建設中止の大多喜ダム予定地を見学

〜水需要低迷で千葉県が中止〜




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 千葉県自然保護連合を全国自然保護連合のメンバーは(2013年)6月17日、大多喜ダムが計画されていた場所を見学した。


「中止を高く評価したい」

 大多喜ダムは二級河川夷隅(いすみ)川水系沢山(さわやま)川で建設が進められていた。所在地は千葉県大多喜町西部田である。県営ダムで、高さ36.5mのロックフィルダムだ。夷隅川下流の治水と南房総地域への上水道供給が目的だった。事業は1991年にスタートした。

 沢山川は水量が乏しいため、自流水での湛水は困難である。そのため、 大多喜ダムは独立行政法人水資源機構が施工・管理している房総導水路事業の一環を形成していた。房総導水路は利根川の水を房総半島に送水し、灌漑・上水道・工業用水道の供給にあてることが目的である。調整池として東金ダムと長柄ダムが完成している。大多喜ダムは、長柄ダムからトンネルを通じて水を貯留し、安房・夷隅地域へ上水道供給を図るというものだった。

 予定地内には約560人の地権者がいた。総事業費145億円のうち67億3000万円を費やし、用地買収は計画比94%の52ha、道路付替工事も58%の2.2kmまで進んでいた。

 ところが2011年3月、県は大多喜ダムの建設を中止した。理由は、人口減少や少子高齢化により水需要が低迷し、新たな水源開発の必要性がなくなったことだ。治水面も、再評価により、河川改修のほうが同じ機能でコストを75億円減らせるとする結果がでた。必要性のなくなった公共事業を建設途中で止めたのだから英断といってよい。

 旧予定地を管理している県土木事務所の職員に現地を案内してもらった。立派な付替道路が部分的につくられている。ダム湖をまたぐ道路橋も4本ができている。しかし、道路と橋以外はまったく手つかずだ。自然豊かな谷がそっくり残っている。


ダム計画中止は2度目

 千葉県は、2001年1月に追原(おっぱら)ダム計画を中止した。大多喜ダムはそれにつづく2度目のダム計画中止だ。
 そういうふうに県内のダム計画は中止しているのに、八ッ場ダムは建設推進の姿勢である。国交省のやることには口出しできないからだ。県自然保護連合は、大多喜ダム中止の英断を事例にあげ、公共事業の見直しを県に求めることにしている。




見学者の感想



ダム中止の英断を高く評価したい

牛野くみ子

 ムダな公共事業の代名詞ともいえるダム。千葉県は大多喜ダムを中止した。素晴らしい!
 6月17日、大多喜城の近くにあるダム予定地を見学した。このダム事業は22年前にスタートした。付替道路や橋が一部分できているが、それ以外は無傷だ。緑豊かな自然の中でウグイスが鳴き、のどかな風景が広がっている。
 中止の理由は、人口減少による水需要の低迷だ。ダムの必要性はなくなったと判断したという。その英断を高く評価したい。
 必要性が無くなった点では、八ッ場ダムも同じだ。計画発表から61年たつのに、ダム本体はいまだに着工できていない。引き返す勇気がほしい。大多喜ダムを中止した英断を、県職員は誇りにしてほしいと思う。


自然が手つかずのまま残ったことに安堵感

細田邦子

 千葉県が建設を中止した大多喜ダムの旧予定地を見学した。舗装された付替道路と橋梁以外は手つかずのままで美しい自然が残っている。この状態で中止になったことに、心から安堵感を覚えた。千葉県の英断に対して拍手喝采したい。県の事業だと合理的かつ柔軟に対応できるだが、国交省直轄の場合はそうならない。この点が非常に残念である。




房総導水路



付替道路と、ダム湖をまたぐ予定だった道路橋



旧予定地は自然がほとんど手つかずで残っている



大多喜ダムの完成予想図


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