★環境保護団体の紹介


小櫃川の水を守る会

5市、三十数万人の水源地を守るために




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●市民が立ち上がった背景
    〈 山砂採取・ゴルフ場・ダム・産業廃棄物処分場 〉
 
 小櫃川は、房総半島中央部の清澄山系から3市(君津、袖ケ浦、木更津)を蛇行し、東京湾に注いでいる(長さは88kmで、県境を流れる利根川を除くと千葉県一)。流域の米、近郊野菜の農業用水であり、東京湾河口から10km最下流で取水され、周辺5市、三十数万人の水道水として供給されている。
 1960年代から山砂採取が始まり、70年代以降ゴルフ場、80年ダム建設と、この三十数年間に水質は大きく低下した。それ以前は、水が透明で、川を裸足で歩くと魚が足の下に寄ってきたし、潜れば鮎の西瓜の香りがしたものである。現在は、ダムから下流では、水辺で遊ぶ子供たちの姿はほとんどなくなった。
 そして、さらに追い討ちをかけるように、産業廃棄物処分場建設が始まった。1988年7月、主婦や学校の先生たち二十数名で工事中の現場と下流の浄水場を見学に行った。水源地が削られ、巨大なゴミのダムができようとしている様子と自分たちの水道水がここで初めてつながったのである。私たちは、浄水場の職員に「上流域へ産廃処分場ができることについてどう思いますか。現在の原水の水質は?」と質問した。これに対する回答は、「私たちは取水口から浄水として送り出すことが仕事で、とやかく言えない。また、原水の水質についても回答できない」というものであった。
 同じ頃、1988年8月、君津市内で一企業が垂れ流したトリクロロエチレンによる地下水汚染は、「ハイテク汚染」という語を生み、全国的な問題となった。この時、県や市が1年半も事実を隠したために、トリクロ入りのプールで子供たちが知らずに泳いでいたことが明らかになった。このようなことから、自分たちの水は自分たちで守るしかないと強く感じたのである。
 
 
●「水を守る会」の活動
 
 前述のような背景から、1988年8月、地元の主婦、渡辺みつさんを中心に、生協関係者、公務員などが加わり、約40名ほどで母なる川を守ろうと、「小櫃川の水を守る会」が結成された。以来10年、およそ考えられる範囲はすべて実行した。
 「守る会」設立と同時に、工事の始まった産業廃棄物処分場建設反対署名運動にとりくんだ。流域3市議会は全会一致で採択し、県知事あてに建設反対の意見書を提出した。市長も同様の意見書を提出した。また、2万5000名を超える署名を県知事に提出したにもかかわらず、知事は処分場に操業の許可を出した。
 「守る会」では、処分場から放流される汚水によって、私たちの大切な小櫃川の水が汚染されることを防ぐために、処分場の営業許可の取り消しを求め、ゴミ問題では県内で初めて厚生省に対し行政不服審査請求をした。しかし、予想通り(?)却下された。その理由は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によると、「処分場とは国民一般の公共の利益を保護することを目的とする規定であって、処理業者が地域住民(つまり私たち)個々人の具体的な利益までも保護するものではないので審査請求する者として該当しない」というものである。つまり、「法律」は広く国民の利益(?)を目的とする規定であって、農業用水や飲料水が汚染されることについて、地域住民を保護するものではない、というのである。ここで、現在の日本における法の運用が地域住民の側にたっていないということが見えてきた。
 
 
●水源保護条例制定
 
 このことから、現行の法体系では水源の汚染を未然に防止することは不可能であり、市行政と住民が一体となって水源保護のために条例をつくることが必要である、との結論にいたった。そして、「水を守る会」木更津支部あげての学校区単位、自治会単位の緻密な準備のもと、条例制定を求めて署名運動を展開した。人口12万の木更津市において有権者1万8000余名の署名を市長に提出し、その結果、「水源保護問題協議会」が設立された。16名の委員中2名の「水を守る会」会員が加わり、3年間の研究討議の末、ようやく水道水源保護条例が制定された。
 1995年11月、袖ケ浦市に続き君津市も加わり、流域すべての市が条例を制定した。その内容は、保護地域の指定や排水基準などを定めた9項目、34条からなり、「水源を保護し、清浄な水を確保して市民の健康と文化的な生活を守る」とする行政指導型である。計画段階から5年余りかかったことになるが、ひとつの成果として大切にしたい。産業廃棄物反対運動から始まった私たちの仲間も増え、現在では個人会員1700余名、団体数53である。地域住民の環境への関心の高さを示している。
 
 
●現状と課題
 
 水源保護条例ができたものの、条例制定以前の申請による産廃処理場の事前協議が3件明らかになり、その地域では水を守る会が加わった自治会ぐるみの反対運動が起こっている。だが、廃棄物と清掃に関する法律の改悪もあり、住民の意見が軽んじられる方向にあるのは大きな不安材料である。しかし、小櫃川のすぐ近くに産廃焼却施設が、住民の反対、市議会の反対を押し切り、営業を始めたことに、地元6自治会の住民が操業禁止を求める仮処分裁判を起こし、昨年、実質勝利となったことは地元に明るいニュースとなった。
 条例そのものが環境破壊の大きな抑止力になるかどうかは、これからの運用次第と考えており、そのためには市民が積極的にかかわらなければならない。
 このほか、一般ゴミ(家庭ゴミ)の直接溶融炉による広域処理問題については、弁護士を招いての学習会を二度実施し、4市の市長と話し合いをしている。また、千葉県随一の自然が残る七里川渓谷でのダム計画については、過日、これに反対する連絡会を発足したところである。
 以上のように、私たち周辺では問題が山積している。「水を守る会」では、循環型社会をめざし、現在まで保全されてきた大切な自然環境を守ることが命の水を守ることだと考え、地域で積極的な活動をしていきたいと考えている。
(1998年12月)




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