(株)エヌ・ティ・エルの無法な残土堆積を考える

〜木更津市真里谷〜


残土・産廃問題ネットワーク・ちば  井村弘子




■残土の無法堆積で崩落事故が相次ぐ

 (株)エヌ・ティ・エルは残土堆積をこんなにも増やしている。

 許可面積 64ha    → 107ha
 許可土量 85万m3 → 165万m3

 同社の残土堆積は、通称残土条例(千葉県土砂等埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例)により平成13年9月11日に県から許可されている。
 ここは木更津真里谷ゴルフ場の跡地である。それをエヌ・ティ・エル社長の樋口忠史が入手し、残土をものすごいいきおいで入れはじめた。自分の土地に残土を入れるのになんの文句があるかと、境界の杭もなく、境界線も無視して面積いっぱいに残土を盛りあげた。森林法には、周囲18mに緑地を残すという決まりがあるのにである。「終日終夜24時間、一日ダンプ400台」と社長は豪語している。
 当然、周囲の隣地の田畑、森林に崩落事故が起き、隣地の農家はなんども市や県に陳情書を出している。

・1回目土砂流出 平成13年9月17日
   市原市栢橋唐沢 森林に約100m流出
・2回目土砂流出 同14年7月
   同じ場所に約200m流出
・3回目土砂流出 同14年11月19日
   唐沢 桐谷氏田んぼ他に 約300m流出
・4回目土砂流出 同15年9月10日
   市原市栢橋 大後台  約260m流出
・5回目土砂流出 同15年9月13日
   市原市栢橋 大中沢  約50m流出



■「そんなことにいちいち対応はできない」と県

 3回目の残土崩落で隣地の桐谷さんは早速、県に電話をかけた。しかし、「そんなことにいちいち対応はできない」の返事。この県の対応に、被害者は本当に心底からびっくりした。農民は県行政に対し、いつでも自分たちを守ってくれるところと本当に信じている。
 4回目の崩落は、3人の農民が草刈りをしている場所でおこった。よい具合に昼飯時で、高いところに移っていたので、危うく難を逃れたとか。幅260m、面積7400u、土量約3万7000m3という残土流出だった。この3人の農民がいっしょになって、県と市に何とかしてほしいと何度も陳情書、要望書をだしている。
 ところが1回目、2回目の事故を県は知らないという。11月9日、1回目の流失事故のあと、産廃課に陳情書をもっていった。職員は堂本知事に連絡をとると添え書きまでして預かったのに、いまだに1回目2回目の事故は知らないと言う 
 ようやく3回目から県も現地調査などに動きだした。1月12日、3回目の事故現場を林務課、産廃課、千葉支庁の3名の職員が見にきたようだが、「これは民民の問題だから」と軽く片づけられてしまったようだ。


■豊島、青森・岩手よりもひどい

 私ども残土ネットがこのことを知ったのは、県議に請願書を出すと地権者が働きかけたときからだった。私どもはこの膨大な残土のありさまと、業者の傍若無人なやり方に声を失った。これは豊島(香川県土庄町)よりも青森・岩手よりも、もっとひどい。
 請願書は昨年の9月議会で各党派の支持を得て通った。しかし産廃課は動かない。この荒れ狂った大地をみてもらおうと、マスコミに訴え、国会議員も動いてくれた結末に、3回目の事故後1年3カ月、ようやく県、業者、地権者立ち合いのなかで、田んぼに土砂が何メートルのっているか測量士が図ることになった。
 10mも掘ってようやく田んぼがみえたという。しかしこれは一部をえぐっただけである。これは皆、残土であり、周りの木は枯れはじめ、そして、そこにできた池を調整池だというが、人の土地である。パイプをつないで残土からの水をいれているが、そのような行為を平気でやる業者に、県の指導はおとなしすぎるのではないか。いつまでたっても残土の状態ははみ出たまま変わらない。流された木をからげてトラックに積んで持っていったそうであるが、ふつうの木ではない。100年もたっている木なのだ。そういう業者の無神経さは、普通ではない。
 2月27日、県はエヌ・ティ・エルに残土条例による3年間の事業停止と許可の取り消し命令を発動した。3人の農民の願いが実った。
 しかし、被害者の農民の苦労が解消したわけではない。埋まってしまった境界線も緑地帯もそのままである。森は濁水に枯れはじめ、井戸水の生活である。このあとをどうしてくれるのだと言いたい。余りにも遅い発動である。無作為の行政の行為を私は訴えたい。こんなに積まれてしまった残土をどうするのかと思う。千葉県で条例ができてから2番目の許可取り消しというが、残土堆積はどんどん許可取り消しをしてもらいたい。条例どおりだからと許可を下ろすなら、それを逐次やっているかどうか追跡しなければ、このエヌ・ティ・エルのようになってしまう。


■千葉県は首都圏のごみ捨て場ではない

 エヌ・テイ・エルはまたこの残土の周りの地権者の同意をとり、まだ許可も下りていないうちから、隣地を伐採し、残土を入れていた。改正の残土条例は、拡大は1割より認めていないので、業者は名前を和光と変え、代表者を変えて拡大を図っている。この許可も曖昧なまま出ているが、林務課では4月30日までに現状復帰と措置命令の勧告書を出している。措置命令など実行されないままに何度も出ている。繰り返して存続させることに、私は異議をとなえたい。
 あの手この手と隙間をねらう業者に対し、県はどうやって残土・産廃問題を切り抜けてくれるのか。これは今年の県行政の最大の課題ではないかと私は思っている。
 こんなに積まれた残土の傍で、皆、子々孫々の代まで農業を続けていかなければ生業は立たない。それに先祖からうけた大切な土地である。皆、井戸で生活をしている。鳥インフルエンザでは、損害を被る業者には対策がとられているが、この残土の周りの生活者に対して県は責任がないのだろうか。当然こうなることが分かっていたはずなのに、なぜ県は対策をとらなかったのだろうか。木も腐るように人も生活できなくなることは、決まりきったことである。自然を大事にしてもらいたい。
 千葉県ではいくつもの同じような堆積が周りに被害を出している。エヌ・ティ・エルもそうだが、房総の残土は95%まで東京、神奈川の開発から出て、港を通して日ごとに千葉県に入ってきている。
 私どもは千葉県に他県の残土を持ってくるなと言っているが、千葉県も出しているというから、それではお互いに受けるもの、出すもの公平にバランスをとってやってもらいたいと私は思う。
 千葉県は首都圏のごみ捨て場ではない。

(2004年4月)








膨大な面積である。写真の左側後方でも、「和光」と名前を変えて森林伐採をしている。








上の写真の右側。堆積面積はとにかく広い。








上の写真のさらに右側。(撮影はいずれも井上由紀子氏)









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