということになりました。
 その後の建設省関東地方建設局東京湾岸道路調査事務所の担当者からの電話と、送られてきた資料の内容を総合すれば、

○道路そのものの管理形態も含めて、詳細検討はこれから
○国の見直し作業とは、事業者である関東地方建設局の事業評価監視委員会の審議であり、事業継続の理由としてあげられているのは「地権者の合意」「整備の必要性が高い道路ネットワーク事業」というものということにすぎません。これでは、まず道路建設ありき、あとは野となれ山となれに等しいのではないでしょうか。


3.環境保全対策の中身が不明
  〜「言葉で逃げ」るアセス準備書 〜

(1) 狭い縦覧場所と短い貸出期間

 千葉県庁都市部計画課では、狭い通路に立ち、他のファイルの上に資料を広げて縦覧するようになっていました。最低限、一定の大きさを持つ専用のテ−ブルと椅子を設置すべきです。
 アセス準備書は厚めのA4ファイル2冊相当で、借り出す時に、「翌日返却してくれ」と言われました(結局は、土日もはさんで4日ほど借りましたが)。他に仕事を抱え、専門家でもない市民に一晩で読みこなせと言うものです。貸出期間は、半月は必要でしょう。


(2) ズサンな大気汚染評価
  〜SPM、光化学オキシダント、ベンゼンについて評価せず〜

 アセス準備書や説明会で使われたスライドでは、CO、NO2 について、環境保全目標を達成しているとし、あたかも大気汚染の心配がないかのような印象を与えます。
 しかし、自動車排ガスによる健康被害をめぐって注目されているSPM(浮遊粒子状物質)やベンゼンなどについて評価をしていません。
 私の指摘に対し、担当者は評価する科学的手法が未確立であると答えましたが、「未確立=評価できない=影響なし」ではありません。ベンゼン濃度は、97年度の市の発表では、土気でも環境基準をオーバーしています。未確立ならなおさらのこと、さまざまなケーススタディと入念なリスク評価が求められます。それができないなら、「確立するまでアセスを凍結」ということになります。

(3) 客観性、信頼性のない結論

 動植物に与える影響について、「影響は小さいと予測される」とし、「以上より環境保全目標を達成すると評価する」と結論づけています。しかし、その根拠としてあげられている理由には中身がありません。
 例をあげれば、

「距離が離れている」 → どの程度の距離なら大丈夫か不明。
「補足調査する」   → 内容が不明。必要なら本調査でやるべき。
「改変面積を小さくする」→ どの程度小さくするのか中身が不明。
「可能な限り保全対策の実施に努める」→結果より努力を求めるのか。中身が不明。
「周辺には生息可能な環境が多く存在する」
       →  事業者の土地でもないのに、将来にわたって責任がとれるのか。

 言い逃れとはこういうことをさすのではないでしょうか。


4.千葉県、千葉市に意見書を提出

 以上をふまえ、2月16日、千葉県、千葉市あてに都市計画案について意見書を提出し、次の3点を求めました。

○ムダな公共事業ではなく、明確な根拠に基づく都市計画であること示すこと。
○アセス準備書の環境保全対策と補足調査の内容と根拠を具体的に明示すること。
○行政の説明責任に基づき、地元住民の合意を得ること。
(千葉市からは、意見書内容について都市計画審議会に諮る旨の返事がありました)

 また、建設省には、関東地方建設局事業評価監視委員会の議事録並びに委員名簿の開示を求めました。
 今後、徹底した説明責任を求めていくつもりです。


5.圏央道、千葉新産業三角構想に根本的な批判と
  市民の側からの「まちづくり」構想を

 「テクノポリス法」15年を総括して、先端産業は地場産業との結びつきや雇用効果が乏しく、「先端産業都市は幻だった」と評されています。また、「半島性の解消」「県内の均衡ある発展」とは「過疎対策の名のもとに、投資効率や将来の負担を度外視した社会資本整備」(『財政構造改革』、小此木潔著、岩波新書)を行うことにほかなりません。
 日本道路公団の借入金残高は97年度末で18兆円、公団に対する国の補助は98年度ですでに2600億円といいます。「もはや、計画を見直して、ばらまき型ではなく、完成後の利用をしっかり見込んだ、最も効果的な道路づくりを探るべき時が来ているのではないか」(朝日新聞99年1月の記事)という言葉は、そのまま圏央道にあてはまります。
 圏央道の産みの親である四全総と、千葉新産業三角構想は根本的に破綻しています。
 大規模開発・大規模道路は、健康被害、財政破綻、自然破壊、文化破壊をもたらします。
 これに対する根本的な批判とともに、市民もさまざまな英知を集めて市民の側からの「まちづくり」構想を提言する必要があります。
 土気でも、6年間活動してきた「土気緑の森工業団地バイオ研究所の安全性確認を求める会」を解散し、4月末の新組職の設立に向けて準備しています。新組織では、千葉市原丘陵開発問題、東金茂原道路など「開発とまちづくり」に取り組むグループをつくる予定です。皆様のご協力をお願いします。

(1999年3月25日)





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