ごみ問題解消の切り札

〜拡大生産者責任の法制化を〜


千葉県自然保護連合事務局



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 千葉県弁護士会が(2010年)9月4日に木更津市で開いた廃棄物問題のシンポジウム。印象に強く残ったのは、瀬戸昌之・東京農工大学名誉教授の話でした。
 瀬戸教授は、「循環型社会再構築の現状と課題〜ごみ問題を例として」と題した講演の中でこんなことを述べました。


拡大生産者責任を導入していないのは日本だけ


    《ごみ問題解消の切り札は拡大生産者責任(EPR)である。拡大生産者責任は、「生産者(メーカー)は、製品に責任を持つのみならず、廃棄された製品の処理まで責任を拡大せよ」というものである。これは、公正な経済活動を目ざしたOECD(経済協力開発機構)がとりきめたものである。もちろん、日本はOECDの加盟国であり、拡大生産者責任にも調印している。
     拡大生産者責任というのは、ペットボトルのお茶についていえば、現在の120円のものに、たとえば80円のデポジット費を上乗せして200円にする。空のボトルが返却されたらデポジット費のうちの40円を消費者に払いもどす。生産者は、残りの40円で空のボトルの処理をする。空のペットボトルを返却したらデポジット費の40円が払いもどされるから、誰もポイ捨て(不法投棄)をしない。
     拡大生産者責任は、すべての製品の価格に、このような回収と処理費をあらかじめ含めるべきとしている。
     紙ごみや廃家電製品も同じである。5万円の冷蔵庫には2万円を上乗せして売る。もどってきたら1万円をかえす。そうすれば、誰も不法投棄をしない。また、残り1万円で鉄とアルミに分けたりすれば、資源として再利用できる。そうすれば、高額の税金を投入しなくてもよい。
     さらに、回収や再生にかかわる雇用が数十万人も生まれる。もちろん、「燃やして、埋める」ことにより派生する大気汚染、地下水汚染も限りなく減らせる。
     拡大生産者責任を導入すれば、処分場はいらなくなる。ごみ問題は容易に解消するし、どこにも処分場は不要なのである。
     拡大生産者責任を導入していないのは日本だけである。ヨーロッパはいろいろなところで定着している。あの大量生産・大量消費の国のアメリカでさえも、地域ではそれをやっている。だから、ポイ捨てや不法投棄をしない。
     なぜ、日本では拡大生産者責任が法制化されないのか──。それは、生産者が、製品から得られる利益を最大にし、廃棄物の処理費は支払いたくないと考えているからだ。政財界も同じである。すなわち、廃棄物処理にかかる費用を、本来支払うべき人が支払わずに、万人が共有すべき税金を流しこむ「不公正」がまかり通っているのである。
     拡大生産者責任はこの不公正を是正する切り札である。拡大生産者責任を否定するなら循環型社会が再構築できるわけがない。》

 なるほどと思いました。とくに千葉県では、多くの県民が不法投棄や産廃・残土処分場設置に悩まされています。住民の果てしない苦闘もつづいています。話を聞き、この問題を最終的に解決するカギは拡大生産者責任の導入にあると思いました。


日本は「リサイクルのゴールデンベビー賞」を受賞


 つけくわると、先進国で拡大生産者責任を導入していないのは日本だけという話を聞き、「リサイクルのゴールデンベビー賞」受賞を思い出しました。
 これは、1992年の「地球サミット」(リオデジャネイロで開催)において、国際NGOフォーラムから「赤ちゃんのように幼稚な日本」に贈呈された賞です。理由は、狭い国土に廃棄物があふれているからとのことです。

(2010年9月)




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