廃棄物公害根絶と循環型社会実現を

〜千葉県弁護士会プレシンポ〜




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 「廃棄物公害の根絶と循環型社会の実現をめざして──いのちと環境を守るために私たちに何ができるか」と題したシンポジウムが(2010年)9月4日、木更津市民会館で開かれました。主催は千葉県弁護士会です。150人が参加しました。

 このシンポは、10月7日に岩手県盛岡市で開かれる第53回人権擁護大会のプレシンポとして開かれたものです。
 いま、廃棄物公害は私たちにとって大きな問題となっています。とくに“首都圏のごみ捨て場”とよばれる千葉県は深刻です。本県の不当投棄量は全国一といわれています。

 そのような廃棄物公害から住民の健康や命、環境を守るために環境行政はどう行われるべきか。そして、私たちはどのような社会をめざしていくのか──などについて、次の4人の方が講演し、問題提起をおこないました。


◇「地方分権時代の環境法と行政〜産業廃棄物行政の可能性」
         …………北村喜宣氏(上智大学法学部教授)
◇「行政の立場からの環境保全」
         …………齋藤政俊氏(木更津市環境部生活環境課)
◇「循環型社会再構築の現状と課題〜ごみ問題を例として」
         …………瀬戸昌之氏(東京農工大学名誉教授)
◇「住民運動の立場からの提言」
         …………藤原寿和氏(残土・産廃問題ネットワーク・ちば代表)


 いずれも中身の濃い話でした。講演後は、参加者から数多くの質問が寄せられ、4氏がていねいに回答しました。

 最後は、生活環境の保全に立脚した抜本的な法律制定や、廃棄物処理に関する実効性ある条例制定を求めるとともに、住民自らも循環型社会の実現に向けて努力することなどを求める提言を参加者全員で採択しました。

 以下は、シンポで採択された提言です。


提  言



日弁連人権擁護大会千葉県弁護士会プレシンポジウム
「廃棄物公害の根絶と循環型社会の実現をめざして」
〜いのちと環境を守るために私たちに何ができるか〜

提 言

  1.  廃棄物の不法投棄や不適正処理によって引き起こされる環境汚染は、人々の命や健康を害し、あらゆる動植物に害をもたらして、私達の生活の基盤を奪うものである。今なお続く水俣病やイタイイタイ病の惨禍は、環境汚染によってもたらされる被害が、広範かつ長期にわたって、人々に理不尽で悲惨な苦しみを強いることを明らかにしている。
     私達はこのような被害の発生を二度と再び許してはならない。

  2.  わが千葉県を見ると、廃棄物の不法投棄量は全国的に見ても非常に多く、廃棄物最終処分場からの汚染水流出事故も相次いで発生している。廃棄物中間処理場から排出されるダイオキシン等による環境汚染や、残土と称して廃棄物が埋められている実態なども数多く報告されている。
     住民が事業者を相手に提訴した安定型最終処分場設置差し止めの訴訟において、最高裁判所でも安定型最終処分場の危険性が指摘されて住民側が勝訴したにもかかわらず、依然としてこのような最終処分場の設置が許可されているという状況にもある。そして、相変わらず、不法投棄や不適正処理は後をたたない。
     そのため、住民の健康被害だけではなく、住民の生活の糧となる農業や漁業への影響が大いに懸念される廃棄物処分場の設置や操業に対して、住民らによる反対運動はさらに高まりを見せている。

  3.  このような現状を踏まえ、私達は、今、廃棄物公害の根絶と循環型社会の実現をめざして、何ができるのだろうか。

    • まず、第一に、単に法による廃棄物の規制強化に期待するだけでなく、法規制の不備を指摘して法改正や法律の制定を求めていく必要がある。
       廃棄物処理法は後追い改正と揶揄(やゆ)されてきたとおり、事故や問題が起きた後に改正を繰り返してきた。このような悪循環を絶つには、国が全国の廃棄物による環境汚染の実態を早急に調査把握し、地域の実情に沿った廃棄物行政の実施を実現しうる法律を制定し、あるいは弊害ある法令を直ちに改めるべきである。
       例えば、早急に実現すべきこととして、安定型最終処分場をなくすことや、住民の健康や生活に悪影響をもたらす蓋然(がいぜん)性が高い場所では廃棄物処分場は許可しないこと(立地規制)、住民の生活環境の保全に関しては地方自治体における幅広い裁量を認め、法令における条例への委任を実現することなどである。

    • 第二に、地方自治体に対しては、私達の生活環境を保全するために有用な条例の制定や施策の実施を求めていく必要がある。
       住民の生活環境の保全については、一般論ではなく、具体的な生活環境を踏まえた上での保全でなければ意味がない。従って、地方自治体は地方分権一括法の下で、住民の実際の生活環境について充分な環境調査を実施して、その生活環境に則った総合的環境基本計画を策定し、これを具体的に実施するための施策や、条例の制定を行うべきである。
       特に、条例の制定においては、住民の生活環境の保全を行うために、廃棄物処理に関する、より実効性ある条例の制定が必要であるし、水源保護条例や環境影響評価条例など総合的見地からふさわしい条例を制定することが求められている。また、環境施策については、積極的に住民の意見を取り入れる有効なシステムを構築するべきである。

    • 第三に、循環型社会の実現や環境行政への住民参加を通じて、環境汚染や環境破壊の未然防止に努めていくことが必要である。
       私達をとりまく環境は、いったん汚染されたり破壊されたりすると、容易に修復することができない。したがって、私達は、廃棄物が環境汚染につながることを大いに自覚して、廃棄物の少ない生活を自ら心がけ、企業に対し廃棄物の削減を要請するなどして循環型社会の実現を目指すとともに、行政の施策に協力すべきところは協力し、行政に対しよりよい環境保全の実現について働きかけていくことが重要である。

  4.  そこで、私達は、次のとおり提言する。
《提言1》
     国に対し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)について、その場限りの改正を繰り返すのではなく、住民の生活環境の保全に立脚した抜本的な法律を制定するとともに、住民の生活環境の保全を真に実効性あるものとするために、地方自治体の幅広い裁量を認めて法令の条例への委任を定め、問題ある法令については早急に改正をするよう提言する。

《提言2》
     地方自治体に対し、生活環境の保全については地域の実情に則った廃棄物行政を行うべきであり、これを実現するための総合的環境基本計画を策定するとともに、廃棄物処理に関する実効性ある条例の制定や、水源保護条例や環境影響評価条例など総合的見地からふさわしい条例を制定するよう求め、かつ住民の環境行政への有効な参加システムを構築するよう提言する。

《提言3》
     住民は、地方自治体に対し、生活環境を保全するにふさわしい条例制定への積極的な働きかけを行うとともに、自らも循環型社会の実現に向けて努力するよう提言する。

 2010年9月4日

日弁連第53回人権擁護大会千葉県弁護士会プレシンポジウム
参加者一同




講師の話に聞き入る参加者




パネリストのみなさん




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