市川の象徴 真間山の森と全国の都市緑地を

 開発から守るために

   真間山へのマンション建設計画を阻止しよう


真間山の緑地を守る会 共同代表 鈴木一義




●市は業者の要望で建物高さ規制を緩和する都市計画案を提出

 千葉県の西の端、下総台地が江戸川に切れ落ちる所に、長さ2キロ余にわたって、主に照葉樹からなる斜面林が連なります。東京方面から江戸川を渡るとき、緑深いこの斜面林が目に入りホッとした気分を感じます。
 この斜面林は千葉県の玄関であるとともに、市川の顔となっています。真間山はこの中の駅に最も近い一角を占め、ひときわこんもりと繁った森からなっています。この一帯は千葉県最大の風致地区であり、本誌60号で佐野さんが述べているように、千葉県による2回の調査において、都市部に残された貴重な樹林地として強く保全が求められている所です。
 この地が1999年に森ビル傘下の開発業者サンウッドの所有となり、サンウッドは樹木をできるだけ残すという名目で高さ規制の緩和を求めました。市はこれを受けて、風致地区と第一種低層住居専用地域(以後「一低層」とする)の二重の10メートルの高さ規制を緩和するために、無謀にも「住宅地高度利用地区計画」を導入し、建物高さを倍の20メートルまで可とする都市計画案をつくりました。


●二度の都市計画審議会で強引に市案を承認

 しかし、これを審議した本年2月16日の第1回都市計画審議会では、前述の佐野報告にもありますように、「市川の顔である真間山は公有地として保全すべきである」、「全市民が守っている高さ制限の緩和は認めがたい」などの市案への反対意見が大半を占め、埋蔵文化財調査終了までの期限付きで、異例の継続審議となりました。
 その後、市は審議委員に懸命の説得工作を行い、この間、現地からは弥生から平安時代にいたる50余の竪穴式住居や弥生時代の二つの環壕遺跡、国府庁との関連を示す鏡、石帯、鉄製矢じりなどの出土品が発見されました。見学会と講演会も2回ずつ行われ、市民や専門家から高い評価が寄せられました。
 しかし市は、継続審議の条件からも当然行うと思われていた市の文化財保護審議会に諮ることもせず、これら遺跡を記録保存とし、6月8日に急きょ、第2回都市計画審議会を開催しました。この審議会においても市案への懸念が続出し、15名中7名が継続審議を希望しましたが、会長判断で採決と決まり、賛成多数で市案は承認されました。


●真間山への「住宅地高度利用地区計画」導入は
  全国の都市緑地を開発の危険にさらす

 しかし、どれか一つを満たせば都市緑地保全地区の資格がある4条件をすべて満たしているような真間山緑地への「住宅地高度利用地区計画」の導入は、全国の都市緑地を開発の危険にさらすため、国土交通省監修の地区計画事例集を調査した結果、以下に示すとおり、市の措置は全国に前例のない異常な都市計画であることが明らかとなりました。
  1. 「住宅地高度利用地区計画」と同様に、高さ規制の緩和ができる都市計画手法の「地区計画」制度では、これまで3000例以上の適用事例がありますが、一低層で高さ緩和をした例はありません。用途地域の高さ規制緩和は安易にできないことを示しています。
  2. 「住宅地高度利用地区計画」の適用事例は1990年から2000年までの11年間にわずか15例ですが、総合的都市計画に基づくもの(7例)、公営住宅の老朽化による建替え(4例)、住宅公団分譲地、広大な民有地への計画的な低中高層住宅からなる良好な市街地の形成など、いずれの地区も、本制度適用の目的と条件である「良好な居住環境を得るために地域の都市機能の増進と土地の高度利用の客観的必要性が生じた地域」です。
  3. 一方、真間山は永い間風致地区の核心的な緑地として保全され、このたび所有者となった業者がマンション建設を希望している、という区域で、法を適用する客観的条件にまったく適合していません。法の適用条件の(1)「現に土地の利用状況が著しく変化しつつあり、又は著しく変化する事が確実であると思われる区域であること」に対して市川市は、「本地区は共同住宅の計画があり、土地利用が著しく変化することが予想される」ことを適用理由としていますが(2001年2月16日の市都市計画審議会資料P13)、これではどんな所でも地権者が希望すれば適用の対象になってしまうので、これはまったく適用根拠にはなりません。
 以上のように適用条件に反する地区に、市川市は高さ緩和だけの目的で「住宅地高度利用地区計画」を導入したもので、これは法の正しい運用を指導すべき立場にある行政による法の悪用であり、これの実現は全国のすべての都市緑地を開発の危険にさらすことになります。


●住民は市とサンウッドに断固「ノー」の意思表示

 市川市は都計審での承認を錦の御旗として、市民からの保全要請や陳情すべて拒絶して、11月2日にサンウッドに対して開発許可を与えました。
 しかし、真間山を取り囲む真間や国府台の7自治会は、自治会長の名で真間山の保全を求めて2700余筆の署名を市長に提出し、また現地に隣接するマンション住民は独自に4600余の署名を集め、都市計画の変更を求めて10数名の紹介議員を得て請願書を市議会に提出しました。
 さらに、12月4日と16日に地元自治会館で開かれた事業者による住民説明会では、以下のように市の「住宅地高度利用地区計画」導入の根拠が次々と覆されています。
  1. 市は「住宅地高度利用地区計画」を導入して高さ緩和をしないと斜面林が開発されてしまうとしていたが、サンウッドは斜面林開発は当初から考えておらず、これに言及したことはない。
  2. 第一回都計審では「市は再度買収の検討をするように」との答申をつけて継続審議となったが、市はサンウッドとの正式な買収協議はしていない。
  3. 市は「サンウッドは市による買取りを拒否している」と言っているが、サンウッドは、市から正式な買収申し出があれば拒否しない、と言う。
  4. 市長の言う40〜50億円という仮定の買収価について、サンウッドは「言ったことはない」と否定している。


●みんなの真間山を守るために御協力を

 これらの経過から浮かびあがるのは、ほとんどすべての市民による保全の願いに背を向け、全国の都市緑地に甚大な悪影響を与えることになる都市計画の異常さが明らかになりながら、一度決めた「買取りをしない」という決定を守るために、さまざまな買取りできない理由をつくりあげて、強権的に行政力を遂行しようとする市の姿勢です。
 市川の真間の名は遍(あまね)く知られており、横浜市青葉区では11月3日の文化祭に市の小中高生によるミュージカル「真間の手児奈」が上演されて観客に新鮮な感銘を与え、このミュージカルは3月末に市川市文化会館でも上演されることになりました。環境保全が重視される今日、私たちだけのものではない、この心の故郷である真間山の緑地を守るために、大きなご支援をお寄せください。

(2001年12月)  



《抗議先》
  〒272-0011
  市川市八幡1丁目1番1号
  市川市役所 市川市長 千葉光行 様
  TEL 047-334-1111  FAX 047-336-2300

  〒105-0001
  東京都港区虎ノ門1丁目17番1号
  虎ノ門5 森ビル4階
   (株)サンウッド代表取締役社長 中島正章様
  TEL 03-3539-7142  FAX 03-3539-7145




















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