失うものがあまりにも多い八ッ場ダム計画

〜ダムに揺れる川原湯温泉を訪ねて〜


追原を歩く会 北沢真理子



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 2002年10月19日、八ッ場ダムを考える会の総会と講演会に出席しました。
 保屋野初子さんの「脱ダム時代が到来」という力強い講演を聞いたあと、「千葉県民も八ッ場ダムに反対しています」と、約400億円もの千葉県の負担金について広く県民に知らせようとしている私たちの運動を紹介しました。

 その日はダムに沈む川原湯温泉に泊まりました。
 紅葉の季節到来とあって、ひなびた温泉街にも宿泊客が多く、ちょっとほっとしました。笹の湯、王湯という共同風呂のはしごをしました。王湯は源泉に一番近く、一緒になったおばあさんは、ここのお湯が一番と言っていました。テレビで紹介されたということで、毎週来ているという若い人たちもいました。

 翌日、温泉神社に「この温泉を守ってください」と拝みにいく途中で、養寿館のあった場所が更地になっていて驚きました。隣のご主人に聞いたところ、7月に壊したとのこと。国に売り渡した際、ダムができるとゴミになるからと、植栽も建物もすべて取り払うということが契約事項に入っているそうです。
 「八ッ場ダムのたたかい」の拠点でもあった養寿館。若山牧水が愛し、中国に亡命前の徳田球一をかくまったという広い、文化の香りあふれる建物と、うっそうとした木々たちはなんにもなくなっていました。

 隣のご主人によれば、これから12月にかけて小さな商店がいくつか店じまいをするそうです。
 しかし、私たちが今回出会った人たちは、ほとんどすべて、「ダムに沈めるのは惜しい」「ダムは中止してほしい」との意見でした。この町の第1小学校の6年生が作った「八ッ場ダムかるた」には、「ほ・本当にダムは必要なんだろうか」「い・嫌だけど引越さなければいけないな」「ふ・ふるさとが沈んでできる八ッ場ダム」などの札があります。

 幾つもあるこの町の見所の中で、気に入っている横壁コースを歩きました。石仏群の中の仁王像は町を守るように立っています。自然石の腕は古びて、握ると人間のような弾力がありました。石塔の彫り物は葡萄唐草と鳳凰で、ペルシャの昔を思わせます。
 町をはずれて長野原草津口の駅が近づくと、ダム工事が進んできているのがわかります。大きな橋げたは国道のつけかえ工事です。護岸工事も大がかりに行われています。千葉県の税金もどれだけ使われていることでしょう。しかし、まだ一部分です。まだ中止にできます。

 ダムに沈む温泉として、一時的にブームになっている川原湯温泉。私たちは環境問題に関わりを持ってきた者として、このダムの不必要性と、この地域の大切さを多くの人々に知らせる義務があります。
 50年の長いたたかいに疲れ果て、条件付き賛成を打ち出した地元の人々に、国は満足な代替地さえ用意していません。反対に、ダムの工事には多くの予算を使い始めています。豊かな自然、文化遺産、人々の思い、失う物があまりにも多いこのダム計画を中止にさせましょう。

 千葉県が今まで出した、そしてこれから拠出する莫大な県費に対し、千葉県民として八ッ場ダムNO! の声を大きくあげていきましょう。千葉で「八ッ場の水はいらないよ」と言えば、八ッ場ダム計画を中止にすることができるのです。
 ぜひ川原湯温泉を訪ねてください。そして人々に八ッ場ダムを語ってください。

(2002年10月)





川原湯温泉街





共同浴場「王湯」



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