治水のあり方を問い続けるホンモノの知識人

〜大熊孝・新潟大学工学部教授が退職〜


高木信行




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 新潟大学工学部の大熊孝教授が定年退職されました。大熊教授は、巨大ダム計画に反対し、自然との共生をめざす視点から治水のあり方を問い続けた河川工学者でした。

 群馬県長野原町に計画されている八ッ場(やんば)ダムについても、問題点をきちんと指摘し、計画中止を主張しつづけました。私も教授の講演を2回聴きました。

 (2008年)3月29日付け『朝日新聞』(夕刊)のコラム「窓−論説委員室から」も、大熊教授をとりあげ、「巨大ダムを築いて自然を制圧することに意欲を燃やす学者が多いなかで、異色の存在だった」と書いています。
    《自然との共生をめざす視点で、治水のあり方を問い続けた河川工学者である。この分野では、巨大ダムを築いて自然を制圧することに意欲を燃やす学者が多いなかで、異色の存在だった。
     その大熊さんの著書「洪水と治水の河川史──水害の制圧から受容へ」(平凡社)の冒頭の文章が、今春の同志社大学の国語の入試問題に採用された。「自然科学をやってきて、国語のというのが何よりうれしい」と大熊さんは笑う。》

    《04年、新潟県の刈谷田川で起きた水害は象徴的だ。堤防が一気に決壊し、多くの死者が出た。上流にダムが完成し、100年に1度の大雨に耐えられるはずだったが、想定を超える豪雨の前には無力だった。
     大熊さんは、あふれても壊れない堤防の重要性を説いてきた。
     「少々の浸水には耐えよう。だが、人の命は何としても守らなければ」という発想からだ。
     温暖化が進み、記録的な豪雨が各地で続くいま、一線を退くには惜しい学者である。最後の公開講義に550人も集まったことが、それを物語る。》

 まさにそのとおりだと思います。アカデミアの世界に閉じこもって現実の問題を避けたり、行政のいいなりになる学者が圧倒的に多い中で、大熊教授は数少ないホンモノの知識人だと思っています。

(2008年3月)










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