■書籍・書評


 田久保晴孝著
 『干潟の学校〜三番瀬から考える環境問題』


牛野くみ子





・著 者:田久保晴孝
・書 名:干潟の学校
     〜三番瀬から考える環境問題〜
・発行所:新日本出版社
・価 格:1500円



 三番瀬の防人、田久保晴孝さんがこのたび『干潟の学校』という本を出しました。副題は「三番瀬から考える環境問題」です。三番瀬の生態系、そして日本の干潟の危機という2部構成からできています。

 パート1は「三番瀬の生態系」です。近ごろ、三番瀬は全国的に有名になったせいか、多くの方から「三番瀬はどこにあるのですか」とか、「どうやってそこに行くのですか」などという問い合わせを受けます。そんな問いに「1.三番瀬はどこにあるの?」と最初に答えてくれています。

 続いて東京湾のすがたが書かれています。東京湾の歴史は埋め立ての歴史でもあります。江戸中期には東京のゴミ捨て場として江東区の越中島が造成されました。
 明治、大正期からの埋め立ての推移図が載っています。東京湾の5分の1が埋め立てられてしまったとのこと。この図を眺めていると、そんな幾多の埋め立てにもかかわらず、日本の物流拠点として大型タンカーやコンテナが行き交う中で、今なお漁が行われていることにもふれられていて、涙ぐましくなります。そんな健気な東京湾の一角、三番瀬にはいろいろな生き物が生息していると書かれています。

 例えば鳥類では、キアシシギ、オオソリハシシギ、トウネン、ハマシギ、ミヤコドリなどのシギ・チドリ類、スズガモ、ヒドリガモ等のカモ類、コアジサシ、ウミネコ等のカモメ類、魚類ではアユ、マハゼ、イシガレイ、スズキ、ボラ、アカエイなど、貝類ではアサリ、バカ貝、シオフキ、アカニシ、マガキなど、その一つひとつに説明がつけられています。
 また、「渡り鳥はどこからくるの?」「アユがたくさんいるって本当?」「干潟の砂ダンゴはどうしてできるの?」「干潟にあらわれるモンブランの正体は?」と、あなたが三番瀬に抱く疑問に的確に答えてくれています。三番瀬の干潟はどうしてきれいなのでしょうか? それは……。

 パート2の「日本の干潟の危機」では、諫早湾の水門閉めきり(ギロチン)がきっかけとなって多くの人が干潟の重要性を知ったこと。そして、それは開発から保全へと流れを変えてきたこと。し かし今なお沖縄の泡瀬干潟をはじめ埋め立てが行われている現状。それはなぜか。公有水面埋立法という埋め立てのための法律はあるが、干潟や湿地を保全する法律がないからです。保全のための法律が求められます。

 「干潟を守る運動」「ラムサール条約とは」「どうしたら干潟を守えるの?」と続きます。
 私たちが今しなければならないこと。「干潟の学校」を読んで一緒に考えませんか。
 雨が降ろうが、風が吹こうが、そんなことにはおかまいなく三番瀬に足を運んだ田久保さん。生き物たちへの優しいまなざしが感じとれる一冊をぜひご家庭に。

(2003年8月)  




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