■書籍・書評


 沖縄探見社編

  『沖縄エコツアーガイドブック』


中山敏則


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・編 集:沖縄探見社
・書 名:沖縄エコツアーガイドブック
     〜環境ボランティアも含む沖縄本島編〜
・発 行:沖縄探見社
・価 格:本体1000円+税





■自然が壊されるのを心から惜しむ人は
  少なくないのだが…

 “生命の宝庫”である辺野古(へのこ)の海が埋め立てられるのは惜しい。だが、基地が着工されれば仕事が増える──。そんな揺れる心を名護市の比嘉勝正さん(60)が打ち明けてくれています。2010年11月17日付け『朝日新聞』の「ウオッチ沖縄」欄においてです。

 比嘉さんの思いはこうです。
    《米軍普天間飛行場の現在の移設案は、辺野古崎をまたぐようにリーフ内を埋め立てる計画だ。「海は完全にだめになる」。「藻場の移植」など、長年海を見ていればたわごとにしか思えない。それでも基地が着工されたら仕事が増える、と思うのも事実だ。矛盾していることは分かっている。
     沖縄ではこれまでも数々の事業で広大な海が埋め立てられてきた。その価値を心から惜しむ人は、決して少なくないのだが。》
 大事な自然が壊されるのは惜しいが、生きてゆくために仕事が欲しい──。そんな比嘉さんと同じ思いを抱いている人はけっこう多いと思います。自然保護運動では、こういう問題にどう対処するかも真剣に考えなければならないと思っています。


■沖縄のエコツアーを紹介

 その一つはエコツアー(またはエコツーリズム)です。
 エコツアーは「本物の自然を訪ねる旅」です。現地からみれば、すぐれた自然や景観を活用して観光収入を得ようというものです。
 エコツアーといえば、中米のコスタリカが有名です。コスタリカは豊かな自然生態系を観光資源にしてエコツアーに力を入れていて、かなり成功しているといわれています。
 日本でもエコツアーがとりくまれるようになっています。たとえば沖縄では豊かな自然を活かしたエコツアーがとても盛んです。

 そんな沖縄のエコツアーを紹介した本が今年(2010年)7月に発行されました。沖縄探見社編『沖縄エコツアーガイドブック〜環境ボランティアも含む沖縄本島編〜』(沖縄探見社)です。
 専門的知識を有するガイドとともに野山を歩いたりする自然体験型や、陶芸、料理、農業、漁業など沖縄の文化や生活も体験する複合型、さらにはカヤックやカヌーに乗ってマングローブ林や亜熱帯林の動植物を観察するなど、さまざまなエコツアーが紹介されています。沖縄の自然の多様さや魅力もわかりやすく紹介されています。


■埋め立てを止めて、
  自然資源を活用した地域振興策を
  〜泡瀬干潟や辺野古の海など〜

 しかし沖縄では、泡瀬(あわせ)干潟や辺野古(へのこ)の海、大浦湾、やんばるの森などが公共事業や基地移設によって破壊の危機にさらされています。
 たとえば泡瀬干潟は、貝類が360種以上、海草13種、新種10種以上、絶滅危惧種174種以上というように、生物多様性がとてつもなく豊かです。これだけの豊かさをもつ干潟は、国内ではほかにないといわれています。そんな貴重な自然資源が埋め立てによってつぶされようとしているのです。
 自然を破壊する公共事業は止めて、エコツアーのような自然資源を活用した地域振興策をはかってほしいと思います。
 同書は、自然を壊さずに地域振興に役立てる方策の具体例を示しているという点でたいへん有益です。沖縄以外の地域で自然環境保全や地域活性化を考えるうえでも豊かなヒントが示されています。
 自然保護にかかわっている人はもちろんのこと、行政関係者や学者、研究者などにもぜひ読んでほしい本です。

(2010年11月)  





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