■書籍・書評


 リニア・市民ネット編著

  『危ないリニア新幹線』




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・編 著:リニア・市民ネット
・書 名:危ないリニア新幹線
・発 行:緑風出版
・発行日:2013年7月30日
・価 格:本体2400円+税



 JR東海は2013年8月29日、リニア中央新幹線の本格的な走行試験を始めた。9月18日は詳細な走行ルートと中間駅を公表した。マスコミは“夢のリニアの実用化が近づいた”と大々的に報じている。こうしたなか、リニア新幹線が抱えるさまざまな問題点を分析し、リニア計画の危うさを明らかにした本が発行された。それが本書である。

 日本は人口急減社会に突入した。在来の東海道新幹線の利用客数は頭打ちが続いている。そんななかで、東京−名古屋間(開業予定は2027年)5.4兆円、東京−大阪間(同2045年)9兆円という莫大な建設費をかけてリニア新幹線をつくるという。採算をとるのはたいへん困難だ。南アルプスをトンネルで貫通するなど、自然破壊も引き起こす。

 また、東京−名古屋間は9割近くがトンネルである。南アルプスを貫く長大トンネルの深さは1400mにおよぶ。リニアは遠隔操作なので運転手がいない。もしもトンネルを走行中に緊急停止したり事故が起きたりしたらどうなるのか。

 在来新幹線の3倍といわれる消費電力も問題だ。さらに、強力な電磁波による健康への影響も危惧されている。

 本書はそうした問題点をくわしく解説している。リニア新幹線の危うさがよくわかる。タイムリーな本である。

 あえて不満をいえば、リニア新幹線計画を凍結・再検証させるための運動方法論が示されていない点だ。「理論といえども、それが大衆をつかむやいなや物質的な力となる」という格言がある。逆にいえば、いくら理論や理屈が正しくとも、大衆(住民)に受け入れられなければ物質的な力にならない。影響力は弱いということだ。
 理論を物質的な力に変えて大型プロジェクトを中止させた事例が数多くうまれている。そういう教訓をふまえ、リニア新幹線計画を止めるための運動論を提起してほしい。あるいは、それは別の場で論じられるべきことかもしれない。

 ともあれ、リニア新幹線を考えるうえで必読の書である。
(中山敏則)












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