「オオタカの森」は半分以上が伐採

〜流山市の「市野谷の森」〜


千葉県自然保護連合事務局



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 千葉県野鳥の会は2005年3月12日、「市野谷(いちのや)の森探鳥会」をおこないました。
 流山市にある「市野谷の森」は、オオタカが生息している森です。かつては鬱蒼(うっそう)とした森が50ヘクタールもありました。しかし、半分以上が常磐新線沿線開発区域にとりこまれ、伐採されてしまいました。いま残っている林は20ヘクタール強です。


●森は変わり果ててしまった

 現地をみると、開発区域にとりこまれた部分は、宅地造成や道路工事、建築工事などが進んでいて、森の形跡はまったくありません。無惨な状態です。
 探鳥会を案内してくれた「千葉県野鳥の会」のメンバーは、「開発工事で森は変わり果ててしまった。残念で仕方がない」と言いました。
 宅地造成を進めているのは、都市再生機構(旧名称・都市基盤整備公団)です。「都市基盤整備公団」とか「都市公団」の名前が入った「立入禁止」の看板があちこちに立っています。これをみてある参加者は、「何が都市基盤整備公団だ。自然破壊公団の名がふさわしい」と言いました。
 残された森のすぐそばでは、流山市水道局の事務所ビルと浄水場が建設中です。かなり大きな建物です。この敷地も、かつてはうっそうとした森でした。流山市は、“環境保全”をうたい文句にしてこんなことをしているのです。
 さらに、残された森の中でも、野間土手跡地の部分が伐採されていました。これにはビックリです。ある参加者は、「いつのまにか伐採されてしまった。なんのために伐採したのかわからない」と怒っていました。


●オオタカはやがていなくなる?

 森は半分以下になりましたが、オオタカはまだ生息しています。きょうも飛んでいるのを確認できました。
 しかし、周辺で進められている宅地造成や道路工事、建築工事などが完成し、車が大量に走ったりすれば、オオタカはいなくなる可能性が高いと思います。
 また、オオタカは、毎年、卵をふ化していますが、ここ数年は生育に成功していないそうです。その理由はカラスです。カラスによって、卵やヒナが食べられたり、巣から落とされたりしているそうです。
 野鳥観察をしていると、近所の方が飛翔中のオオタカの写真を数枚見せてくれました。今年の正月に撮ったものだそうです。
 この方はこんなことを言いました。
 「市野谷の森は、かつては、うっそうとしていて、人はなかなか入れなかった。道も獣(けもの)道しかなかった。それが、こんなふうになってしまった。そのうちにオオタカは見られなくなるかもしれないと思い、オオタカの写真を撮りつづけている。森を訪れた人にそれを見せている」


●貴重な森を破壊したうえに、大赤字のツケを県民に回す

 森は半分ほど残されて都市公園として保全されることなりました。動植物の保護を目的とした立ち入り禁止区域も設けられました。県や流山市、そして一部の環境NGOなどは、このことを盛んに自慢しています。
 しかし、貴重な森を25ヘクタール以上も伐採してしまいました。環境NGOもそれをあっさり認めました。伐採後は、バブル期の発想にもとづく宅地開発や道路建設が進められています。
 すさまじい乱開発の現場を見て、「市野谷の森はそっくり残すべきだった。開発区域にとりこんだのは誤り」という感想をもちました。
 長引く不況や地価下落で、宅地開発の成算はきびしいという見方が一般的です。県住宅供給公社もこの沿線開発(土地区画整理事業)を手がけていましたが、破たん状態になったため、その事業を県が引き継ぐことになりました。事業は大赤字必至といわれていますので、莫大な血税がつぎこまれることになります。
 貴重な森(自然)を破壊したうえに、大赤字のツケを県民に回す。──なんともやりきれません。
 ちなみに、探鳥会では、オオタカ、ハイタカ、カイツブリ、カワセミ、アカゲラ、コゲラなど37種類の鳥を確認できました。

(2005年3月)












オオタカの棲む「市野谷の森」は半分以上が伐採された。写真は伐採中に撮影したもの(02年5月)








ズタズタに伐採された木々(02年5月)








かつてうっそうとした森が開発区域にとりこまれ、宅地造成や道路工事、建築工事などが進んでいる。森の形跡はまったくなく、無惨な状態である。(05年3月)








道路部分から右側は、かつては木が生い茂った森だった。(05年3月)








野鳥を観察中の参加者








残された森の中でも、野間土手跡地の部分が伐採されている。(05年3月)








残された森の中には、「都市基盤整備公団」や「都市公団」の名前が入った「立入禁止」の看板があちこちに立っている。都市再生機構(旧名称・都市基盤整備公団)は、「市野谷の森」をズタズタに伐採して宅地開発を進めている。(2005年3月)








開発予定地には「千葉県企業庁」の看板も立ててある。(05年3月)








常磐新線(つくばエクスプレス)の高架。(05年3月)








近所の方が飛翔中のオオタカの写真を数枚見せてくれた。この方はこんなふうに語った。「市野谷の森は、かつては、うっそうとしていて、人はなかなか入れなかった。それが、こんなふうになってしまった。そのうちにオオタカは見られなくなるかもしれないと思い、オオタカの写真を撮りつづけている。森を訪れた人にそれを見せている」









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