トカゲのしっぽ切り

〜千葉県庁不正経理の処分発表〜


一県民



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■不正額36億6000万円 2245人処分

 千葉県庁の不正経理問題で、(2009年)12月18日、県が追加調査結果と処分内容を発表しました。
 これを翌日の新聞(千葉版)が一斉にでっかく報じています。見出しはこうです。
  • 不正経理 2245人処分/追加調査で新たに7億円/県職員9億円返還へ/プール金私的流用 電化製品400万円 職員4人を告訴(千葉日報)

  • 県不正経理処分発表 なお続く解明作業/OB管理職弁償へ/4人を免職4人告訴(朝日新聞)

  • 県不正経理36億6000万円 知事謝罪/信頼回復に“血”流す/県民感覚とのズレ今も(産経新聞)

  • 2245人処分「膿出し切る」 知事陳謝/県不正経理 総額36億円/4人懲戒免 私的流用も(読売新聞)

  • 県民の信頼 回復なるか/職員処分2000人以上 知事「世間甘くない/職員返還金9奥2000万円(東京新聞)

  • 広がりどこまで/不正額37億円に/幹部全員を戒告/県立校でも2億7200万円(毎日新聞)

  • 不正経理3億1200万円/県、昨年度 賃金・委託料でも判明(日本経済新聞)

 県の発表内容は次の県庁HPをご覧ください。


■資料を配付しない県に傍聴者が憤激

 12月18日に開かれた県議会全員協議会を傍聴し、県の発表を聞きました。
 小宮総務部長らが約1時間近く追加調査結果と処分内容を報告しました。総務部長らは、「○○ページをご覧ください」と言いながら、早口で説明します。ところが、傍聴者にはなんの資料も配付しません。ですから、傍聴者には報告内容がさっぱりわかりません。
 傍聴席からは、「概要版でもいいから配布すればいいのに」「県は、一般県民のことなど少しも考えていない」「公僕意識がまったくない」などと怒りの声があがりました。


■「コンプライアンス意識の欠如」とは何?
  〜意味不明語を使って県民をケムに巻く〜

 議会の全員協議会が終わったあと、ある県職員に話を聞きました。

    【Q】傍聴者には資料を配付しなかったので、報告の内容がほとんど分からなかった。

    【A】それは気の毒だった。77ページにおよぶ経理問題特別調査結果報告書を小宮総務部長らが早口で説明したので、報告書を手にした議員もよく理解できなかったのではないか。ましてや、資料をいっさいもらえない傍聴者がさっぱり分からないのは無理もない。概要版(11ページ)だけでも配布すればよかったのに。

    【Q】森田知事や小宮総務部長らは、不正経理の原因として「職員のコンプライアンス意識の欠如」を強調していた。コンプライアンスというのは、法令遵守のことだろう。しかし、ほとんどの傍聴者はコンプライアンスという言葉の意味が分からなかったはずだ。
     県はこれまで、コンプライアンスという言葉はまったく使わなかった。それなのになぜ、そんな分かりにくい言葉を使うのか。なぜ、だれでも理解できる法令遵守という言葉を使わないのか。

    【A】「法令遵守意識が欠如していた」と言うと、県職員が法令を遵守していないというように受け取られる。法を守るべき公務員が法を遵守していなかったとなると、県民から白い眼でみられる。そこで、幹部たちがいろいろ知恵をしぼった結果、「法令遵守」ではなく「コンプライアンス」という言葉を使うことになったようだ。

    【Q】それは、わざと分かりにくい言葉を使って県民をケムに巻くということではないのか。

    【A】それは言えてるかも。


■重い処分は5人だけ

    【Q】処分内容だが、端的に言えば“トカゲのしっぽ切り”ではないのか。重い処分を受けるのは、公金の私的流用が悪質とされた5人(懲戒免職4人、停職1人)だけだ。
     ウラ金づくりを指示し、その恩恵を享受した幹部はたくさんいるはずなのに、そういう幹部は重い処分をいっさいうけていない。監督責任ということで、「戒告」とか「文書訓告」という、一律の軽い処分だ。

    【A】そのとおり。部課長級が戒告処分を受けると、ボーナス(期末・勤勉手当)は部長級で約20万円、課長級で約10万円減るとされている。しかし幹部は、「とくに優秀」ということでボーナスに多額の役職加算がされている。たとえば、本庁の次長級以上は役職加算が20%だ。本庁の課長級は15%だ。その一部が一時的に減るだけだ。
     また、「戒告」や「文書訓告」をくらっても、一律処分なので出世にはほとんど影響しない。幹部たちのいちばん関心事は保身・出世と退職後の天下り先だが、これは従来どおりだ。

    【Q】「不正経理が県に与えた損害額」約9億円を管理職の現職とOBあわせて3576人で返還することになっている。しかしこれだって、管理職が多額の管理職手当をもらっていることを考えれば、その一部を返還するだけだから、たいしたことはないではないか。
     不正経理にかかわった管理職は、管理職としての任務をまっとうしてこなかったのだから、管理職手当や期末・勤勉手当の役職加算は全額を返還させるべきだと思う。

    【A】それは正論かもしれない。しかし、不正に深くかかわってきた幹部たちが決めたことなので……。

    【Q】つまり、盗人に十手(じって)をもたせるのと同じということ?

    【A】……。

    【Q】今回の調査結果や処分方針は、不正経理問題の真相をあいまいにしている。なぜ不正経理が長年にわたって続いたのか。千葉県の不正額は他県と比べて突出しているが、それはなぜなのか。どういう命令系統やシステムで不正経理が行われてきたのか。多額の使途不明金は何に使われたのか。──そういう問題がいっさい明らかにされていない。

    【A】そのことは県議会で一部の議員が追及している。新聞も指摘している。


■一律返還にブーイング

    【Q】ウラ金づくりを指示し、その恩恵をたっぷり享受した幹部たちが軽い処分ですまされる。他方で、不正経理にまったくかかわらなかった管理職も、一律の基準で処分されたり返還を求められる。これについては不満や批判が強いのではないか。

    【A】そのとおり。たとえば技術職の管理職は、事務職と比べて不正経理へのかかわりが薄い。ウラ金づくりや不正流用をしていたのは、普通は事務職であり、それに関与していた幹部も大部分が事務職である。だから、技術職の中では、「不正に関わっていようがいまいが一律で返還というのは、納得できない」という声も強い。「あいまいな連帯責任で巨額の不正経理問題を収束させるのか」と怒っている職員もいる。

    【Q】県は、管理職のOBと現役に約9億円を返還させるとしているが、どうなりそうか。

    【A】ある技術職の管理職OBはこんなふうに怒っている。「同僚の中には、不正経理の是正をなんども提起したため、左遷された人もいる」「そんな状況での一律返還には、とても応じられない」と。
     しかし、不正経理に無関係だった管理職でも、現役は返還を拒否しづらい。不遇を強いられるからだ。「返還に応じるかどうかは“踏み絵”と同じ」という言う人もいる。
     一方、管理職OBの中には返還に応じたくないという人がけっこう多いと聞く。しかし、これも様子見になると思う。

 以上です。  巨額不正経理の真相解明や責任追及をあいまいにしたままの一律返還には、不満をもっている人がかなり多いようです。


■“トカゲのしっぽ切り”

 “トカゲのしっぽ切り”というのは、大きな組織でうしろめたいことが発覚したときに、適当な地位の何人かを世間に差し出して批判の的としたり、罪状をかぶせることによって、幹部たちが危機を脱しようとすることをさします。
 今回の処分は、まさにそうした“トカゲのしっぽ切り”に該当するものです。森田知事は「きょうを境に県庁は生まれ変わる」と言いました。これはちゃんちゃらおかしいものです。
 今回発表の調査結果や処分、返還でだまされてはいけないと思います。
(2009年12月)







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