★千葉県内の環境保護団体

 環境問題市原連絡会

 〜保守と大企業の城下町で、市民とともに社会環境の向上を考える〜







●市原市の特徴と生活環境
  〜 工場の生産公害、残土・産廃投棄、山砂採取、ゴルフ場、エコセメント、
   ボートピア、千葉・市原丘陵都市開発、ダイオキシン、環境ホルモン 〜

 市原市は首都圏で横浜市に次ぐ広域都市です。近年における製造品出荷額は、県内の23%(約2兆8000億円)にも達しています。
 このように紹介すると、広くて豊かそうな市原市をイメージされると思いますが、現実は全くそれの反対です。市内の工場面積は約2600ヘクタール、ゴルフ場面積は31カ所で約4050ヘクタールです。この2つの合計は約6650ヘクタールで、これは市面積の約18%におよびます。つまり、市面積の約2割は環境破壊型産業の用地で占められているということです。一方、市内に残された森林原野の総面積は約8800ヘクタール(市面積の約23.9%)で、これは大都市大阪府にも劣る状態であります。
 こうしたお粗末な森林環境である市内の里山に、過去二十数年間にわたり、山砂採取や残土・産廃の不法投棄が行われてきました。その結果、森林の機能を果たさない荒地と化した里山が全市で約1000ヘクタールにもおよび、農政の失態による休耕田の約2000ヘクタールと合わせると、約3000ヘクタールにもおよぶ放棄用地が悪徳業者にねらわれています。
 このような地域環境の中で、1980年代には、給食問題やゴルフ場問題、残土・産業廃棄物問題が市民の中で熱い話題となって、要求運動の芽が少しずつ育ちはじめました。そのような背景から、90年代初期には県内他市に先駆けて残土条例が、90年代中期には水源保護条例が制定されました。条例内容の問題点に関しても、関係職員と当会の幹事になっている団体の方々との間で、意見交換が何回か行われ、住民意見もある程度反映される特徴をもったものとなっていました。
 このほか、市民要求の成果として、「高滝ダム特別委員会」の設置や大福山隣接の「ドウスポーツ石塚」(ゴルフ場)をストップし、次いで、緑地保全区域への編入など、一定の評価すべき部分があったことも紹介しなければならない点であります。
 しかし、担当職員や市民団体の理解とはかけ離れた政治的裁量による乱開発によって、自然環境の破壊はつぎつぎに進められ、前述のような状況を呈しています。これらの問題を従来から個別的にとりあげてきた「ゴルフ場問題市原連絡会」「市原のいのちの水を守る会」「残土・産業廃棄物問題市原連絡会」などの活動団体と個人会員約45名が集まり、1995年の11月に、「市原市の生活環境の維持と保全活動」を通じて「市民のいのちとくらしを守る」ことを目的に結成されたのが、当会の「環境問題市原連絡会」です。


● 産廃・残土の問題

 つぎに、市原市での当面における全般的環境問題と、問題別のとりくみ状況について当連絡会と市民の協力関係を簡単にご紹介します。
 市原市には、稼動中の管理型産廃最終処分場が9カ所あり、このほか、過去に稼動していた適法・不適法の処分場が二十数カ所、産廃の野焼き(休止中)が33カ所、現在稼動中の産廃不法投棄現場5カ所、残土の不法処分場44カ所、山砂採取跡地5カ所の合計106カ所が私たち連絡会の監視対象箇所となります。
 ただし、箇所数でも面積でも違反手法でも、連絡会や市行政の能力をはるかに超える巧妙さと、政治や暴力団が背後で常に動いている状況の中で、私たちの改善要求への道のりは大変厳しいものだったということができます。
 しかし、暴力や不法行為に正対することは、一市民にとって大変な勇気を必要とする行為であり、山間部の集落単位に脅かしと金銭取引を前面に掲げる不法行為者の手口にことごとく押しまくられてきた市民の間に、それに立ち向かう人たちが出てまいりました。
 不法行為者を摘発する集落単位での要求、不法行為者の近隣住民からの摘発、放置された不法投棄場の改善要求など数々の相談が当連絡会にも寄せられており、これらの市民要求を元に、連絡会では要請項目をまとめて、市民と共に、国、県、市の各行政への要請行動を進めています。


● 大気・水質・海洋汚染への危惧

 市原市の浮遊粒子物質の濃度は環境基準を数年来超過した状態のままであり、これらの原因である工場や自動車の排気ガスの規制強化を早急に求める必要があります。また、大気中のダイオキシン濃度については全国ワースト2の記録もあり、1999年度から2000年度にかけて大量に摘発された産廃の野焼きとあわせて、全市的監視調査態勢の整備を急がせる必要を市民の方々とともに強く求めてまいります。
 市民の飲料水を供給している高滝ダムの水質は、供用以前から汚濁度について多くの指摘がなされておりましたが、トリハロメタン値や農薬・科学肥料による汚染濃度が供用時以上に更新され、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素の濃縮が想定されるところです。私たちの連絡会では、これら水質環境負荷の第1原因について高滝ダム上流域の7カ所のゴルフ場を、第2原因に源流域石神や万田野の産廃処分場を、第3原因に石神の畜産団地を指摘し、それぞれについての調査と調査記録の公開を求めています。
 養老川流域汚染の具体例として、妙高橋付近における4Tブチル(環境ホルモン類似物質)の高濃度汚染が明確になり、過去二十数年間にわたる産業廃棄物の処分方法についての再点検を市民サイドからも強く要請してまいります。
 昨年、三井化学からフエノールが東京湾に大量に流失する事故が発生し、東京湾の生態系にも大きな悪影響をもたらせたといわれています。これは、三井に限らず、市原市と環境保全協定を結ぶ全工場にあてはまる問題であり、大企業と保守勢力の狭間の中で、大気・流域・海をつなぐ環境破壊と汚染についての闘いの原点と言える部分であります。


● ダイオキシンその他による土壌及び地下水汚染への危惧

 前述のように、市原市には産廃や残土が膨大に持ち込まれており、その大半が千葉県でさえ残土が汚染されることを認めて公布した県残土条例のできる前の処分跡地であり、残土処分場とばかり思っていた場所から産廃が発見されたり、流れ出したりという場面があちこちで見かけられてまいりました。
 もともと、残土がきれいな土であれば、処分場などというものをわざわざ造る必要もなく、住民が心配などする必要もないわけです。しかし、東京都が開発を進めているウオーターフロント地域は、産廃処分場跡地利用のため、土壌の入れ替えをしなければ人間が常時生活するには不適当な汚染地帯です。横浜の「みなとみらい21」も三菱重工の跡地であり、また、かって騒がれた江戸川沿いの工場跡地利用による六価クロム汚染なども記憶に新しいところです。
 これら都市再開発による汚染残土が公共事業の名を借りて無チェックで千葉県に流入し、私どもの調査では、市原市にはそのうちの15%以上が搬入されています。
 もうこれ以上の産廃・残土を市原市に持ち込ませない闘いが早急に求められており、今現在も、市内各地では適法、不法を問わず処分場反対の声が上げられています。そして、産廃も残土も、大半が無許可の不法投棄に占められてきましたので、これら不法で不当な行為により処分され、放置された処分場周辺の土壌と地下水についてダイオキシン並びに重金属などの調査と調査記録の公開をそれらの方々とともに強く求めてまいります。


● 市原市民はこれ以上の開発を必要としていません

 これほどの環境問題を抱える市原市が国・県・市の税金を550億円以上もつぎ込んで開発しようとしているのが、千葉・市原丘陵開発です。開発対象地域には、トキについで貴重なオオタカが棲んでおり、それらにも劣らないオシドリや数多くの貴重な動植物が生息しています。また、この開発計画の問題点は、国民が長期不況の最中にその不況の最大原因である大型公共事業をまたしても行おうとすること、そして、この開発の必要性と採算性という二つの点からも大変無謀を極めた開発計画であるということです。
 採算性のない公共事業をこれ以上進めさせた場合、必ずそのツケは市民・県民にまわされてきます。その結果、教育・福祉費を削られ、消費税や介護保険・厚生年金で捻出されたのでは国民はたまったものではありません。私たち連絡会は、この開発の見直しを求め、千葉・市原丘陵を「陸の三番瀬」と位置づけ、広く県民に訴えてまいりす。


● 医療や法曹界とも連帯する市民要求活動をめざして

 たとえば、5月13日には千葉弁護士会の方々と、5月15日は市原市の医療団体の方々と連携して市原地域での地域環境問題について交流する予定です。こうしたとりくみをつうじて、市民サイドからみた新たな展開の糸口が見つかればと、大いに期待しているところです。

(2000年5月)      



  《連絡先》
    環境問題市原連絡会
    事務局 市原市五井東2−13−3  片田 勇方
        TEL  0436-25-3935

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